2015/09/28 のログ
■ビアトリクス > 「こだわりがないわけじゃないけど……
もっと他に合う姿があるかもしれないじゃないか。
せめて試してみてから考えたい、って思うよ。
それに……ぼくのアイデンティティは身体だけじゃないから」
仏頂面に答える。
「あいにくとぼくは表面を取り繕うのが苦手なもので……」
膝をついてフォークを差し出す様にはさすがに気勢をそがれる。
「…………」
目をつぶって差し出されたパイにかぶりついた。
これを無碍にするほどの悪感情はなかった。
「……どうも」
ばつが悪そうに視線を逸らす。
給仕されたフレーバーティーの薫りを堪能し、
尻尾の先に鳴る鈴に、かすかに表情を緩める。
「あざといけど……なかなかいいんじゃないか」
指で尻尾をぽんとつついて鈴を鳴らそうとしてみる。
■加賀背 雄 > そうですね…こだわりが全然ないっていったら……ないかも。
ううん…もしもですけど、そういう状況になったとしたら、
それに対応した自分が生まれるだけだと思うんですよね。
元が何だったかを忘れてしまうのではなくて、そもそもそれを持たない感じ…
不自由よりは、自由な中で不自由であることを選べる方がいいかな、って思います。
(んんー、って少し考えてから、のんびりした調子でお返事。
うんうん、ってビアトリクスさんの言葉に頷いて。
自分みたいにふわふわしてなくて、ちゃんと意見が出せるのは、ちょっと憧れる。)
(二人がケーキをわけあってるさまを見て、やっぱり仲がいいんじゃないかな、とか。
口に出したら否定されるだろうから言わないけど、なんとなく表情がほころぶ。)
えへへ、そうですか? 小さいのをつけたから、
移動しててもあんまりうるさくないし、いいかなって思って。
んっ……! こほん、いいかなって、思ったんです。
(尻尾にぽんと軽く触れられると、刺激が背筋を伝わる。
ぶるっと震えて小さく声を漏らすけど、素知らぬ素振りで言葉を続けた。)
■奥野晴明 銀貨 > 「そっかぁ、もっと他に似合うもの……。
お二人とも探究心があるんですね、それでいて自己はしっかり持っていらっしゃる。
もしそういう世界が来たとしても一番楽しめるのはそういう柔軟性を持っている人かもしれませんね」
羨ましい、と小声でつぶやく。
自分は選択する前からどっちつかずの状態を強いられてしまったから、
もうそんな選択なんてできっこないと諦めていたから、自由に確かめて探すなんて思いもしなかった。
「素直なのは美徳だと思います。僕は正直な人って好きですよ、遠慮のない人はもっと好き」
ビアトリクスがばつが悪そうにパイを口にしたのに満足そうにうなずいて立ち上がる。
片手で皿を持ち、片手でスカートのすそをつまんで芝居じみたお辞儀で返事をする。
「店員さんもせっかくだから一口どうぞ。はいあーん」
加賀背にもパイを一切れ差し出す。ただ先ほどとはちょっと位置を変えて、高めに差し出す。
彼が顔を上げて首筋が見えるような位置にわざとおいて反応を確かめてみる。
またしてもしっぽに触られて身震いしたとわかれば、横目でビアトリクスを見る。
無言で口を動かす。『やっぱりいやらしいですね、趣味でしょうか』
■加賀背 雄 > たしかに、色々やってみたいなって思うところはあります。
柔軟性、かあ…考えたことはなかったけど、言われてみればそういうことなのかも。
(全然自分のあり方なんて考えたことがなかった。そもそも女装して、
ころころ衣服やら髪型やらを変えているというのもあるのだけれど。
メイドさんの口から「好き」という言葉が出ると目を丸くする。
すわ告白か、自分が証人になったのか、と思ったけど、そう言うことではなかった。)
あ、いいんですかっ? じゃあ……頂きます。ホントはいけないんですけど。
(あたりを見回す。他の店員さんも見てない。少しだけならいいだろう。
あーん、と口を開けて、素直に食べさせてもらう。
相手の意図を見抜く事無く、パイを頬張ってすごく幸せな顔。)
■ビアトリクス > 「ま、仮にいつかそういう日が来るとしても遠い話に思えるし……
結局元のサヤに収まってしまいそうな気もするけどね。
夢想するぐらいは許しておくれ」
ひょっとしたら自分の身体にコンプレックスがあるのかな、と
銀貨の様子に思う。
何がそうなのかはわからないが、身体の悩みなど人それぞれあることを
