2016/07/08 のログ
ご案内:「コスプレ喫茶『バタフライ・エフェクト』」に奥野晴明 銀貨さんが現れました。
奥野晴明 銀貨 > 「いらっしゃいませ、『バタフライ・エフェクト』へようこそ!」

そういって入店してきた男女のカップルを笑顔で出迎えるメイドこと、奥野晴明 銀貨。
今は店に借りた制服である爽やかな水色のフレンチメイドと白いエプロン、肩程度の長さのミルクティ色のウィッグ、薄いナチュラルメイクに白タイツという出で立ちで
果たしてこれが18歳男子の姿であるとは誰も思わないであろう様相である。
人形のような無機的な顔に薄い微笑を貼り付けて、花はあらずとも気品は漂う只者ではない感じのメイドとして接客に応じている。


なぜこういう経緯になったかといえば……テスト期間が終わってごっそりと時間が余ってしまい
珍しく出来た暇をどう潰そうかと考えた際にそういえば自分が所轄アルバイトというものをしたことがないことに気づいた。
普通の生徒のように普通にアルバイトというもので普通に賃金を稼ぎ、労働の尊さを学びたかった、らしい。


別に働かなくとも十分すぎるほどの養育費を受け取っているわけで、他の苦学生に聞かせたら刺されかねない道楽的な理由だが
そこで選んだバイトの場がここというのは、以前行ったことがあってなんとなく店の雰囲気もわかり
数日間という短期でも雇ってくれるという各種条件の良さなども鑑みた結果……なのだ。たぶん。

真意をアルカイック・スマイルに秘めたままどこか楽しそうに注文を受ける。

奥野晴明 銀貨 > 「おすすめはさっぱりしたレモンフレーバーのアイスティーです。
 ご一緒に季節のフルーツを使ったパフェなどはいかがですか?

 ああ、お客様そちらの衣服のご試着終わりましたか?お疲れ様です。
 大変良くお似合いですよ、猫耳は結構人気が高いお衣装ですけれど
 お客様の髪色とあった毛色ですから自然な着こなしで素敵です」

席についた二人組にメニューを勧め、更衣室から出てきたお客にも忘れぬ気遣い。
薄く不快にならない程度の微笑をのせて、営業トークをがんがん飛ばして弾いていく。
初めての接客とは思えない滑り出しであり、それなりに客受けも悪くないようだ。

腰のあたりに丸文字で「せ~め~♡」と書かれた名札をピンで留める。
新人さん用にと手書きで先輩バイトたちがかいてくれたものだ。
心の奥底ではなんだか源氏名みたいだなぁと思わないでもない。

奥野晴明 銀貨 > 「そういえばメイドさーん、こんな噂、知っている?」

そう言って振られるのは人の噂に戸を立てられない、おしゃべりが大好きな女子学生たち。
同じ同性に、それも年下に見える装いが多分彼女たちの心のガードを下げるのだろう。
たやすく様々な情報があまり苦労せずに流れてくるのは、うわさ話が好きな銀貨としては良いものであった。

曰く、学生街に新しく出来たパンケーキのお店が美味しいだの、この間受けた試験の内容がくそくらえだの、
学園の校舎に出る幽霊の話の更新情報、お忍びで通っている芸能人の話(この間電車の中でチャッピー見ちゃった~と嬉しそうに語る様子から、どうやら有名なアイドルらしい。が、銀貨はチャッピーなる相性のアイドルを知らなかった)

あるいは、この島の暗い闇の部分である落第街の噂。
この島で犯罪を、罪を犯したものはたとえ風紀や公安の手を逃れてもこの島に居着く化物に殺される。
その化け物の姿は、美しい女だったり、大きな黒い獣だったり、魔王と名乗るものだったり、呪いを振りまく怪異であったり。

「あのね、女の子が一番綺麗で一番シアワセなときに殺してくれる化物もいるんだよ」

そっと秘密を打ち明けるように銀貨の耳に囁いてくすくすと笑う女子学生。
一瞬だけ銀貨の目が鋭くなったが、それもすぐに茫々としたいつもの眼差しに変わり

「へぇ、怖い噂もいろいろあるんですねぇ~」

と同じように少女の目線と顔で相槌を打った。