2017/11/26 のログ
ご案内:「演習施設」にセシルさんが現れました。
ご案内:「演習施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
■セシル > 常世祭。演習施設は異能や魔術に親しみを持ってもらうべく、各種デモンストレーションを披露する場と化す。
客席も設けられ、パフォーマンスステージとしての最低限の体裁も整えられている。
セシルは、「魔法剣を含めた複数の魔術を同時に使いこなす良いお手本になるから」と教師に薦められ、その客席にいた。
もっとも、演武とはいっても、ダンスパフォーマンスの色彩も濃いプログラムではあるのだが。
■龍宮 鋼 >
(特に魔術や異能のデモンストレーションに興味があったわけではない。
かと言ってダンスの方に興味があるわけでもなく。
言ってしまえばただの暇潰しだ。
見たところでどうせ退屈だろうと思ってはいたのだが、どうやらそうでもないらしい。)
――よう。
(知った姿を見つけ、挨拶をして隣に座る。
彼女と話していれば、それなりに楽しめるだろう。)
■セシル > 知った声をかけられ、そちらの方を見る。
「ハガネか、まさかこんな場所で会えるなんてな」
はは、と鷹揚に笑う。
「私は私で実戦における魔法剣の手本になるレベルのパフォーマンスだからと先生に薦められて来ているから、少々不純だが」
そんな風に笑いながら言って、ステージの方に視線を移す。
施設内の照明が絞られ、開演前のアナウンスが流れ出した。
■龍宮 鋼 >
いいんじゃねぇの、使えるもんは使やぁ。
(別に不純とは思わない。
教師がそういうのならそうなのだろうし、実際そういう目的で来ているやつもいるだろう。
自身は違うが。)
つーか異能でパフォーマンスってどうなんだろうな。
どうせそいつしかできねーだろ。
■セシル > 「まあ、ずっと一人で鍛錬していても煮詰まるだろうしな」
ステージの方を見たまま苦笑いを零す。
セシルの性格を考慮した教師が、息抜きを兼ねて提案した可能性はあり得るだろう。
「ああ、今日は異能ではなく魔術…特に道具を利用して魔術を行使するものと演武の融合だから、理論上は他の人間にも可能なはずだぞ」
「理論上は」と付け加えたのは、自分の手本として薦められるレベルのものが、やすやすと万人に出来はしないだろうという、ちょっとしたプライドもあるだろう。
ステージ中央が照らされる。
まず立っていたのは、黒地に炎が描かれたドレス、紅い髪をひっつめてまとめたところに鮮やかな青い花をつけた…猫を思わせる瞳が印象的な女性だ。
大きな羽根扇子を携えている。
■龍宮 鋼 >
ま、そりゃな。
(覚えはある。
自身の場合は息抜きなどせずやってきたけれど。)
はぁーん。
(まるで興味のなさそうな声。
個人的には演武を見たって楽しくもなんともない。
どうせならバチバチの殴り合いの方が見ていて楽しいし、そもそも見ているよりやった方が楽しいのだから。
脚を組んで背もたれに寄りかかり、腕組みをしてだらりとステージを眺める。)
■セシル > やがて、弦楽器の色彩感溢れる音楽が流れ出す。
女性は、扇子を片手にダンスパフォーマンスを始めた。
曲線を描く腕の動きに添って揺れる羽根扇子が、色とりどりの炎の華を舞わせる。
もう一方の手で時にドレスの裾を翻しながら、音楽の変拍子を強調するように、時に高く足を鳴らすと、それに合わせるかのように、炎の華が形を変える。
鮮やかな魔術のパフォーマンスだけでなく、女性の芯ある表情と身体の隅々まで行き渡る緊張感が、炎の核にある「情念」として主張し…彼女は、足を高く鳴らしながらステージをめいっぱい使って表現をする。
羽根扇子が炎を出すのはもちろん、足を鳴らしてその形が、広がり方が変わるのは、彼女がダンス靴を介して風の「魔法剣」を行使しているためだ。
(…足で、魔法…!?)
