2015/10/10 のログ
ご案内:「ヨキのアトリエ」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (休日の午後、まだ日も高い時間帯。
私室の狭い流し台に備え付けたコンロの上で、沸かした湯がくつくつと小さな音を立てている。
ガラストップのローテーブルを前にしたヨキが、黒い合皮の三人掛けソファに深く腰掛けてスマートフォンを弄っていた。
工房の玄関先にヨキの住居であることを示す表札がない代わり、扉の傍には鉄のランプがぶら下がっている。
ハロウィンのカボチャを模した中に、電球が煌々と光っているデザイン。
整備された研究区の中ではそれほど入り組んだ道でもなく、生徒ひとりでも迷わず辿り着けるだろう。
そういう訳で、人待ち顔である)
ご案内:「ヨキのアトリエ」に加賀背 雄さんが現れました。
■加賀背 雄 > そういえば、ハロウィン……
(建物の前には、古風な鉄のランプ。 ヨキ先生はやっぱりちょっとアーティスティックだ。
そんなことを考え、笑顔のかぼちゃをそっと撫でる。
軽く深呼吸をしてから、遠慮がちに扉をノック。)
あの、ヨキ先生いらっしゃいますか? ええと……加賀背、です。
(いつもの、否、気合をいれてめかしこんできてしまったのが災いした。
自分の名前を名乗ろうにも、周りに聞こえたらと思うと名乗れない。
とはいえいつまでも黙っているわけにも行かないし、小声で名乗る。
先生なら気づいてくれないということもないだろうし。)
■ヨキ > (ノックの音に振り返る。
私室から離れた出入り口のゆえに、扉の向こうの躊躇いがちな声をすべて聞き取ることは出来なかったが、迷わず玄関を開ける。
学内より随分とチャラい私服より、さらにラフラフしい様相のヨキが、笑って雄を出迎える)
「やあ――こんにちは、加賀背君。いらっしゃい」
(足を踏み入れる前からして、床や壁の一面がグレーのコンクリートで覆われていることが判る。
どうぞ、と雄を招き入れてすぐのアトリエは、佳境に入ったらしい制作のためにさまざまな工具や資材が置かれている。
鉄の裸婦像や裏返しに立て掛けられたキャンバス、大量のスケッチブック)
「ごてごてと散らかっていて済まないな。
これだけの大物ばかりだと、仕舞うに仕舞えなくて」
(それはヨキ基準の散らかりようらしく、話しぶりにしては整然としているのだったが。
アトリエから土足のまま通じている私室へ案内しながら、笑って小首を傾げる)
「今日は一段と、可愛らしい格好をしているではないか。
デートの帰りかね?」
■加賀背 雄 > 先生、家だと結構リラックスしてるんですね。 …気合入れすぎたかも。
(すごくあっさりした格好のヨキ先生は、学校にいるときでも、お店に来てくれた時でもない、
ものすごくサラッとした格好だった。 でもかっこよく見えてしまうのは、雰囲気とかなのだろう。)
おじゃまします。 わあ、すっごい…! こう、いいですね、美術ー!って感じがします。
僕のところも、いつもこんな感じですよ。 大型の装置があるので、どうしても。
(打ちっぱなしのコンクリートの壁や床、そして油絵の具の匂いと、様々なツールやキャンバス。
クロッキー帳やらスケッチブックやらも積まれている様子は、
自分が管理するSNS<ドリームランド>のサーバルームのような、雑然とした、
けれど機能に満ち溢れた場所であることを示していた。)
かわ、っ…。 ありがとうございます。 先生のところに来るから、気合入れて来ちゃいました。
(女の子を模して可愛くなろうとしている自分にとっては、すごく強い褒め言葉だ。
思わず視線を反らし、頬を染めながらごにょごにょと言葉を返す。
そそくさと部屋の中へ移動。今日は鑑賞してもらうために来たわけではないのだ。)
■ヨキ > 「はは。勿論、ヨキの家だからな。
出迎える側が肩肘張っていては、君も緊張してしまうだろうから。
できる相談もできなくなってしまうのは、困る」
(室内の様子に共感したらしい雄の様子に、機嫌よく微笑んで)
「君のところなどは、よほど機械に囲まれているのではないのかね?
