2017/05/17 のログ
ご案内:「魔女の隠れ家」にミザリーさんが現れました。
ご案内:「魔女の隠れ家」に藤巳 陽菜さんが現れました。
ミザリー > 合鍵である魔宝の水晶が無ければ辿り着く事すら許されない魔女の隠れ家。
合鍵の水晶を持っていれば通り抜けることのできる壁を抜けると、
牢獄の様な洞窟の一本道に出て遠くに一枚の扉がある。
その先の部屋の中は薄暗く照明は全てランプで取られており、
見たことのない薬草やフラスコに入り泡立つ紫の液体、
壁に貼り付けられたなんの生物かわからない骨など、不気味な雰囲気が出ており、
部屋は何室にも別れている。
呼び鈴は入り口扉の前にある。

「さてと…、まずは調べに入らないといけないわね…」

魔女の隠れ家の最奥の部屋、
生徒である彼女がいつ来てもいい様に準備していた魔道具を一枚板の机に並べていく。

「…不安ね、まだ発達途中の子に耐えきれるのかしら。」

注射針や見たことない禍々しい道具、
まるで生贄の儀式でも始めるのかというほどの雰囲気。

あとは彼女が来るのを待つだけ…

藤巳 陽菜 > 渡されたメモと水晶球にを手にここまでやって来た。
ここまで来て進めば進むほど不安が大きくなってきて
いまや、元に戻れるかもしれないと考えていた期待と拮抗しそうなほどだった。
それでも洞窟のようになった道を進んでついに扉の前まで来た。

(大丈夫。大丈夫よ、私。あの人先生だって言ってたし。
 確認したらちゃんと先生だったし、部屋に行先のメモも残したし…。)

改めて自分の行動を確認する。準備はOK出来る事はした。

「よし、行くわよ!」

そう言ってから少しの時間が経つ。
…呼び鈴を鳴らす勇気が湧かない。
だけど、今度こそ…。

「…行くわ!」

…呼び鈴を鳴らした鳴らしてしまった。
虎穴に入らずば虎児を得ず!リスクは承知の上なのだ。

ミザリー > からん…と音が部屋の中に響き渡る。
(準備はいいわね…、中々呼び鈴鳴らさないから引き返しちゃうと思ったわ?)
最奥の部屋から入り口の扉まで自分の足で歩いていく。
少し待たせて扉のドアノブに手をかけ、
ぎぃぃ。と軋む音を立てて開いた。

「ふふ、よく来たわね?陽菜ちゃん。入ってついていらっしゃい?」

入り口を開いて微笑み一つ見せてから中に入る様に告げると、
扉を開けたまま説明もなしに彼女に背を向けて、
隠れ家の奥へと先に歩いていく…

「…さ、ここが陽菜ちゃんに元に戻る方法を教える場所、このいすに座って頂戴?」

最奥の部屋に辿り着くと怪しい道具が並んだ置き台に、古めかしい椅子、そのいすに座る様に指をさして指示した。
ランプのせいで私の微笑みは少し狂気じみて見えるだろうか…

藤巳 陽菜 > 「こんにちは。ミザリー先生。
 その、なんて言うか…素敵な…お家ですね。童話に出てきそうな感じで!
 えーと、素朴なといいますか…その…アンティーク…といいますか…。」

扉の中の様子もこちらの予想を裏切らずイメージ通りの魔女の家といった感じ。
必死に言葉を選びながら感想を伝える。

「この椅子ですか?」

着いていった一番奥の部屋におかれた椅子。
少し座りずらい感じだが腰を下して残りの蛇体は床に垂れている。

(あれは何に使う道具なのかしら?
 鱗?鱗はがしたりするの?)

