2018/02/15 のログ
ご案内:「訓練施設」にセシルさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
■セシル > 自主訓練のためだけなら、時間は意識しなくて良いはずだ。
しかし、その日訓練施設に現れたセシルは、妙に時間を気にしていた。
(…5分前か。「これ」が溶けても辛いし、まあ無難なところだろう)
休憩スペースのベンチに座り込むセシルは、手に下げた紙袋をやたらと気にしているようだ。
上品な質感の、黒い紙袋。
■龍宮 鋼 >
うーす。
(歩きながら彼女へ声をかける。
待ち合わせの時間にはまだ少し早いはずだったが、すでにその場にいると言うのは律儀なものだ、と素直に感心して。)
急にあんなメールよこして、どうした。
(先日「甘いものは好きか」とメールで聞かれた。
好きとも嫌いとも言えないが、あるなら食べる、と答えたらここに呼び出された。
笑いながら訪ねて、隣に腰を下ろす。)
■セシル > 「早いな、ハガネ」
待ち合わせの時間より少し前にやってきた相手に、空いた手を上げて応える。
「いや、せっかく人に贈り物をしやすい時期だから、活用したいと思っただけだよ」
「相談に乗ってもらったりもしたしな」と笑って、隣に座った彼女の方に、紙袋を持ち上げてみせた。
セシルの私服の趣味とはマッチしそうな、紙袋。
■龍宮 鋼 >
――あぁ。
(そういやそんな時期だったか。
そういうのとは一切縁がなかったので、忘れていた。)
まぁくれるっつーなら貰っとくけどよ。
知られたらファンがうるせーんじゃねぇの。
(なんせ彼女は「王子様」だ。
もらう側であろう彼女が贈る側に回ったことが知られたら、ファンの女の子はショックを受けるのではないかと。)
■セシル > 「甘さが控えめで、コーヒーの風味がつけてあるんだ。
私が食べやすいと思ったから、多分大丈夫だと思う」
そう言って、紙袋を差し出す。
紙袋の中には、鮮やかな赤の包装紙に、チョコレートカラーのリボンが飾られた箱が入っている。
「私に贈り物をしたいと思ってくれる者達の好意は嬉しく思うが、断ることが決まっているのだし、縛られ過ぎてもな」
鋼の心配に、そう言いながら肩をすくめて苦笑い。
「…まあ、「王子様」に収まらない「人間」としての私も「こちら」で生きる覚悟というか、観念というか…そういうものも出来つつあってな。
ならば、「人間」としての私を近くで見て、接してくれた者に感謝の気持ちを示すくらいはしたいと思ったんだ」
「委員会の同僚に女性陣が配るチョコレートの割り勘にも参加したし、今更だ」なんて付け足して、朗らかに笑った。
■龍宮 鋼 >
ほーん。
(紙袋を受け取って中を覗く。
箱の外まで匂いが来るわけもなく、なんだか高そうだ、と言う感想が浮かぶだけ。
こういうのに疎いと言うのもあるが。)
お前のファンに刺されんのは勘弁だぞ。
――ありがたく受けとっとくわ。
(冗談を飛ばしながら箱を取り出し、包みを開ける。
高そうなチョコを一つ取り出し、食べる。
なるほどコーヒー風のチョコだ。)
お前も食うか?