何しろドリームランドと来たら、大した規模であるだろうから」
(SNSをひとりで管理する少年の姿を、改めて見遣る。
その頬が自分の言葉で上気したことに、ふっと目を細めた。
リラックスした格好とは言え、目尻に小さく差した紅は欠かさないものらしい)
「ほう?ヨキのためだったのか。ならば歓迎も手厚くしなくてはな。
…………。
気合を入れてその格好ということは、つまり……
君のことは、女の子として接するのが良いのかね?」
(少し考えてから、尋ねる。
その返答如何によってがらりと態度を変えそうな雰囲気が、このヨキという教師にはあった)
■加賀背 雄 > そうですよね… 相談する時間を設けてくださって、ありがとうございます。
(なんとなくごきげんな感じに笑顔を浮かべるヨキ先生をみて、自分も微笑む。
この人の、飄々としててガードが低いところはすごく素敵だ。
だけど、自分の芯を崩したりはしないわけで。)
サーバ室と居住スペースを別にしてるんです。
ほら、衣装スペースとか、撮影用の場所も準備してますから。
(素直に頷く。 ドリームランド用のサーバは、完全に一室を独占している。
狭い部屋に空調やら電源設備やらケーブルやらを回しているので、
文字通り混沌といったところなのだが…利用者にはそれを知る必要もない。)
ええと…えっと、それはですね。 そのあの……
(ヨキ先生の問いかけにしどろもどろ。 アテもなく手を動かしたり、
視線を彷徨わせたり。 しばらくおろおろ時間を過ごしてから、
恐る恐るといった態度でヨキ先生を見る。)
先生としても、この格好だと…男子として扱いにくいでしょうし、
その…女の子として、接していただきたい…です。
(大丈夫、お店でもいつもそうしている。 別に今日が特別なわけじゃない。
けれど、自分から宣言するのは…それはそれで、すごく恥ずかしい。
頬を染め、視線を伏せながら相手にお願いする。)
■ヨキ > 「気にするでない。ヨキの時間は、可愛い生徒のためにあるからな。
君の方こそ、ヨキを相談相手に選んでくれて有難う。こちらが感謝しているくらいだ」
(私室へ入ると、冷ややかな内装のわりに秋の日差しが差し込んで、室内は程よく暖かい。
頑丈な造りのためでもあるのだろう。
ウォルナット色を基調にした木のデスクや大きな本棚、黒いオフィスチェアに黒いパソコン……
そのパソコンはと言えば、ヨキの見た目どおりの年代が使うにしても随分とハイスペックに見えた。
ハイビジョンのディスプレイ、机の陰に隠れた本体。
詳しい者が見れば、どこからどう見てもハイエンド系のゲーミングPCだ)
「サーバ室か。コンピュータを使う者には羨ましい……いや、一ユーザーには過ぎた環境か。
管理するのも大変そうだ」
(気楽に話していたのを、雄が返答に詰まると自分も言葉を切る。
その表情の変化をじっと見つめて――女の子、という答えが変えるや否や、
どことなくほっとしたように)
「――判った。
恥ずかしながら……ヨキは見ての通り、人の機微に疎いでな。
見た目と心がそぐわぬということに、いまいち鈍感なのだ。
そう答えてくれると、ヨキとしても有難い」
(続けて微笑んだ眼差しに、それまでと異なる柔らかさが滲んだように見える。
雄をソファへ座るように促しながら、飲み物の支度を始める)
「コーヒーか紅茶。あとはお茶と……オレンジジュースも少し残っていたかな。何にするね?」
■加賀背 雄 > ヨキ先生の実直さは、友達からも聞いています。 それに…女の人には相談しづらくて。
(ヨキ先生の私室は、すごく綺麗だった。 デスクや本棚はもちろん業務のためだろうけれど、
でんとそびえるコンピュータは大型のモノだ。 興味深げに覗き込む。
装置の側面に書いてあるロゴを見て、目を丸くする。)
これ、ブリザード社…RCX-3000だ。 ってことは中もガッチリしてますよね。
電源もいいやつを使ってる… 先生、デジタルでも絵を描かれるんですか?
