2015/07/11 のログ
ご案内:「常世港・第三埠頭」に緋群ハバキさんが現れました。
■緋群ハバキ > 今日もまた、第三埠頭には釣り客の姿がちらほらと。
赤マフラーの少年が竿受けに釣り竿を預け、缶コーヒーを片手にぼんやりと水平線の向こうを見つめているのもいつものことである。
委員会業務の合間にこの埠頭を訪れ、釣果は無いがさりとて雑事に煩わされる事もない。
そんな時間の過ごし方は、確かに気に入ってはいる。
「ふっふーん ふーふふふふふふふん ふーふふーふ ふーふふーふん
ふーふーふー ふふふふんふん ふっふふーんふーん
とかちつくちて?」
うろ覚えな鼻歌を疑問符混じりに漏らしながら、缶コーヒーを口につけ、傾ける。
■緋群ハバキ > そんな彼が腰を下ろした隣。
一人の男が、少年と同じく水平線の向こうへと視線を向けて並んだ。
ブリーフケースを提げ、如何にも商談帰りのビジネスマン然とした四十絡みの男は閑散とした埠頭には少しばかり異彩に映る。
が、ハバキはそんな男に一瞥をくれただけで特に何らかの感想を覚えた様子は無い。
『やぁ、釣れるかい?』
男は、ハバキにそう呼びかける。
傍らのバケツの中身は、来た時に汲んだ海水が揺れるのみ。
「いんや、さっぱり。
……わざわざ出張ってくるとは。珍しいね」
肩を竦めて、そう応えを返した。
どうやら、少年と男は互いに面識があるようである。
■緋群ハバキ > 『観光するには良い所だからな』
何処か、皮肉げな笑みを浮かべて。男は答える。
対する少年は困ったような苦笑い。
暫し、海鳥と漣の音だけが静かな埠頭のBGMとなった。
沈黙は、何処かしら互いの間合いを測り合うような緊張感を孕んでいた。
「……。
とりあえず、報告事項はいくつかある」
沈黙を破ったのは少年の方であった。
視線を合わせる事無く、事前に用意していた文章を読み上げるような調子で言葉を紡ぐ。
「調査部別室第二特別教室は『室長補佐代理』の代替わりがあった、らしい。
詳細は俺みたいなペーペーではアクセス出来ねーけど、十中八九前の時に報告した件が後を引いた結果だろうね。
公安所属の生徒が無差別テロを起こしたってのと時期的に重なる。『何もなかった』なんて事は無いだろ。
後は……ロストサイン残党勢力の活発化、か。マスタークラスが数名、活動を再開してるそうな。
と言ってもそっちの対処は風紀の管轄だし、事務方の俺の方に降りてくるのは、詳細のボカされた毒にも薬にもならん注意喚起程度のもんだよ」
部外秘、と呼ぶには微妙な周辺情報からの推測。
確度に劣る情報を語り、コーヒーを一口啜る。
だが、聞いていた男は満足気に首肯し、口を開いた。
『要は、すべて世は事もなし、という事かね。結構な事じゃあないか』、と。
ご案内:「常世港・第三埠頭」にエルピスさんが現れました。
■エルピス >
見回りの最中、ハバキの姿を見つけた。
こそっと追ってみれば、知らないおじさんと話している。
そっと聞き耳を立て、様子を伺う。
ご案内:「常世港・第三埠頭」に槙壌 結雅さんが現れました。
■緋群ハバキ > 「まーね。『外』に波及するような案件は今んとこ浮上してないよ。
単に俺がアクセス出来ねーってだけかも知れんけど」
淡々とそう返し、少年もまた皮肉げな笑みを浮かべる。
普段の彼を知る者が見れば、少しばかり意外な顔をされるであろう表情であった。
男はやはり、満足気に頷く。
予想通りの応えが、予想通りに返って来たと言わんばかりに。
『それで、入学して半年。
キミの目にこの島はどう映るかね? それを知りたいね』
見透かすような態度で、男は少年へとそんな問いを投げかけた。
少年は少し考える素振りを見せてから、思案気に言葉を紡いでいく。
「そうだなぁ……『内向き』ってトコかな。
