2015/09/21 のログ
ご案内:「『ウィザード』の魔術研究所」に『ウィザード』さんが現れました。
『ウィザード』 > どこにあるかも不明な、不気味な魔術研究所。
少なくとも、常世島のどこかにある事だけは確かだ。
それなりの広さを誇り、内部には怪しげな魔術書や薬などが置かれている。
闇に包まれた魔術研究所は、薄暗い。
『ウィザード』は、灰色の机の前で、魔導書を広げていた。

「『サモナー』の奴から聞いたが、『ハンター』に続き『プリースト』までやられたようだな。
 三つもの魂を持つあの『プリースト』がよもや成仏させられようとはな。
 粋がって虐殺を楽しむ奴にしては、あっけない結末だった。
 奴が信じる邪神様とやらも、『プリースト』の死んだ姿を見てさぞ笑っている事だろう。
 『プリースト』が討滅されたシナリオは大体予想できる。
 奴の宝具『デス・アポカリプス』で操った奴隷共を次々となぎ倒され、最後の命になった時に『プリースト』が自棄になって特大魔法を唱えた。
 そして、その特大魔術を防がれた上で、魔力が尽きたところを狙われた。
 大方そんなところだろう」
『ウィザード』は、『プリースト』がやられるシナリオが最初から見えていたかのように語る。
そしてやはりと言うべきか、同胞を思いやる気持ちなど『ウィザード』には微塵も持ち合わせてはいない。

『ウィザード』 > 『ウィザード』は、漆黒のオーブのようなものを机に置く。
そのオーブは、野球ボール程のサイズである。
そして魔導書を広げながら、ニヤリと笑った。
「我が策の準備は整いつつある。
 まずは、この手札から切る事にしよう。
 人間共が苦しみながら死にゆく様が、今から楽しみでならない」
『ウィザード』は他の英霊、今は既になき『ハンター』と『プリースト』、そして現在活動中の『モンク』や『シーフ』と違い、自ら動こうとはしない。
その頭脳を活かして策を用い、常世を自分の掌で転がそうとしているのだ。
情報収拾は十分すぎる程に行った。
なら次の段階は、策をじっくりと発動段階に移していく事だ。

「人を殺すものは、なんだと思う?」
誰もいない空間に、『ウィザード』は語りかける。
つまりは、独り言なのだ。
「災害やウイルス、不運な事故など……色々ある事だろう。
 そして、人の悪意もまた、人を殺すものの一つだ。
 人間の悪意により、人間が滅ぶ。
 皮肉なものだろう」

『ウィザード』 > 『ウィザード』は再び、漆黒の球体に触れた。
「このオーブは、私の魔術研究の成果の一つと言える。
 人の悪意を増幅させる魔導薬だ。
 この薬を呑んだ者は、『悪意増幅(ダーク・マリス)』状態になる。
 『悪意増幅(ダーク・マリス)』状態になった者は、異能や魔術の力も大幅に強化される。
 そして、悪意にのみ従って動く人間になり、やがて虐殺行為も平気で行うようになる事だろう。
 そうすると、間接的に私の手で人々を殺害した事になり『邪杯』は満たされていくのだ。」

「さらに恐ろしい事は、この『悪意増幅』はウイルスのように空気感染していく。
 一人、私がこの魔導薬を誰かに投入するだけでいい。
 後は放っておけば、勝手に『悪意増幅(ダーク・マリス)』の症状が出る人が増えるという事だ。
 さて、それでは早速、この魔導薬の試験を行う事にしよう。
 今回は、この島にいる善良な一般市民でな」

『ウィザード』は不気味に笑いながら、悪意を増幅させる魔導薬を持って魔術研究所を後にした。

ご案内:「『ウィザード』の魔術研究所」から『ウィザード』さんが去りました。