見たことも無いような道具。
恐らくあれらを使って身体を弄るのだろう。
…少しくらい痛いのは覚悟していたがそれでも…。
いや、そんな事では諦められない。

「…どうやれば元に戻れるんですか。」

図書館で見たのと同じ顔の…同じ笑顔のハズなのに。
場の雰囲気のせいかその笑顔の表情でさえもこちら不安を煽ってくる。
やはり、自分は騙されたのではないのだろうか?
…そんな思いが込み上げてくる。

ミザリー > 「そうかしら?私がここに来る前の部屋を再現しているのだけど、色々散らばっているし模様替えしようとしてるのよ?
それにしても緊張してるのかしら?声に迷いが見えるわよ。」

部屋に辿り着くまで、背中を向けたまま彼女に語る。
指定した椅子に座るところを確認すれば…

「そう、その椅子よ?
座ったら…ふふ、まだ慌てないで?
元に戻す方法の辿るべき道筋をまず決めなくちゃいけないの。」

急ぐ様に答えを求める彼女、
その様子に私は答えずあくまで自分のペースを保つ。
机の上の道具の一つ、注射器を手に取り怪しい紫の液体を込める。
そしてその注射器を持って彼女の座る椅子へとゆっくり歩み寄り彼女の右腕をそっと握り引き寄せ。

「いまから貴方にこの薬を投与するわ?
その後すぐに起きる貴方の変化、瞳の色でどうするべきか判断するの…
変化する色は2色、赤か青か。
それによって大きく左右されるの…」

(赤であってほしい、できれば苦しむ姿は見たくないの…)

ゆっくりと注射針を彼女の右腕血管へ近づけ、
ぷすり。と差し込みゆっくり注入していく。
体調の変化は訪れないはず。

「…はい、これで貴方の瞳は一時的に変わるわ。
貴方がみて、貴方が色を答えなさい。」

そっと手鏡を渡す。
その表情は微笑みながらも緊張が見える。
私終われば立ち上がり背を向き答えを待つ

藤巳 陽菜 > 「ええ、もう少し明るくした方が良いと思います。LEDにするとか…。
 緊張くらいしますよ。こんな如何にもなところにくれば誰だって…。」

それこそ異世界から持ってきたような雰囲気、非日常に足を踏み入れた感覚が強い。
非日常が身近にある常世学園においてでも特に強く表れている。
…踏み入れる足は無いのだけれど。

「…道筋?
 なるほど、それでどっちに変わったかでどうなるか決めるんですね。」

裾を捲り右腕を差し出す。
見たことも無いような薬。瞳の色が変わるというがそれで何が変わるというのだろう?

「っ!」

チクリとした痛みが右腕に走る。
これで瞳の色が変わったのだろうか?
渡された鏡で瞳を確認すれば…。

「…青です。これで何が分かるんですか?」

瞳の色は鮮やかな青色。
ここまで色が変わるものなんだと感心しながら手鏡を眺める。
背を向けた教師の方を向いてそう答えた。

ご案内:「魔女の隠れ家」にミザリーさんが現れました。
ご案内:「魔女の隠れ家」にミザリーさんが現れました。
ミザリー > 「ふふ、そうね?如何にもじゃないと、魔女っぽくないじゃない?」

冗談まじりで悪戯な笑顔、
その笑顔も今だけだった…
優しい笑顔から少し張り詰めて来た空気、

薬を投与して背を向けてから、
彼女の言葉を待ち、返る答えに強く目を瞑った。

(青…、赤、ではないのね。)

背を向けたのは私の表情で彼女に悟られない様にする為。
心に響く辛い思いを押さえつけ、平常心を保ちくるりと振り返り彼女へ。

「青ね?貴方に行う処置が決まったわ?
…でも、その前に確認していいかしら?」

異能を押さえつける、制御する、引き剥がす。
強い結びつきを引き剥がすことはあまりにも可能性が低い。
彼女に向ける処置は宿った異能を制御する事、
然し、深い結びつき故に楽ではない。
成功例は124例中のたった2回。
奇跡とも言える…
いすに座る彼女と視線が合う様に再びしゃがみ、
語りかける様に、真剣に尋ねる。
そっと、彼女の両手を私の両手で握りしめて。

「いい…?これから貴方に異能の力を制御する力の種を植え付ける。
抑え込むことができるかできないか、そこから先は貴方次第になるわ?
できなければ激痛、苦痛の果てに死に至るわ、
成功しても、成功に至るまで一生に近い痛みと苦しみを味わうかもしれない。
もし乗り越えたら後は私の仕事になるわ。
でも、いま、これをやらなくても、生きては行けるのよ?
…それでも、あなたはやるのね?」