各委員会にしろ、或いは生徒一人ひとりにしろこの島の中での馬鹿騒ぎには敏感だけど、そこから『外』へどうのってのはあんまり無い気がする。
まぁマンモス学園ってそういうもんかも知れないけどさ。割と島内で生活が完結してる上にそれが十分楽しい訳で」
そこまで応え、だからこそ『ウチ』も俺みたいなので十分役を果たせてる訳だけど、と皮肉げに括る。
■槙壌 結雅 > (神出鬼没、何時何処に顕れるかは分からない、とか言いながら、こんなところにもひょっこりと姿を現してみる。生憎メイド服、多少視線がこちらに向かっている気がするが気にしない。)
…あら。
(知った顔、公安委員二名がそこに。どうにも鎮静なムードが伺える。ここで「ドーモ、緋群君」などと言ったら台無しな気がしてならないので声をかけるのは少し見送り。)
(ちらちら、と緋群、エルピス、男の三人の様子をそそっと伺いながら…とりあえず、そ知らぬ顔でそっちこっちにふらついて、最終的に釣りをしている学生の方に視線が行った。)
(ここは、釣れる場所なのだろうか?ざばぁっという、釣れた時の独特の心地良い音は聞こえてこないから、あまり釣れる場所でもないのだろうか?寄って行けばただ波がこちらに打ち付けるだけの、単調で周期的で無機質な音のみが聞こえる。)
■エルピス >
(うぅん……)
どういう話をしているのかは何となく分かるし、
きっとあれだけ聞いてああやって云うあのおじさんも"そういう人"なのだろう。
公安委員会――常世島の昏い部分であるし、仕方のないものであるとは分かっていても、やや表情を暗くした。
■緋群ハバキ > エルピスと結雅の存在に、ハバキが気付いた素振りは無い。
……実際の所は分からないが。少なくとも普段の彼であれば、気付いていれば挙動不審になるのは間違いないであろう。
「っつーかさ。あんたの方が大変なんじゃないの?
こっちでやってるニュースですら色々聞くっつーのにさ」
ちらりと男を一瞥し、ため息混じりにそう言って。
竿受けに預けていた竿を上げれば、いつの間にか針先につけていた生き餌は魚の餌となっていた。
『それはその通りだが。
大陸の方は相変わらずホットだしな。既得権益層のバランスの左右で日々胃が痛い。
中東・欧州も『こちら』とは直接的な関わりは薄いが、諸々『門』から得られる技術で在野の勢力が鎬を削ってる。
加えて頭を失ったが故にどう出るか分からんレコンキスタの連中だ。正直学生生活を謳歌しているキミが羨ましい』
大仰な身振りでさも大変だと言う風に語る男の言葉を聞き流しつつ、針先にミミズを着けて海面へと投げる。
着水した錘の立てた水音がぽちゃん、と響いた。
「そりゃご愁傷様。
……で、こっちの用事なんだけど」
切れ長の瞳が、男の方へと向いた。
■槙壌 結雅 > いるにはいるんですのね。
(遠目でも魚が釣れていない事と、針先になにやら細工をしているのが見えた。釣れなかったっぽい。食い付いたなら引き上げないといけないだろう。話し込んでいるみたいだからそれは無理っぽいが。)
…はぁ。
(釣りの道具も持ってこなかったし、何より通りかかっただけなのだが、どうにもお取り込み中といった感じであるけれど、気になる。こちらに気付かないという事は、それだけ話し込んでいるか…故意にスルーされているか。普段の自分の行いを省みればスルーされても致し方あるまいが、彼は良く言えば裏表の無い性格だし、そんな陰気な事もしないだろう、少し好奇心に煽られたので、聞き耳を立てて目立たぬようにしているエルピスとは逆に、話し込んでいる方へと何食わぬ顔でまた数歩、寄ってみる。割と豪胆。)
(レコンキスタ、なる言葉が聞こえてきた。ああ、あの右翼…とまぁ、その組織がどうしたか、までは聞こえなかったものだが。彼は彼で苦労しているようだ。あれって違反組織だったか。何にしても、厄介事が尽きない風は伺える。)