セシルの方は、驚愕の顔つきで見入っている。
■龍宮 鋼 >
(横目で隣の友人の驚く顔を見る。
正直ステージ上の女性が何を思ってやっているかなどどうでもいい。
むしろそれを見ていちいち驚いている友人の方がよほど面白い見世物だと思った。)
――あのなぁ、あんなことァ俺だって出来るぞ。
(ニヤニヤと笑いながら、つま先でトントンと地面を叩く。
今使ったわけではないが、「地撃拳」と名付けた自身の魔術は足の裏から魔力を放つ。
魔力を使うのは手じゃないといけないという決まりはないし、むしろそういう意味では裏の連中の方がよほど柔軟だろう。)
■セシル > 「…魔術の出力元を手や剣以外で制御出来るほど器用じゃないんだ」
ステージの方を見ながらぼそりと。出身世界の基準もあるだろうが、自分が魔術の才能に恵まれているなんて考えたことは無い。
セシルが何よりも驚嘆しているのは、複数の属性を絶え間なく…それも手以外の場所でコントロールしながら、「魅せる」ことが出来てしまうという身体・魔力の総合的なコントロール技術だった。
女性が一曲踊ると、彼女を照らしていた照明が消え、別のところにライトが当たる。
そこにいたのは、袖の膨らんだヨーロッパ風の民族衣装を身に着け、湾曲した剣を二本構えた男性だ。
■龍宮 鋼 >
んなもん慣れだ慣れ。
箸使うのと一緒だよ。
(そう言って右手で箸を使うふりをして見せた。
自身は魔力の性質上属性の使い分けは出来ないが、踏み込んで拳を放ち、インパクトの瞬間に質量を乗せると言う、魔力と運動の連動をは出来る。
最初は出来るかどうかわからなかったが、慣れてみればどうということはない。
今では地面さえ捕らえればどんな体勢からでも放てる自身があった。)
演出に凝るねェ。
(とはいえ剣があるだけ先の女性よりは楽しそうだ。)
■セシル > 「………まあ、少しずつでも慣れてはいくさ。鍛錬を続けてな」
エキゾチックな音楽が流れ出すと、男性は大きく腕を動かして剣を振った。
男性のパフォーマンスは、氷と、その輝きを操作する光の魔術。
そして、卓越したアクロバティックな動きを含むダンスだった。
足の勢いを活用して綺麗に旋回をする。時には、高く跳びながらくるりと回ってみせる。
両手が剣で塞がっているのに男性の姿勢は美しい均整を崩さず、そのアクロバットな跳躍は、冷たい氷の七色の輝きに彩られながら、軽やかさや柔軟さを失わない。
男性は、まるで体重がないかのような動きを見せた。
「………。」
セシルはその身体能力と魔術の均衡にまじまじと魅入っているが、身体能力に優れる鋼にとって、アクロバティックな動き自体に見るものはないだろう。
それを派手に「魅せる」という技術、そのために使うという姿勢がどう映るかといったところだろうか。
■龍宮 鋼 >
ケンカした方が早えぇんだけどなぁ。
(十の鍛錬より一の実戦、かどうかはわからないが。
裏の住人らしい乱暴な言葉である。)
……。
(同じく黙って演武を見ている。
しかし見ているところのは彼女とは違う。
焦点は演武ではなく、彼とケンカした場合どうするか、の方だ。
あの動きをそのまま使ってくるわけではないのはわかる。
ただ相当身軽であることは確かで、武器というリーチの差もある。
剣は横っ腹を叩いて叩き落し、飛ばせるために一発パンチを出して、跳んだところを蹴り飛ばすか、と考えて、右拳に力が入っているのに気が付いた。
小さく舌打ちをして、左手で右手首を掴む。)
■セシル > 「いきなり新しいことは難しいだろう」
「私の要領が良くないのは知っているくせに」と、苦笑い。
鋼を「友」と認めながら、自分の生き方を裏に寄せようとしないのも、それが理由の1つにあるだろう。
最後、男性が踊りながら女性が待っていた地点まで移動し…曲調が盛り上がって、演武のようなパフォーマンスに発展する。
もちろんパフォーマンスなので本気の打ち合いではない。
剣の動きに合わせて女性は足を高く鳴らして身を翻したり、あるいは羽根扇子に炎と風を同時に纏わせ、二刀の間で大きく振るって押し返してみせたり。
また、女性が展開する炎の華を、男性が冷気を纏わせた剣で「斬った」り、あるいは剣を閃かせて女性を後退させてみせたりといった攻防のパフォーマンスは、魔法の派手さ、音楽の盛り上がり…何より、両者の真剣な表情も相まってなかなかスリリングに見える。
■龍宮 鋼 >
それこそ慣れだよ。
(とは言いながらも、無理にそうさせようとは思わない。
人のやり方には口を出さない主義だし、自身のやり方はあまりにも危険だからだ。
二人の演武になってからはいよいよ退屈になってしまった。
あくびをして眠そうな目でステージを見ている。
ケンカなら避ける必要のないものを避けたり、一つ二つ放りこめそうなところで引いたり。
実戦慣れしすぎている自身にとってはとても退屈に感じてしまう。
もちろんケンカとこれが違うのはわかっているが。)
■セシル > 最後には、炎の華、輝く氷がステージ上空に華やかに散って演武は幕を閉じた。
ステージ上でお辞儀をするパフォーマー2人に大きな拍手が寄せられ、セシルも誠意を込めて手を叩く。
そうして、演武が終演した後。
「…ハガネにとっては外れだったらしいな」