(もごもごさせながら箱を彼女の前に突き出して。)
■セシル > 「…その時には、私が責任持って止めるし捕えるよ」
「ないとは思うが」と付け足しつつ、困ったような笑いで受ける。
「いや、私は店で試食させてもらったし、良いよ。
ハガネのために用意したものだし」
箱を突き出されれば、手で遠慮のジェスチャー。
「店で試食出来た」ということは、それなりに良いブランドのチョコレートではあろう。
セシルも別にこういったものに特別詳しいわけではないが、目の前の相手よりは触れるためのハードルが低いのかもしれない。
■龍宮 鋼 >
流石に俺もお前のファンぶん殴りたくはねぇなぁ。
(へら、と笑って箱を引っ込めた。
チョコの試食が出来るとは知らなかった。
そういう店へ行くことへの抵抗はそうでもないが、機械がない。)
俺だけ貰うっつーのもアレだな。
なんか欲しいもんあるなら買って寄越すけど、どうする。
(来月に返すと言うのもなんだか違う気がする。
チョコももう売っていないだろうし、どうしたものかと考えながら。)
■セシル > 「まあ、今回の件をきっかけに「王子様」でない私が知られるのは、総合的には悪いことではないと思っているんだ。
この世界で「身の丈」で生きるためにも…そういうことを、相手に考えてもらうためにも」
そう言って、少しだけ伏し目がちに、穏やかに笑う。
…が、次の質問に、眉を顰めた。
「欲しいもの、か…と言っても必需品の類を頼むのも芸がないよなぁ…」
うぅん、と少し悩んで…
「………ハガネオススメのお菓子があれば、それが欲しい。
私自身は甘いものをあまり食べ慣れていないから…何か、とっかかりを作ってみたいと思うんだ」
「この世界にいると、甘いものがあまり食べられないのが勿体無い気がしてくるんだ」と、真顔で、鋼の顔を見ながら。
■龍宮 鋼 >
つーことはこっちで暮らすことにしたんか。
(帰るか残るかを悩んでいると前言っていたが、答えが出たと言うことだろうか。
出たのなら、良いことだ。)
甘いもの、なぁ。
(顎に手を当てて考える。
とは言っても自分から甘いものを食べようと思ったことが無い。
となると必然的にそういうものにも疎くなる。
しばらく考えた末、)
俺の知り合いにクレープ売ってるヤツァいるけど。
(と言ったありきたりな情報しか出てこなかった。)
■セシル > 「暮らすことを選んだというか…そもそも帰ること自体が容易ではないらしいからな。
観念した、の方が近いかもしれん。
…でも、この世界の自由な空気は好きだし、仕事中心とはいえ関係性を作っていけばそこに「人間」としての私の居場所も出来てくるからな。
絶望、とまでは思っていないという感じかな」
「卒業した後どうやって生計を立てていくつもりかと聞かれると、頭は痛いが」と、それでも穏やかに笑って。
…そして、どうやら自分以上に甘いものに疎いらしい鋼の言葉にも、落胆した様子もなくにっと笑って。
「良いな、今度一緒に食べに行こう」
と、穏やかな地声で頷いた。
■龍宮 鋼 >
まぁ、違う世界に道つなげるなんざ、想像も出来ねぇからなぁ。
(そもそも違う世界と言うのが想像もつかない。
「門」が開く原因や仕組みもよくわかっていないらしいし、それが無難なところだろう、とは思う。)
お前が風紀じゃなきゃあウチにスカウトするんだがなぁ。
(苦笑いしてチョコをもう一つ。
流石に元風紀委員を違反組織に引き込むわけにもいくまい。)
おうよ、礼っつーには安いけどな。
■セシル > 「そういう魔術やら異能やら、使い手はいるのかもしれんが…そうそう縁のあるものでも無いしな」
「私も想像出来ん」と言って苦笑する。
「私は、「そちら」の領域で上手く立ち回れるほど器用ではないぞ。想像出来るとは思うが」
変なところまで真面目で、変なところで世事に疎い。
だからこそ「夢の王子様」というイメージを引き受け続けてこれたし、今もいきなり断ち切るようなことはするつもりはないのだろうが。
そういった性質は、裏では面倒なことこの上ないに違いないだろう。
「いや、こういうのは気持ちが一番大事だろう?