■エルピス > 「……。」
顔を顰めながら話を聴く。
と言うか、時々紅茶を入れてくれる公安のお姉さんがしれっと歩いてる。
(やっぱりというかあのお姉さん、肝が座っているというか……凄いなぁ……)
そんなことを思いながらも、出るに出れないので覗いている。
■緋群ハバキ > 男は頷き、ブリーフケースから一枚の書類を取り出し、ハバキへと手渡した。
遠目から、それが何処かの山岳地帯を写した航空写真であると分かるかもしれない。
『結論から言ってしまえば、大した動きはない。
効果範囲はおよそ半径2キロから変わらず。キミの進言通り、定点監視についているエージェントもそれより近づかせては居ない。
……ま、当のエージェントが既に現象の影響下に在ったとすれば由々しき事態かも知れないが、今のところその兆候はない』
男の言葉を聞いて、ホッとしたような、それでいて何処か悲しげなため息をついた少年が口を開く。
その口調は、何処かしら倦み疲れたようなもので。
「……困ったもんだ。
集落まるまる一つが影響下にあるなら変わらぬ日常を維持するのも容易い……故に、それ自体が大きな問題となる訳じゃない。
傍から見りゃ、俺一人が統合失調症の患者みてーに見えるもんなぁ……」
自虐的な言葉を漏らしつつコーヒー缶を啜り、ふと視線を巡らせれば。
「まぁ、そっちの糸口も全然って感じだし。今の所アイツが何か積極的に動くって事も無さそうでブフーッ」
思いっきりメイド服の先輩が視界に入った。吹き出したコーヒーが、隣に居た男のスーツを汚す。
『汚いじゃないか……いきなり何だね』という男の言葉にぶんぶんと首を横に振り、胸に手を当て深呼吸。
何事かを密やかに呟いてから首をキョロキョロと落ち着きなく巡らせる。
「て、っててて、塡壤先輩、土偶ッスね!!?」
奇遇と言いたいのだろうか。
■エルピス > (土偶……?)
ハバキの漏らした言葉に小首を傾げる。
紅茶の――確か槙壌お姉さんの何を指して土偶と言ったのだろう、と、不思議そうに考え始めた。
■槙壌 結雅 > …?
(彼の方に近づいて行った後、ふとしたことで、後ろ目を遣れば視線を感じた。エルピスと目が合った、様なそうでない様な。少なくともこちらとしては目があった様に思ったので向き直って会釈して。)
御機嫌ようで御座いますわ、サイボーグの御嬢さ―――ッッ?!
(そう言って、進行方向をくるんと彼女の方へとUターンしようとしようとした矢先の事だった―――!)
(豪快なスプラッシュの音、噴出される濁流の如きコーヒー。悪い意味で目が釘付けで、Uターンしようとしたその足は再びそちらに向く。そうしてしめやかに汚される男性。)
…ご、御機嫌よう緋群君。え、ええ、とっても…その。土偶ですわね。
(流石に苦笑いして、一歩下がるしかなかった。その彼の言い間違いの意味を測りかねてか。)
主にその男性のスーツの色とかが。土偶ですわね。
(苦笑いを続けながら、御愁傷様ですわと男性に深々とお辞儀。焦げ茶色のコーヒーの飛沫の色が弥生時代の土偶を思わせる。きっとこう言う意味だろうと一人心中で完結…とそれはさておき。)
え、ええと…御話、なさっていたのでしょう?もうよろしいのかしら?
(宜しいも何も、このメイドが邪魔した張本人であろうがと突っ込まれそうな一言を。)
■エルピス > びちゃ、と、コーヒーの飛沫の一部が少しだけ頬に跳ねた。
ううんと思案して、一歩、足を踏み出してその場に出る。
「え、えっと、こんには、ハバキさん、槙壌お姉さん。えっと、土偶だね……?」
意味は余り理解っていないが、合わせてみることにした。
■緋群ハバキ > 「え、サイボーグ? 009??