ステージの方を見ていたなりに、鋼の様子は気にしていたらしい。
苦笑いを込めながら、改めて鋼の方を向いてそんな言葉をかけた。
■龍宮 鋼 >
(パフォーマンスが終われば、一応は拍手をしておいた。
礼儀、というよりは隣の友人への気遣いのようなものだが。)
まぁなぁ。
本気じゃねーのが見てわかるしよ。
(もちろん彼らはいい演技のために本気でやっていたのだろう。
自分としては本気のド付き合いの方が楽しいのだ。
どんなに真剣に避けていても、当たらない拳ではぬるく見えてしまう。)
俺ぁやっぱこう、ボクシングとか見てた方がおもしれーな。
■セシル > 「身体の隅々まで集中してコントロールして、その上であれだけ魔術を行使して、しかもその「見映え」をコントロールしている…と考えると、私には途方もないくらいなんだがなぁ」
自分と、友人と間での「本気」の感じ取り方の差異に、苦笑いを零す。
「靴」を媒体に「魔法剣」を使ってみたり、複数の属性を同時に道具に乗せてみたりと、セシルからすれば上級技巧な上に、それをパフォーマンスに仕立てるというのはもはや「離れ業」の域なのだが。
(実際、パフォーマーの彼らは「魔法剣」を履修した学生で、今年卒業見込みだ)
「一時期はそういうものも盛んだったようだが、独立した地域で未成年を戦闘訓練することに批判があったらしくてな。公式にはあまりやらなくなったらしい。
…黎明期を過ぎたとはいえ、この学園都市もまだまだ発展途上、ということかもしれんな」
演武が終わり、客席が帰ろうとする人々で賑わい始める。
セシルも、帰る流れに同調すべく立ち上がった。
■龍宮 鋼 >
すげーとは思うけどな。
やってることァ一輪車乗って右手でジャグリングしながら左手で雑誌読んでる、みたいなもんだろ。
やれって言われてもやれねーけど、やれたからどうってもんでもねーし。
(自分にとってはどこまで行っても結局「曲芸」でしかないのだ。
有益ではない、とまでは言わないが、やれたところでケンカに強くなるわけでもなく。)
魔術の訓練なんかさせといて何言ってんだか。
――ま、ボクシングやってもプロのリングに立てるやつァ、この島じゃ少なそうだしな。
(才能がないという意味ではなく。
あまりにも有利すぎる。
例えば自分がプロのリングに立てば、一年以内に全階級制覇出来る自身がある。
隣の友人だって、オリンピックにでも出れば大変なことになるだろう。
よっこらしょ、とおっさん臭い掛け声とともにこちらも立ち上がる。)
■セシル > 「…「心」を掴めるのならば、それはそれで「強さ」のうちだろう」
セシルの心に残っているのは、特に「情念」を表現してみせた女性の方の表情…特に、その瞳。
芸術は抽象だ。言語以前の領域を鷲掴みにされたときの感覚を表す言葉を、セシルは持たない。…だからこそ、セシルは彼らを尊重する言葉を選んだ。
「肉体強化の魔術やら異能、あるいは肉体の特性でどうにでもなってしまうだろうからな…今日の2人はそちら方面の有利が無かったのも驚きだが」
セシルの異能はシンプルだが、それこそ「悪用」出来そうなスポーツはいくらでもある。
故郷では異能も魔術も珍しくなかったからこそ、素の剣術の技量が厳密に確認された。
「………この後、何か予定は?」
まあ、ガチンコの格闘技とは言わずとも、鋼が楽しめる催しの一つや二つや三つくらいはあるだろう。
そのくらい、常世祭の規模は大きいものだ。
「外れ」を掴まされた友人を労うべく、そんな声をかけた。
■龍宮 鋼 >
まーな。
(そこは同意する。
芸術というものはいまいちわからないが、そういう心をぶん殴られるような感覚にはたまに出会う。
そんなものを作るやつもまた「強いやつ」だ。)
俺みてーなのはなんもしなくても反則だからな。
(強化しているわけでも道具を使っているわけでもない。
普通に生きているだけで人の範疇を飛び出てしまっているのだから、人間が強さを比べる場には登れないのだ。)
とくにねーな。
店の方も今年ァ人も足りてっし。
(自身は去年に引き続き屋台を出している。
去年は自身が鍋を振るうので忙しかったが、今年はむしろこうしてぶらぶらしている程度には暇なのだ。)
■セシル > 「記録の類はしょうがないにしても、ハガネのような者も立ちうる「競技」の場があれば、この世界もより面白くなるんだろうがなぁ」
しみじみとそんな事を言う。
セシルの異能は、発動させないでおこうと思えばおけるし、だからこそ故郷で「剣で身を立てる」ためのステップを昇っていくことが出来たのだ。
「そうか…それなら、少し実習区のブースなり発表を見て回らないか?
ハガネが楽しめるようなものも、あるかもしれないし」
朗らかに誘うが、鋼の退屈そうな空気感がよほど印象に残っていたのだろう。
■龍宮 鋼 >
別に要らねぇよ。
俺はケンカ出来りゃそれでいいし。
(この世界をつまらないと思っているわけではないし。
風紀委員を前に堂々とケンカと口にする。)
発表ねぇ。
まぁどうせ暇ァ潰さねぇといけねぇし、いいぜ。
(発表とか聞くとどうしてもお堅い雰囲気のイメージになってしまう。
それでも何もしてないよりはマシだし、退屈ならば彼女と話していればいいのだ。)