ビアトリクスは知っている。
「きみも随分ストレートに言うな……」
ぼそぼそと言ってフレーバーティを啜る。
若干頬を赤くして。そもそも、あーん行為だって結構恥ずかしい。
雄の過敏な反応と、再びのアイコンタクトに目を覆ってしまう。
『淫乱だよな……』
正直なところ嗜虐心を唆られるが……それは表出させないように努める。
■奥野晴明 銀貨 > まったくこちらを疑うことなくパイをぱくつく加賀背に生暖かい視線を向ける。
その視線が訴える。この店員はだめな店員だ。ガードが緩すぎる。
『これが噂の淫乱……』
ビアトリクスが顔を上げたすきに再びアイコンタクト。
加賀背の様子にまじまじと珍獣を見るような微笑みを向ける。いんらん、とその口元が小さく動いた。
「おいしかったですか?ご主人様、よかった。召使めも満足です」
加賀背が食べきった様子にフォークを下ろす。再びのお辞儀。
スカートを翻してくるりとビアトリクスに振り向くと
「好意はストレートに伝えなければ、きっと真意がねじ曲がってしまいますから」
そっと指を唇に当て秘密めいた笑みを向ける。と、何気なく腕時計を気にするとああと声を上げた。
「そろそろ時間みたいです。ごめんなさい、せっかく楽しい時間だったのに。
僕はこの辺でお暇しますね。清算はテーブルに置いてありますからご面倒をおかけしますがよろしくお願いします」
持っていた皿とフォークをテーブルに置くと慌ただしく更衣室に向かう。
カーテンを引く際にのぞかないでくださいね、と冗談めかして笑うと
「それじゃあまた、いつか」
そういって小さく手を振り、カーテンを閉める。それきり不思議なことに彼の姿はきれいに消え去ってしまった。
ご案内:「コスプレ喫茶『バタフライ・エフェクト』」から奥野晴明 銀貨さんが去りました。
■加賀背 雄 > …あ、す、すみません… その、あの…お店で出してるものなんですけど、おいしくて…
(夢中で頬張ってたことに対するような、メイドさんの視線。 慌てて頭を下げる。
それにしても、視線がどこか優しかった気がする。 ペットにご飯を上げてる人みたいな目だった。)
えっ…?あっ、はい。ごちそうさまでした。 ありがとうございました。
またいらしてください!
(なんだか、彼女の口が微かに動いた気がするけれど、それを確かめるに至らなかった。
するりと立ち上がる彼女にあわてて頭を下げる。 お会計は、
ちょうど出口付近にいた店員さんが応じてくれるだろう。)
あの人、なんだか不思議だけど…素敵な人でしたね。
(ビアトリクスさんの方を見て話しかける。
するりと動いた尻尾が、小さな鈴の音を立てた。)
■ビアトリクス > (こいつ……)
いくつか言いたいことはあったけど言っても仕方ないな……ビアトリクスはそう思った。
眺めている分には面白かったがその片方は一応友人であることを考えると複雑な面持ちになる。
あまりにも無防備なその様はある種うらやましさすら覚えるけど。
眺めていれば胸が温かくなるような光景もそこに加わりたいかといえば微妙であり……
「油断すると――取って食われるよ。
このケーキみたいにな……」
きみはほんとうにばかだなという思いを込めて白けた視線を送って、
ベイクドタルトの切れ端をフォークで刺して頬張った。
どれだけそれが伝わったかはともかくとして、
ビアトリクスも飲食を済ませると、
会計を済ませて店を後にするだろう。
ご案内:「コスプレ喫茶『バタフライ・エフェクト』」からビアトリクスさんが去りました。
■加賀背 雄 > 油断すると、食べられる……
(ビアトリクスさんの言葉はなんだか重みがあるのだけれど、今ひとつ実感が沸かない。
そのあとお仕事が忙しくなって、ビアトリクスさんとお話する機会はなかった。
お仕事を終えて(そしてなんとかして尻尾と耳はパージして)、
帰途につく途中、ようやく意味がわかってぽんと手を打つ。)
でもそれって、僕がおいしかった場合、ってことだよな…
(自分はあのケーキとか紅茶みたいに美味しいわけじゃない。
ビアトリクスさんが自分のことを高く見てくれているのか、
あるいは他の意味があるのかはわからないけれど、
そんなふうに言ってくれたのが、少し不思議だ。
そんなことを考えながら、自分の部屋に戻って。)
ご案内:「コスプレ喫茶『バタフライ・エフェクト』」から加賀背 雄さんが去りました。