2015/09/28 のログ
ご案内:「謎の場所」に四人の影さんが現れました。
■四人の影 > この場所はどこなのか不明。
どこか薄暗く、怪しい場所だという事だけは分かる。
四人もの黒い影が、そこに集まっていた。
その正体は、英霊達である。
『それで、なんで突然召集とかかけたのさぁ、『ウィザード』』
そう述べるは、赤いマフラーをした少年のシルエットだ。
『『ハンター』と『プリースト』が成仏したのは知っていますが 『モンク』も見当たりませんね。
あの脳筋も脱落してしまったのですか?』
そう喋るは、甲冑を纏った女騎士のシルエットだ。
『ああ。『モンク』なら自我を失くし、バーサーク状態に陥った。
あれはもう、話の相手にはならぬ』
そう語るは、魔女姿のシルエット。
『あたしはさっきまで、おもちゃと遊んでいたんだよ。
それなのに突然召集とか酷いよね。
あはっ♪』
そう口を開くは、ツインテールの少女のシルエットだ。
■四人の影 > 『今日、我々七英霊を呼び出したのは、忠告をするためだ。
ここにいない『ハンター』や『プリースト』、『モンク』は少々学生街で暴れすぎた。
その事もあり、今や七英霊はかなりこの島に知れ渡っている。
無論、それ以外にも事情があるがな』
魔術師は、『七英霊の書』の存在を思い浮かべる。
あれが禁書庫にあって、消すのが困難なのが残念でならない。
『そして『サモナー』。
あれだけ忠告したはずなのに、学園を襲ってしまったらしいな』
『あはっ♪
別にいいよね?
だって、学園の人達もあたしのおもちゃだもん』
ツインテールの召喚師は、悪びれる様子もなく弁明する。
『今回召集をかけたのは、その事についても含まれている。
良いか貴様等。
今後、学生街に手出しする事を制限させてもらう』
魔術師のそんな言葉に、三人は一斉に振り向く。
反論するは、召喚師だった。
『なにそれ……。
別に好きにしていいじゃないの。
そもそも、あたし達七英霊は同格のはずだよね。
なにあなたが偉そうに命令してるの?
ありえないよ』
『『ハンター』も『プリースト』も学生街でやられたのでな。
そして『モンク』も、商店街で追い詰められて狂った。
今日、『サモナー』も風紀委員に取り囲まれてピンチに陥ったな?
これまであえて黙認してきたが、貴様等が学生街に攻め入るのは少々リスクが高い。
だから、警告してやろうと言うのだ。
それとも何か? この『ウィザード』の言葉が聞けぬか?』
魔術師の警告に、騎士は渋々と言った感じで頷く、盗賊は何の反応も示さない。
■四人の影 > 『あはっ♪
あまいよね、『ウィザード』。
抵抗する奴は全員、殺せばいいだけなんだよ?』
『そんな愚かな思考をして、『ハンター』と『プリースト』はやられた。
その様子だと、また私の忠告を無視する気か?
なら次に成仏するのは貴様になりそうだな、『サモナー』』
愉快に笑う魔術師。
対する召喚師は、突然の方針変更に不満を抱いているのだ。
魔術師はさらに続きを語る。
『あの場所は島の中心という事もあって、治安が良い地域だ。
貴様等ならその平穏を崩してやりたいという思考にもなるだろう。
だがそれは、逆に言えば風紀や公安などの眼がいきとどいているという事でもある。
それに、我々の真の目的を達成させるには、必ずしも学生街である必要はない」
魔術師はどこまでも冷静に、この島の事を分析する。
『……分かったよ。
あなたに逆らっても良い事がないってのは、今日改めて理解したからね。
癪だけど、今はあなたの言う通りにするよ……』
召喚師も仕方がない、という感じ、いや魔術師に恐怖を覚える風に首を縦に振ってみせる。
■四人の影 > 『そうだな……。
一方的に制限するだけでは、『ナイト』も『サモナー』も不満だろう?
代案ぐらいなら出してやる』
代案を出す、こうする事で魔術師は、他の英霊の不満を意図的に取り除こうとしているのだ。
正直、ここで代案すら出せない者は、ただの無能である。
制限するだけでは士気を下げるだけになりかねない。
ならば、一方を鎖で縛った上で、もう片方の鎖を解放してやり、さらにやる気を出させる方向に事を運べば良い。
頭脳明晰な魔術師は、次から次へと手を考えていく。
『『シーフ』よ。
貴様は、落第街をテリトリーにしていたな。
これより、『シーフ』が根城とする落第街を解放する。
『ナイト』と『サモナー』も、好きに落第街を荒らし回るが良い。
あの場所は風紀や公安の眼が最も行き届いていない区域だ。
だが決して安全というわけではないという事は、念を押しておく。
なぜなら、多くの無法者達が暮らしているからな。
もちろん、奴等をいくら殺しても構わぬぞ』
『なるほど、そういう事ね。
納得だよ、『ウィザード』。
なら、予定変更で落第街をあたしの楽園にしちゃおうかな。
あはっ♪』
先程とは打って変わって、召喚師の機嫌がよくなる。
『骨のある無法者がいるといいですね。
強者と戦うのが楽しみです』
騎士は、新たな楽しみを見つけたかのようにゾクゾクとする。
七英霊はこれまで以上に、過激に暴れる事になるかもしれない……。
■四人の影 > 『おい、『ウィザード』』
次に魔術師に反論するは、盗賊だった。
『なんだ、『シーフ』?』
『なんだじゃないよねぇ?
あんな良い場所、僕は誰にも譲る気ないよ?
強盗殺人、し放題の場所だからねぇ。
勝手に解放するって言われても困るんだけどなぁ』
盗賊は、ダガーを振り回し、そしてその刃をペロリと舐めた。
『ウィザード』だけは知っていた。
他の英霊が落第街に近寄りがたいのは、『シーフ』が意図した事であると。
そんな状況を『ウィザード』の口から撃ち消したのだ。
『そんな事、私が知った事か。
落第街はなにも、貴様の物と決まったわけではないのでな。
それとも何か?
私の意に背くというのだな?』
魔術師は、盗賊をギロリと睨む。
七英霊は本来、“表向き”には同格のはずである。
『うぅ……』
盗賊は少し怯えるようにして、魔術師から二、三歩程退く。
『落第街に来てみなよ。
『ナイト』も『サモナー』も罠に嵌めて殺してあげるよ』
罠に嵌めて殺すターゲットの中に『ウィザード』は含まれていなかった。
『あはっ♪
ねぇ『ウィザード』。
この生意気な『シーフ』、殺しちゃってもいいよね?』
無邪気な感じに笑う召喚師。
『そうだな。
今の貴様は、我ら七英霊にとって邪魔な存在という事になる。
『ナイト』よ、今ここで『シーフ』を斬っても構わぬぞ』
魔術師がそう命令すると、騎士は鞘に収めている剣の柄に手を伸ばした。
『分かりました。
『シーフ』、ご覚悟ください』
騎士は、盗賊を睨みつける。
『わ、分かったよ。
もう諦める……。
君達の好きにしていいよ、落第街』
折れたのは、盗賊だった。
本日の七英霊の会議は纏まりつつあった。
ご案内:「謎の場所」から四人の影さんが去りました。