2018/08/08 のログ
ご案内:「船着き場」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 「それじゃ、また9月に学校で会いましょ。」

そんな言葉を交わして船に乗り込んでいく少女たちの一団を見送る。
彼女たちは夏休みの帰省組、自分はそれを見送る側。

各々目的地はバラバラだが、せっかくだからと示し合わせて今日を出発日とした。
自分も誘われてはいたが、あいにくと他に帰る場所の無い身なので丁重にお断りした。
表面上の付き合いではあるが、見送りという形で友人としての務めも果たした。
遠ざかる船を最後まで見送ることなく船着き場を出て、外のバス停へと向かう。

鈴ヶ森 綾 > 「うっ…。」

外に出ると午前中とは思えぬ猛烈な日差しが照りつけてくる。
待合所で見たデジタルの温度計によれば気温は既に33度。
人間より頑丈にはできているが、それでもこの暑さはなかなかに堪える。

「あら…まだ暫くあるのね。」

白い日傘を手にバス停までやってきて時刻表に目を通して見てみると、
中途半端な時間のせいか次のバスが来るまでたっぷり20分はかかるようだ。
歩いて帰れない距離ではないが、この炎天下を歩き回るのは些か気後れしてしまう。

鈴ヶ森 綾 > さて、どうしたものか。
一先ず屋根もないバス停の側からは一旦退避。待合所の軒先へと逃げ込んで備え付けのベンチに腰を下ろす。
冷房の効いた屋内へ引っ込んでもいいのだが…。

「夏は夏らしく…暑がるのも風情かしらね。」

そんな理屈を呟き漏らし、日傘を畳んで暫しの間蝉の声と潮風の音に耳を澄ませる。
風は正直生ぬるく、乾けば不快なベタつきが待っているのだろうが、
こうしている今のうちはそれ程悪くないものに思える。
他に人がいないのを良いことに、小声で古い歌などを口ずさんで夏の暑さを満喫する。

鈴ヶ森 綾 > そうして待つこと20分、ようやくやって来たバスに乗り込み最初に思った事は
『やはりクーラーは素晴らしい』であったかどうかは本人のみぞ知る。

ご案内:「船着き場」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。