ああ、うん。めっちゃ土偶。叔父さんめっちゃ土偶。ゲラゲラゲラ」
指を差されて笑われた、叔父、と呼ばれた男性は肩を竦める。
『用事は済んだよ。全く、仮にも忍者の血筋ならばもう少し忍んでいるものかと思ったが。
君たちも、甥がいつも迷惑を掛けて済まないな』
紳士然とした態度で結雅とエルピスに一礼する男性は、事も無げにハバキを指して忍者と呼ぶ。
聞いていた少年は青くなったり土気色になったり、最早こちらが土偶めいた風情である。
「バラすなやーーーーーー!!!!!
……ああ、はい。慌てて。ボロが出て、思わず奇遇を土偶と。
エルピスちゃんもやっほーぅ……」
意気消沈、といった風情で釣り竿を握り上下させながら、見知った二人に挨拶。
忍んでない忍者とは、かくも情けない者であろうか。
■槙壌 結雅 > …ど、土偶ですわね。主に御嬢様のほっぺたあたりが。
(その場に出たエルピスに合わせてそそくさっともう一歩緋群から下がる。思ったより被害は甚大だった。どこまで飛ぶんだ彼のコーヒー。これだからコーヒーはいけないと顔を顰める。)
して、こんなところで本当に奇遇で御座いますけれど、如何なさったのかしら。
(彼の間違いの真意は伝わってなかったみたい。)
あら、然様で御座いましたの。いえいえ、緋群ハバキ君、彼は毎度毎度公安委員会のありとあらゆる仕事をパーフェクトにこなしてくれますからとても居心地が良くてよ。
(にこにこと笑みを浮かべながら数度頭を下げてみる。因みに述べたことは事実である、御菓子が足りないと思った時や、紅茶がないと思ったときなど、はたまたシャープペンシルの芯が切れた時や、様々な状況における仕事を忍びを思わせる身のこなしで一瞬で解決してくれるのだから。…パシリ、といってはいけない。)
こちらこそ、御世話になりますわ。え…忍者?
(ああ、彼忍者だったのかと。目を丸く。赤いマフラーとか、そういう事なのだろうかとまじまじ緋群を見つめて。)
どーも、緋群君。槙壌です。
…いえ、良いのですわ緋群君。例えアナタがニンジャでも、私は…!
(「バラすなやー!」と、先程の珈琲噴出以上に突飛で豪快なツッコミが飛び出した。有体に言うのも何だが…見ていてとても面白いので、いつになく機嫌の良い笑顔で冗談を投げつつ。)
■エルピス > 「あっ、ホントだ……変な風に飛んだんだね。
……ボクは見回りを兼ねての散歩だけど……槙壌お姉さんも、そうなのかな?」
飛んだ茶色の土偶の飛沫指で拭きとって、無意識にぺろりと舐めてしまう。
「あ。う、ううんっ。ハバキさんには何時もお世話になってますからっ
……え、えっと、ハバキさん、元気出して?」
反射的に"叔父"と、呼ばれた男性へぺこりと頭を下げる。
(そもそも――)
釣り、と言う目的で誰かがやってくる可能性のある此処よりも、
忍ぶなら、相手方がもう少し別の場所を指定するような気がした。
恐らく冗句の類であり、見られても問題のないやりとりであったのだろう。と思案するだろう。
■緋群ハバキ > 「この先輩と同輩の痛み入る心遣い――!!
違うもん!! ニンジャじゃないもん!!! ドーモ、テンジョー=サン。ショウジキニンジャ・クラン、オネスティです。
ちゃうやろ!!! そういうのちゃうやろ!!!!!
