2015/07/24 のログ
ご案内:「常世公園」に惨月白露さんが現れました。
惨月白露 > 常世公園の外れ、人気の多い中心部から離れた場所のベンチ腰掛け、
手にした携帯電話に文字を打ち込むと、送信ボタンを押して息をついた。

ベンチに腕をかけて足を組むと、空を仰いで目を伏せる。

「ま、あんまり待たせるんじゃねーぞ。……蚊に刺される。」

夏場の公園には蚊が多い。
あまり長い時間は待ちたくはないが、
目当ての人間が来るまでは待つつもりだった。

ご案内:「常世公園」に湖城惣一さんが現れました。
湖城惣一 >  程なくして、ゆっくりと公園に足を踏み入れる男が一人。
足音もなく、気配もなく。いつも通りの様子で。
血色は悪くない。少なくとも疲れている様子もなく、携帯端末を持って現れた。
「いつでも合わせるとはいったが、まさか今とはな」
 一方的なメール。こちらが立て込んでいたらどうしたのだろう、と思いつつも。
時間を合わせると告げたのはこちらだ。
 ひとまずそうやって声をかけながら、そちらへ歩む。
あまり待たせてはいないはず、であるが。

惨月白露 > 歩み寄る男に手を挙げて答える。

「よ、久しぶり、生きててよかったよ。」

手に持っていた二本の缶ジュースのうち1本を彼に放り投げると、
コンコンと叩いて自分の隣を指し示す。

「意外と早かったな、来なけりゃ明日も待ってるつもりだったんだが。」

そう言って彼に笑いかける。
一方的なメールだ、正直、ここまですぐに来るとは思っていなかった。
相変わらず律儀なやつと内心で息をついた。

湖城惣一 >  ジュースを受け取ると、そのまま彼の近くに歩み寄る。
「いつでも合わせる、といったのは俺だったからな」
 口約束のようなものとはいえ、言ったからには履行するべきだというのが男の感覚だ。
慌てて、というほどでもないが、用事を切り上げてきたことには違いない。
「いや。……わざわざ君が連絡をよこしたのだから、何かあったのかとも思ったのでな」
 ベンチ。彼の横、少しだけ距離を離して座り込む。
ひとまずジュースの蓋を開けて、一息。
息を乱さない程度に足を早めてきたが、体力はやや消耗した。
 軽く目を伏せてから一口、口内を湿らせる。
「それで、何の用だ?」
 相手の話を聞く姿勢になれば、いつも通り。
相手の瞳の側をまっすぐに見つめる愚直な態度。

惨月白露 > 「はは、そりゃ悪かったな。」

小さく笑うと、自分も飲み物を一口飲む。
口を湿らせると、ふーと息をついて、
ベンチに深く腰掛しかけて体を倒し、頭を背もたれに預ける。

「ああ、この前話してたお前の仕事のパートナーってやつ、
 あの後、誰か見つかったのか?」

ごろんと、顔を湖城惣一のほうへ向ける。

「……誰も見つかって無いなら、引き受けようと思ってな。」

湖城惣一 > 「君が引き受けるというのなら望むところだが」
 だが。
 先日の彼の言葉、あれもまたひとつの正論だ。
別段、今から合否を変えようという腹づもりではさらさらない。
単純な、意志の確認作業のようなものだろう。
「何か、心変わりがあったのか」
 あれだけの激情。
それだけの事態でもなければ変わりはしないようにも思えた。
ただそれだけの話であった。

惨月白露 > 「いや、簡単な事だよ、」

そう言って、彼は笑う。

「俺、どうも思ってた以上にお前の事が好きだったらしくてな。
 ここ数日、ちっとも仕事に集中できない。
 あの命知らずのバカが、どっかで無茶して、死んでるんじゃねぇかってな。」

ふーと息をつくと、空を見る。

「俺がそのパートナーってのを引き受けなくても、
 お前の仕事が無くなるわけじゃない、そうだろ?
 どうでもいい奴がどこでのたれ死のうが知ったこっちゃねぇが、
 自分の知り合いが自分のせいで死ぬのは寝覚めが悪い。」

