2016/06/20 のログ
ご案内:「落第街 地下 入り口のない研究室」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > 落第街の地下深く。
下水道などよりも、もっと深い場所に作られた密室。

部屋というには中々に広いが、原理不明の明かりで天井全体が光っている部屋。
面積の1/4が化学実験室のような機材で。
1/4が使い方も分からない東洋のものらしい道具や棚で。
1/4が大小様々な檻で。

残った1/4が、大きなデスクに用途不明の器具が山となったデスクに……まぁ、大きな椅子に座った雫が居た。

雨宮 雫 > デスクに両足を乗せて読むのは昨日、烏丸から依頼された面白ウィルスの資料である。

既に何度も読んだ後だが、読み零しがないか?も含めて、これからも何度でも読むだろう。

「海底遺跡ってこわーいところだったのだね。
 一回行って……見るのはボクじゃ無理かな、かなー……」

資料を捲る。

---
・ディアボロス、ではなくディアブロ・ウィルスが正式名称らしい
・海底遺跡溶けない氷を採取した際に発見された未知のウィルス
・物凄く大雑把に言うと、人に感染すると感染者の細胞と結びつくか何かで変異させるものらしい
---

「こんなのとっとと焼き払えばよかったのにね。
 まぁ、後になってから言える事だけど。

 残ってるからボクのところに話が回ってきて、ボク的には超おもしろーいからいいけどだね、だね。

 こんなのに感染とか終わってるかな、かな。」

雨宮 雫 > ---
ウィルスが宿主を利するケースはそう珍しくないため、身体能力の向上が認められる点は、余り驚くべきところではない。

別に宿主を思いやってのことではなく、宿主が死傷することはウィルス自身の危機でもあるからだ。

身体能力の向上、特に感覚レベルの上昇はウィルスが宿主の感覚器官に侵蝕する等が考えられる。
これは宿主のメリットではなく、侵蝕、汚染、言い方は様々だが、それが進むわけでむしろよろしくない事態である。

こうして侵蝕が進めば、その他の身体能力、あるいは宿主の持つ他の能力が向上するケースも当然、あるだろう。

そうして一定以上の侵蝕が進めば、最早ウィルスは宿主よりも肉体の支配権を得て、ウィルスに都合のいい形に宿主を変化させていくだろう。

おそらく、人間の形を保つことはない。
別に人間の形が生物の理想系ではないからだ。
---

「最後にはオモシロ生命体の一丁上がりってことだね、だね。
 ボク的には、蠱術の参考になりそうで大歓迎だけど……」

ギっと椅子を軋ませて、顔を研究室の、檻の並ぶスペースに向ける。
今は何の物音もしない大小の檻の幾つかには、赤や緑の光点が光って、こちらを見ている。

「噛まれたら感染とかだったら、パンデミック大開催とかすればオモシロいのに、けひひひッ」

雨宮 雫 > 視線を反対側へ。
床に複雑に画かれた陣図の中に、烏丸から提供された死骸が転がっている。

「何も出てこないのはどーしてかな、かな。
 ニセモノ掴ませる意味はないと思うんだけど……依頼とは別の思惑あるのかな、かな。」

死骸には大小様々な、多様な蟲が群がりって今も絶賛、解体検査中だが、科学的検査でもウィルスらしきものを見つけられなかった。

今のところの結論としては

1.死骸がウィルスに侵されたものではない
2.宿主が死ぬとウィルスは死滅し、検査に引っかからなくなる

である。

「烏丸はほんとは、ウィルスを研究して欲しくなかったとか?
 何か別の思惑があって、ボクに話を持ってきた?

 騙して悪いがとかだったら、イヤだね、だね。
 そしたら死ねない地獄コースを八回くらいしないといけないし……この方向性はまだ止めておこうかな。

 そしたら、単純に間違ってたか、死ぬと検出できなくなる方、で考えようだね、だね。」

雨宮 雫 > 「ぅーん、現物がないとちょっと進めるの辛いかな、かな。
 感染者のサンプル早くしてってメールするかな、かな……じゃないとムーリーかな、かな。」

ところで、この死骸はどっから持ってきたのだろうか?
まぁドコの誰でも構わないっちゃあ構わないのだが……

病院のカルテでも漁るか?
いや、全ての病院のカルテや患者のデータベースを漁るのは、いかに自分が保険課の生徒だと言っても不自然すぎる、無理だ。

雨宮 雫 > 残っているのは、テーブルの上に置かれたドリンクだが……


「これもうーん、今すぐどうにもこうにもかな、かなー。」


医学的に、仙薬術的に調べてみているが、今のところコレという目立った物を検出していない。
現状は精神的、肉体的な性的興奮剤だ。

ただし、成分的に この効果狙いなら、これいらなくないか? というのは見受けられるため、更に細かく検査する。

が、投与実験にもやはり現物がないのはどうしても話が進まない。
いっそ、烏丸のいう感染者をこっちに引き渡して欲しい位だ。

そうすれば色んな素敵実験をたっぷり試して、思うさま研究が、ああええと解毒だっけ、が進むのに。
この研究室に拉致もとい招待できれば凄く、話が早いのに。

肉体を隅々まで解剖して、魂まで切り開いて。
終わったら、元に戻しておけば感染者も幸せ、自分も幸せのWin-Winなのに。

「ぁ、ヨダレが……   
 とりあえず、休憩しよっと。上に戻ったら、メール書こうなのだね、だね。」

雨宮 雫 > 人体解剖の楽しさを思い出すのを中断、口元を袖で拭き拭き。

デスクから両足を下ろすと、勢い良く立ち上がる。
徹夜でここまできたし、一回、寮に戻って寝ることにする。

メイドの睡蓮にも外泊してごめんなさいしないといけないし。

スマホを出して烏丸宛のメール文面を作りながら、壁へと歩き出し……

壁に吸い込まれるように、姿は消えた。

雨宮 雫 > 烏丸へのメール

----
Subject: ご相談の件につきまして
本文:

いつもお世話になっております。

提供の検体を精査したところ、依頼されたウィルスは検出できませんでした。
検体の出所の確認は急ぎませんが、このままでは研究を進められません。

感染者の以下の生体サンプルを至急いただきたいと考えます。

・複数個所の皮膚
・複数個所の肉片(内臓からも可能であれば)
・血液

採取が困難な場合はできる範囲で構いません。

ドリンクについては解析中ですが、意図の把握できない成分を複数検出しており、
こちらの研究を進める上でもウィルスの確保が必要です。

最後に、私見ですがこういったウィルスは自然治癒することはほぼありません。

詳細を把握しないままの治療魔法や異能はウィルスの活性化を招く可能性も高く、
実施予定がありましたら、オススメは全くいたしません。

以上、お手数ですがよろしくお願いいたします。

ご案内:「落第街 地下 入り口のない研究室」から雨宮 雫さんが去りました。