コーヒー飛ばしてごめんな!!!」
混乱の極みと言った風情の奇態を見せつつのたうち回る少年。
「いやーまぁーなんていうかー。そのー。
はい、忍者ですぅー……忍べない忍者なんですぅー……
叔父も忍者っぽい仕事してるので様子見に来たら俺こんな感じで……うっうぅっ……」
下手くそな泣き真似をしているハバキに、スーツの男は呆れた顔である。
『そろそろ船の時間だが帰っていいかね?』とわざとらしい程の笑顔で尋ねた男に、少年は世にも情けない表情で首肯して。
エルピスと結雅に丁寧に礼をして、叔父は立ち去って行った。
「あとエルピスちゃん、その仕草は世の男性諸氏を激しく惑わせるから多様しては行けないよ。
言うなればダメージ効率とコストのバランスにやたら優れた高威力スキル……!」
■槙壌 結雅 > 一体何をどうやったらこんなに飛ぶのかしら。
あらまぁ、…拭く必要はなかったのかしらね。あ、ではこれは叔父さまに。
(都合よく持ち合わせていたのか、ティッシュの一枚でも手渡そうとした矢先、土偶の色が消えたので、代わりにスーツが土偶なその男性にでもと…遅かったか。と思えばしめやかに片づける。)
あら、見回りにお散歩とは真面目ですわね。私は、散歩といいますか、ゲームセンターへと行く道中の寄り道ですわ。
も、勿論警邏とかも兼ねてますけれども。
(目が泳ぐ。一応公安委員ではあるが、不真面目を晒すわけにもいかずととってつけたように後付。)
…あ、あいえっ?!
(面白い子だとは思っていたのだけれど、このレベルの奇態は嘗て見たことがなかった。前に会ったとき弾丸めいたスピードで壁面に衝突していた気がするけれど。口をぽっかりと開けて、怒号の様な困惑の様な叫びを漏らすアカマフラーな少年を見る。しかし…うん、面白い。)
…としますと、緋群君は実はニンジツの使い手でしたのね…?!え、と…あ、でも忍べないって事は…。
魔法が使えない魔法使いみたいなものになるのかしらね。
(「御疲れ様ですわ。お気を付けて下さいまし。」と去っていく彼の叔父と名乗った人物に深々と頭を下げて、それから見送った。)
…侮れませんわね。
こんなエルピス御嬢様みたいな子が男子寮ですわよ男子寮。
(ぼそりと付け足した。元は男の子だったと聞いていたが、今では普通に、それも可愛いと形容詞が付く女の子である。といって元の男の子がどんな風だったのかまでは知らないが。)
■エルピス > 「……ハバキさん、えっと、どうしたの?
もしかして、噂のニンジャリアリティショック? それにしてもハバキさん。ニンジャだったんだね……」
舐めた指を口元に当てたまま、不思議そうに、そして興味深そうに小首を傾げる。
エルピス君のお団子にまとめた上で尚お尻まで届く長い髪が、潮風に乗って踊った。
「そっか、ゲームセンターもたまに行くと面白いよね。
……この前のぬいぐるみ、取れなかったのが残念だったなぁ……」
特に眼の泳ぐ様子に言及する様子もなく、暢気な様子で声を漏らす。
エルピス君が元男の子で、男子寮に在住している事は割りと周知の事実である。ともあれ、小さく呟かれた男子寮、のワードを察知しする。
「あ、うん。今でも男子寮だけど……ほら、やっぱり嫌がる女の人とかも居ると思うし……。」
■緋群ハバキ > 「それはほら、こう、水遁的な」
世間一般の水遁の術は水を吹き出すものではないだろう、と言うツッコミを期待しての事か。それとも天然か。
ともあれ結雅の魔法が使えない魔法使い、という言葉に項垂れる。
「……まぁ、その。能力的には、問題ないと思うんスけど……
そういう訳で、恥ずかしいんで秘密にしておいて、頂けると……有り難いッス……」
きっちり90度、身を折って二人へと懇願。
男子寮、という言葉が気になるが、最早それを追求するだけの気力もないらしい。
「へ、へへ……そんじゃあご両人様、後はごゆっくり……」
江戸っ子崩れみたいな発言を残して、少年はその場を去る。
風になびく赤マフラーも、何処かしら精彩に欠いている気がした。
……余談ながら。
竿受けと釣り竿は持ち主にすっかり忘れられ、その場に残されたのであった。
ご案内:「常世港・第三埠頭」から緋群ハバキさんが去りました。
■槙壌 結雅 > (ニンジャリアリティショックという言葉が聞こえて来たら、ここぞとばかりに、二人の会話に横槍をぶっさした。)
ここで、説明しますわっ!
ニンジャリアリティショックとは!