(わたしは…できればやらないと、洗濯してほしい…)

心の声が出てしまいそうだ、
だって、目の前の彼女が苦しむのはみたくないから

ご案内:「魔女の隠れ家」からミザリーさんが去りました。
ご案内:「魔女の隠れ家」にミザリーさんが現れました。
藤巳 陽菜 > 「はい、何ですか先生?
 私の覚悟は変わりませんよ。」

覚悟は出来ている。どんなことでもするつもりでいる。
人の足から蛇の身体に変わってからかなり苦労してここまで動かせるようになった。
頑張れば出来ないと思っていた事でも出来るようになる。
陽菜はそれを知っている。

だから真剣な表情で手を掴まれてもそれを見返してそう言えた。

「死に至る…。」

本気の口調で語られるその言葉に血の気が引く。

死。

それから後の言葉はあまり入ってこなかった。
現実感の無い自分には関わりの無かった言葉。
覚悟はしてきたつもりだった。
だけど、それがその覚悟がどれだけ甘いものだったのか…。
確かに元の身体には戻りたい…でも、でもその為に死んでしまったら何にもならない…。

「…ごめんなさい。先生。
 覚悟はできてるなんて言ったのに…。
 命を賭けるなんてことは私には出来ないわ…。」

考えれば考えるほど重く感じる。
命を賭けてなんて口ではいくらでも言える。
でも、実際は違う。怖い、怖い。死にたくない。

「…私は、私はただ普通に戻りたいだけなのに。」

涙が頬を伝う。一本、二本と
所詮、今まで普通に只の人間として暮らしてきた少女の覚悟なんてそんなものだ。
死ぬ事を覚悟する事なんて出来る訳がない。
そんな恐怖に耐えられる訳がない。

ミザリー > 言葉から彼女の苦しみが伝わってくる。
私にもっと力があれば、何とかできる方法があれば、と。
彼女のために時間を費やしたつもりだったが、
この選択肢しか選べなかった。

「そうよね、あなたは戻りたいだけなのに・・・。
ごめんなさい、私の力が足りなかったわ・・?
あなたはよくがんばった、がんばったわよ。」

彼女のほほに伝う涙を私の手でそっと拭い取り。
今にも心が崩れてしまいそうな彼女を支えるようにそっと、
彼女に手をまわしやさしく抱き寄せる。

「大丈夫、大丈夫よ・・・。
私が身代わりになってあげられたら・・・。身代わりに・・・」

彼女を包み込む中、一つの案を思いつく。
抱き寄せたまま彼女にささやく。

「ねぇ、陽菜ちゃん。一つ提案があるの。
・・・私の、魔女の後継者を目指してみる気はないかしら・・・?」

もし、私と同じ魔力を宿したなら、力を宿したなら。
異能の力に抗うことができるかもしれない。
きわめて低い成功率もあがる。

こんな状態だけれどあえて聞く。
彼女の心が折れてしまう前に。

藤巳 陽菜 > ようやく、ようやく見つけた方法なのに…。

「先生…先生の力が足りなかった訳じゃないんです。
 私の、私の覚悟が足りなかったから…。」

この先生は確かに元に戻る方法を提示してくれた。
普通の人に戻る道を示してくれた。
それにこたえられなかったのは自分だ。
自分に覚悟があれば…もっと自分が強ければ。

温かい腕に抱かれながらも不甲斐なさと悔しさで涙は未だに溢れてくる。
もっと努力していれば…もっと、もっと、後悔が溢れてくる。

「…魔女の後継者?
 魔女になれば元の身体を取り戻せますか?
 …私はもっと、強くなれますか?」

涙を拭って問いかける。

藤巳 陽菜 > 【続きは後日。】
ご案内:「魔女の隠れ家」から藤巳 陽菜さんが去りました。
ご案内:「魔女の隠れ家」からミザリーさんが去りました。