そして、彼の方に顔を向けると、にぃっと笑った。

「……それだけだ。」

湖城惣一 > 「む」
 好き、と言われれば面食らって頬を掻く。
ストレートに感情を表現されるということ事態、
あまり慣れていなかった。
 笑顔を向けられれば、珍しく驚きの表情が浮かんでいることが見て取れるだろう。
「では、君と俺は今日からパートナーであり、友人……で構わないな」
 どこまでが知人でどこからが友人か。
男はその距離感がわからない。
以前はこちらから友人になることを申し出て、
『もう友達だと思ってたけど』なんて相手を不機嫌にさせてしまったこともあった。
 その反省を踏まえた、不器用な発言。
常世財団との交渉はこれからになるが、問題はないだろう。

惨月白露 > 「んだよ、鉄面皮だと思ったら、意外と可愛い所もあるじゃねぇか。
 いいじゃん、そうやって反応返してくれるなら、
 俺もからかいがいがあるぜ。」

彼の戸惑うような反応を見ると、小さく笑みを零す。
続く言葉を聞けば、身体を起こす。

「ああ、それでいいぜ。恋人が御所望なら話は別だけどな。」

一つ冗談を言って笑うと、握手を求めて手を出した。

「………んじゃ、宜しくな、相棒。」

湖城惣一 > 「からかいがいか」
 自分はつまらない男だという自覚があった。
そう評価されるのはおそらく初めてのことだったか。
 握手を求められれば、彼もまたそれに応じる形で握り返す。
「色恋に関しては全く分からん。友人もこうして手探りでな」
 ほんの僅かに笑みを漏らして答える。
 人間関係とは複雑なもので、友人だけでも手一杯。恋人など考えたことすらない。
「ああ、よろしく頼む、シロちゃん」
 名乗られた名前を馬鹿正直に繰り返すのが湖城惣一という男である。
 手を離すと、携帯端末で財団に対する打診のための最初のメールを送るだろう。
「ひとまずこちらから財団へ連絡を入れてみよう。
明確な手応えがあるまでは君の素性は隠しておくから安心してくれ」
 とはいえ、教えるほど彼の素性に詳しいわけでもないのだが。
少なくとも今この場を監視している何かの存在は感じない。

惨月白露 > 「ま、それに、たまにはそういうやつを相手にするーってのも、
 悪いもんじゃねぇしな。簡単に落ちるやつを相手するより楽しそうだ。」

握手に応じられれば、満足げに笑みをこぼす。

「あぁ、改めて宜しくな、惣一。」

彼が操作する端末を覗き込み、こくんと頷く。

「財団との交渉はまぁ、ゆっくりでいいさ、
 何か手応えがあったらメールしてくれ。
 あと、俺からも、たまにメールするよ。」

冗談めかしてやれやれと首を振り、
 
「……いつの間にか腹掻っ捌いて死んでました、
 とか言われたらたまったもんじゃねぇしな。」

そして、間をあけてクックと小さく笑みを漏らす。
彼の言葉を聞けば、頬を掻いて頷いた。

「ああ、それは頼むよ、素性がバレると面倒な事になるからな。
 何しろ、住んでる場所が場所だからな。文字通り殺されかねない。」

湖城惣一 > 「簡単に落ちる?」
 彼の言っていることはよく分かっていなかったが、特には問題ないだろう。
そのまま手元で作業を続行する。
 特に端末を隠すつもりはない。
退魔の仕事から使い続けている旧型だが、
信頼のできる同業者にカスタマイズを施された特別製だ。
 冗談めかしたような心配の言葉には、ふむ、と顎を撫でて。
「戦闘時よりも日常でのほうが死にかけているな」
 などと。実際、戦闘で苦戦をしたことなど数えるほどしかないが。
空腹・貧血で行き倒れている姿はそれなりに確認できる。
 腹をかっさばく問題とはまた微妙に別の問題点である。
 続く白露の念押しは、余程湖城に執着する者でも居ない限り確実に履行されるだろう。
「いずれにせよ、そうだな。……うむ。この出会いに感謝を、とでも言っておくべきか」
 相棒が増えること、というよりは。友人が出来たこと。
縁の繋がる相手であればそれは喜ぶべきだろう、と。