非ニンジャの一般人が、伝説上の存在だと思っていたニンジャと接触する事によって発症する精神錯乱。
意識が朦朧とし、思考が混濁する実際危険な状態であり、長期の療養が必要になる、あるいはこれが直接の原因でショック死に至るケースもあるのでございますわ。
代表的な初期症状は失き…あーこほんこほん。
つまり、緋群君はニンジャですし、精神錯乱もしっき…こほんこほん、もしておりませんから大丈夫ですわ。
えぇ、えぇ。
(一人したり顔で藪医者の様な言葉を言った。本人は満足そうだが、何を言っているのかと逆に訝しがられそうである。)
そうですわねー…ゲームセンター、とても面白いですわ。
って、クレーンゲームですの?ダメですわよ、あれは少しばかり気が触れてる人がやるものですわ。
30回やっても取れない者は取れませんもの…ま、以前凄い大きなぬいぐるみをとっていたひとがいましたけれど。
それよりもですわね、今アツいのは音ゲーですわよ御嬢様!この頃太鼓の鉄人が―――
(こちらの世界に誘い込まんと、ゲームセンターの話に食い付いて、話題が逸れてきた。)
ああ…ですけれど、履歴でも公開しなければ、誰がどうみても普通の女の子だと思いますけれどね。
やっぱり…それでも元々男の子でしたら…気になるもの、なのでしょうね。
私はそうではないので分かりませんけれど。
あれニンジツでしたの?!
(初っ端に見せた珈琲砲。尚、忍術には詳しくないのでツッコミは入れられない。)
あら、御疲れ様ですわ。今後ニンジツお見せ下さいませね。
(ぺこり。深々と頭を下げて彼の行く様を見送った。)
(因みに、彼の忘れ物について、己が感知することは無かった。忍者の事について考え始めたからかもしれない、釣りの事は頭の中から崩れ落ちていた。)
■エルピス >
「あ、うん。またね。ハバキさん」
そう言って、ちょっと心配そうに見送りつつも説明を聞く――
――うん、ちょっと理解が届くような、そうでないような。
「ほぇ……槙壌お姉さん、詳しいんだね
……あ、うん、何となく理解は出来たから大丈夫。」
ちょっと、と言うか大分困惑気味の苦笑を見せるだろう。
「あはは、1000円使ってダメだったら、諦める事にしてるけど――でもあのぬいぐるみ、可愛かったなあ・・・
うん。"音ゲー"って奴だよね。ボクも時々やるけど、中々慣れるまでが大変だよn――」
話題に食いついた辺りで、ふと、釣り竿が眼に入る。
――ハバキさん、釣り竿忘れている。そう認識すれば、其処に近付いた。
「……って、ハバキさん、釣り竿忘れてる。
え、えっと、ごめん、ちょっと届けてくるね、槙壌お姉さん。でも、また会おうねっ!」
そう言って、放置された釣り竿と竿受け、バケツなどを回収する。
そのまま、全身の飛行ユニットを起動し、飛び去るだろうか。
ご案内:「常世港・第三埠頭」からエルピスさんが去りました。
■槙壌 結雅 > ええ、一応治療魔法のエキスパートみたいなものですからね。
…でしたらば、宜しいですわ。
あ、つまり私が言いたいのは、緋群君は大丈夫と言う事ですの!
(だったらあんな言い方するなと言われそうだけれど、自信満々にそう締めくくった。)
あれは、本当お金の無駄になりますからね。上手い人のプレイを見るだけにしなさいな、悪いことは言いませんわ。
そうそう、音ゲーですわ!やっぱり、実力主義の世界が垣間見えますわね、最近私―――。
(なんて、音ゲーの近況を述べながら。)
ん?…あら、…ふふ、律儀な良い子ですわね。御疲れ様ですわ。いってらっしゃいまし。
機械って便利ですわね。
(先刻目につかなかった彼の忘れ物が回収されて。それから、彼女は宙へと飛んでいった。深々と頭を下げて見送るなら、もうここに用もない、これからゆっくりと、ゲームセンターにでも向かうとするか。メイド服で、一風目立った己は、視線も気にせず歓楽街へと足を向けた。)
ご案内:「常世港・第三埠頭」から槙壌 結雅さんが去りました。