2015/10/11 のログ
リチャード・ピックマン > 「どうやっても弾かれる。クソが!」鼻血をTシャツで拭い、ボトルガムに手を伸ばす。蓋を開けて、一粒取り出して口に放り込む。

先日《銀の鍵》から聞いた、電脳の神が眠るとか言う電脳空間の最奥《ルルイエ領域》。情報を集めるためにここ数日アタックをかけていたが、セキュリティの堅牢ぶりは《図書館》以上であった。
「舐めやがってクソ。畜生、学外からのアクセスをガッチガチに弾いてやがる。」乱暴にガムを噛みながら、情報検索に長けたデータ・スプライトに集めさせたネット上の情報を洗う。
《電子魔術師》が消えて以降、あそこにアタックをかけ、侵入を果たした者はいない。いや、橿原眞人、《銀の鍵》が一度だけ侵入したらしいが。
とにかく集まる情報は~らしい、とか~だって聞いた、という噂程度のものがほとんどだ。
そのうちのほとんどに共通するのは、学園内からのアクセスが必要ということ。
「……。」くちゃくちゃとガムを噛みながら思案する。

リチャード・ピックマン > 一番に思いついたのは不法侵入、だがリスクはデカい。没入(イントロン)中はリアルのことは知覚出来ない。そこで見つかったらまずいことになる。
ピックマンとしての経歴は今のところ綺麗なものだ、それは維持したい。
二番目は職員として入ること、だがこれは手間だ。今から雇われるために面接だの試験だの受けてたら時間がかかりすぎる。
「となると……。ぷっ」味のなくなったガムを、開いているゴミ袋めがけて吐き出す。残念、床に落ちた。
「となると、だが……マジか?俺が?」生徒として入学すること、学園の審査は割りとザルらしい。異邦人がやってきて、その日のうちに生徒証をもらったこともあるとか。
だが、自分が学生という身分になるのは、どうにも想像がし辛い。生まれてこの方そんな身分とは無縁だったのだ。

リチャード・ピックマン > まぁ別に、一時的に学生の身分が欲しいだけだ。青春真っ盛りの連中と一緒に座って、目を開けながら眠る生活をおくる必要はない。
幽霊部員ならぬ幽霊学生となって、空き教室から電脳に繋げばいいだろう。
「俺が学生……?」その違和感は拭えない。だが他にもっと簡単な方法は思いつかない。
「はぁ~~、マジかよ……。」ため息をつきながら回線ポートにコードをつなぐ。
とりあえず、入学志望者用のパンフレットを請求しよう。流石に落第街のチャンピオン号まで、なんて言うわけにもいかないので、まず居住区の適当な賃貸を借りて、そこを送り先に指定した。

「畜生、ねぐらを移さなきゃならねぇなぁ、面倒くせぇ。」苛ついた声で呟きながら、とりあえず持っていくもの、レーションとボトルガム、服をレジ袋に詰め込み始めた。

ご案内:「チャンピオン号」からリチャード・ピックマンさんが去りました。