惨月白露 > 「ま、気にすんなよ。多分そのうち分かるから。」

そう言って、クックと笑う。
『惣一のレア顔収集が趣味になりそうだな。』と考えつつ、
操作している端末を興味深げに眺める。

「ふーん見た目は旧型なわりに結構スペックはいいやつ使ってんだなー。」

そんな感想を漏らしながら、耳をぴくぴくと震わせる。

「日常、日常ねぇ、俺もまぁ似たようなもんだけどさ。
 ……なんだ、そっちまで世話しねぇとダメか?
 まるで通い妻だな、そりゃ。」

『せめて恋人って言ったほうがいいか』と笑いつつ、飲み物を一口飲んだ。

「そうだな、この出会いに乾杯、だ。
 いい出会いに、そんで別れになることを祈ってるぜ。
 お互い、別れがハッピーになるように頑張ろうな。」

手にした飲み物を空中に掲げると、一気に飲み干す。
ぽーんと放り投げると、カランと音をたてて缶はゴミ箱の中に納まった。

湖城惣一 > 「そうか」
 そのうち分かると彼が言うのならばそうなのだろう。
そこに疑問を挟まないのは、ある種の信頼といえるだろう。
 だからこそ、気を払わずに端末も見せるわけだ。
「怪異に相対してから不都合が起きるのが面倒でな」
 雷そのものの怪異。電子データに潜む近代的怪異。
そのバリエージョンは、枚挙に暇がないといえるほど。
それらとやりあっても極力不都合のないように、そういったカスタマイズである。
 とはいえ、もちろん日常でピンチの際に自動的に食事を出してくれるわけではない。
 が。
「いや、大丈夫だ。……そこまで面倒をかけるつもりもない」
 元が孤独であった男だ。振りかかる全ては自己責任として処理をしているし、それを当然として生きてきた。
普段からかろうじて命をつないでいる以上、おそらく今後も大丈夫、であろう。
「だからひとまず、通い妻にさせることはなさそうだ」
 うむ、と。否定はしない。彼が彼女であったとして、態度を極端に変じることはない。
単に彼自身の魅力は認めた上で、ただ律している面もある。
 こちらも、それを飲み下すように缶を空にした。

惨月白露 > 「ああ、怪異にもいろんなタイプが居るからな。
 有名なやつだと、端末に潜り込んで勝手に登録されたアドレスに
 メールを出す、『レイヴァン』とかな。」

『いくら退治しても復活してくるから電脳系は厄介なんだよな』
……と、肩を竦める。

「とはいえ、一応ちゃんと用心してるんだな、安心したよ。
 正直、マジで命知らずのバカ野郎なのかと思ってた。」

飲み物が飲み終わったのを確認すると、
よっと、と小さく声を漏らして立ち上がる。

「ま、遠慮すんなよ、素性が明かされるまでは、
 とりあえず『恋人』っぽく振舞ってるほうが、
 頻繁に会ったりするのに不都合が無くていいだろ?
 他の奴に変に突っ込まれて関係性を聞かれる心配もねぇし。」

にっこりと笑って、指を立てる。

「会って話すときにゃ、お手製の弁当でも作って行ってやるよ」
『といっても、大体冷凍食品だけどな。』と付け足して笑う。

「そんじゃ、俺の用はそれだけだ、いきなり呼び出して悪かったな。
 ……何か惣一のほうから言いたい事はあるか?」

湖城惣一 > 「やれるだけのことはやる、ということだ」
 電子タイプは実際、客観的に見れば不得手だ。
近代から急速に発展したタイプの怪異は全て手探りで斬ってきたといっていい。
積み重ねられた経験などないのだから当然のことだが。
 しかし、それらを結果としてすべからく斬る。というのが男の異常性のひとつでもあったが。
特に腹を斬るまでの間は、用心を重ねるに越したことはない。
 そのためか。
「…………む」
 恋人っぽく振る舞う、という提案に関しては説得力があるように感じた。
「友人、というのでは違和感があるのか」
 否定するわけではなく単に確認だ。
人間関係に不得手な男なりに、何かとその手の判断は難しい。
問題があるというのなら、ひとまずその関係に納得するかもだろうが。
 少なくとも、目の前の彼に対して協力は惜しまない姿勢だ。
「言いたいことか。……そうだな、俺の今の塒と、あとはこれをもう一枚渡しておこう」
 歓楽街にあるレンタルハウス。
男子寮における湖城惣一の部屋は軒並み儀礼用の道具で埋まっているため、
今は小さなワンルームのプレハブ小屋で寝泊まりしている。
住まいに頓着しないため、ホームレス同然に暮らしていることも少なくないが。
 その場所を告げたあと、先日も使った治癒用の護符を投げる。
高価なものだが、パートナーとなるならば、これもまた惜しくはない。
「受け取っておけ」