友人とそういう機会が作れるだけでも心が躍るよ」
「悩みを相談したり出来る、距離感の近い「友人」だからこそ、一緒に遊んだり、何かを食べに行ったりする機会が楽しい」。
少なくとも、セシルの頭の中ではそういうことのようであった。
■龍宮 鋼 >
ッハ。
俺だって器用じゃねぇよ。
そうじゃなきゃ、こんなこたぁやってねぇ。
(放っておけなかったから受け皿を作ったのだ。
裏に生きるものなら自分から面倒を背負い込むような真似はしない。)
嬉しいこと言ってくれるねェ。
(楽しそうにクックと笑って。
まさか風紀委員から「友人」と呼ばれる日が来るなど、思ってもいなかった。)
■セシル > 「…確かに、それもそうか」
会ったばかりの頃も、擦れたように見えても芯の真っ直ぐさを失っていないように見えた。
今、裏で生きるなりの「意義」を得て、彼女の真っ直ぐさはどんどん輝きを増すように見える。
穏やかな笑みが、あまり女性的でないなりに整った口元から溢れた。
「何を言っているんだ。最初に友人だと言ってくれたのはハガネの方なのに」
「私は返しているだけだよ」と、朗らかに笑った。
■龍宮 鋼 >
ま、無理にたァ言わねぇ。
お前にも面子あるだろうし、――一応風紀の方にも面子あるだろうしな。
(彼女が加入すれば、薄くとも風紀との繋がりが出来ることになる。
それが良いことなのか悪いことなのかはわからないから。
だから無理に誘うつもりもない。)
それも含めて、な。
――あぁ、本当。
思ってもいなかったよ。
(嬉しそうに、しかしどこか寂しそうに。
彼女の方は見ず、柔らかい笑みを浮かべる。)
■セシル > 「両方が立てられるならばそれに越したことはないだろうが…どうすれば上手くいくのかも想像がつかんしなぁ」
苦笑いを浮かべる。
目的自体は一致が見出せるものの、上手い調整の仕方などセシルには想像もつかなかった。
「…何だ、軽口でも返されるかと思っていたのに…」
そう言って笑いながら鋼の方を見たセシルの口元から笑みが消え、そして言葉も途絶える。
柔らかい表情。嬉しそうなのに、どこか寂しそうな翳りが見える。
彼女の過去に複雑な事情があること自体は知っている。
でも、その中のどのような要素が彼女に今の顔をさせているのか、見当違いなことを口に出すことが怖かった。
「…ハガネ、私はハガネの味方だから」
ただ、ポツリとそう呟いた。
■龍宮 鋼 >
卒業していくとこ無かったら連絡してくれや。
――お前に限ってそんなこたねぇだろうけどな。
(彼女は真面目だし優秀だ。
表でも行くところは割と自由に選べるだろう。)
――ん。
あぁ、そうだな。
知ってる。
(彼女は真面目だし、優秀だ。
そんなダチが味方だと言うなら、きっと味方で居てくれるのだろう。
ありがたいことだ。)
一つ、頼んどいてもいいか。
■セシル > 「買い被りだよ。この世界で出来ることがどれほどかと考えると不安になることもしょっちゅうだ」
困ったように笑う。
真面目ではあるが、飛び抜けて優秀というわけではないセシル。
無論真面目さはどこでもそれなりにやっていくための足がかりとはなるだろうが、「働く」となったらまた別の問題が色々発生することは覚悟していた。
「………何だ?」
「知ってる」。そこまで信頼されているということに、喜びと重みを感じながら。
静かに、そう尋ねた。
■龍宮 鋼 >
(聞かれても、しばらく黙ったまま。
五分ほどそのまま黙っていたが、)
――あぁ、なんだ。
お前にこんなこと頼むのァ気が引けるんだが。
(背もたれに身体を預けて、)
俺が俺じゃなくなったら、頼むわ。
■セシル > この二人が訓練施設に揃って、身体を動かさずに話しているのも、両者を知る者にとっては奇妙な光景であるだろう。
しかし…そんなことなどどうでも良いくらいの雰囲気が、そこにはあった。
「………私に何かあった時にハガネが殴ると言ってくれたいつかの話の…更に深刻になったようなものと、思えば良い、のだろうか」
重い空気を少しでも飛ばそうとするかのように、深めの息をついて。
「…ハガネに届く剣を課されたと思うと、正直荷が重いが…
…他ならぬ友の頼みだ、果たせるように努力しよう」
「そんな機会、訪れないに越したことは無いがな」と言って、真っ直ぐに伸びたまつ毛を、静かに、ゆっくりと上下させた。
■龍宮 鋼 >
悪いな。
(友人に頼むことではないだろう。
しかし、友人だから頼みたかった。
他の誰かになど、任せたくはない。)
――機会がなけりゃ、良いんだけどな。
(そんな機会は来ない方が良いに決まっている。
来なければ、頼むこともないのだ。)
■セシル > 「そんな機会が来ないように…出来るだけ、近くにいられるようにするよ。
きっと、ハガネは信頼出来る誰かが側にいれば、「間違えない」と思うから」
自分を…それ以上に目の前の「友人」を安心させられるように、セシルは柔らかい笑みを作ってみせた。