あるいは3D関連とか?
(目を輝かせる様は、メカ好き男子の面目躍如といったところだ。
有名なゲーミングPCのメーカーの名を上げ、ヨキ先生に確認する。
普通ではあまり必要のない、重装備のグラフィックカードや装備品の類を見て、
美術教師である彼が3D関連に使用するのだろうか、と問いかける。)
管理は大変ですけど、一人なのは気が楽です。 僕がちゃんとしていれば、
利用者の皆さんに迷惑はかからないわけですし。
(ね、と明るく笑う。 先生が<ドリームランド>を使用してくれてるのが、
とてもうれしいのだ。 目の前に利用者がいる、というのは、管理者としては喜びである。)
はい。 今日だけは女の子扱いでよろしくお願いします。 失礼しますね。
(ヨキ先生の笑顔に、こちらも破顔する。 機微が云々と言っていたけれど、
彼の眼力は本質を見てしまうから、機微が把握しきれないとか、
そういうことなのだろうか。 一瞬考えこむも、座るように促されると頷く。
スカートを軽く押さえてソファに腰掛けた。)
ありがとうございます。それでしたらオレンジジュースをいただけますか?
(座ったまま先生を見てお願い。 この辺りの気の回し方も、すごく優しい。
やっぱり先生なんだなあ、と憧れの視線を向けて。)
■ヨキ > 「怖いな、生徒らから他に何と評されているのやら?
……なるほど、それでヨキのところへ。それは是非力になってやりたいものだな。
………………」
(止まる。パソコンの機種をずばり言い当てられて、振り返る。
先ほどまで雄を女性として、と穏やかに笑っていた顔が、突如としてニヤァ、と緩む。
『自分の好きな話題』に『最良のかたち』で踏み込まれた、オタクの顔だ。
口を覆い、唇を拭う。息を吐き、気を取り直す。ちょっと嬉しそうだ)
「彫刻の勉強に、少しCGを。あとは自分の作品をまとめるのに、画像の編集もするよ。
……だが使えるものには、何にでも使う。使えるようにしておきたくてな。
映画も観るし音楽も聴くしゲームもやる。……頑張りを理解してもらえると、嬉しいものだ。
ふふ、管理者が真摯だと安心できるよ。
SNSにアカウントを作る以上、そこへ間借りしているのと同義だからな」
(ソファへ腰を下ろす雄に背を向けて、手際よく支度を整える。
雄の分のグラスにジュースを注ぎ、自分のカップへはストレートの紅茶を。
学生街のパティスリーで売られているサブレを小皿に載せて、銀のトレイでまとめて運ぶ)
「お茶請け程度だが、君の口に合えばいい。……それでは、君の話を聞こうか?」
(飲み物や菓子をローテーブルの上に並べながら、雄の顔を見る)
■加賀背 雄 > はい、ぜひよろしくお願いします。ヨキ先生は素敵だって、皆話してますよ。
(両手は膝の上。きちんと頭を下げ、頭を上げると、ヨキ先生がすごくいい顔をしていた。
そう、マニアならわかるというやつだ。 ”仲間”であることがわかったのか、
どこか嬉しそうにする先生の言葉に、なるほど、と頷いた。)
わかります。 CGはやりやすいですからね。 編集も…
ヨキ先生、色々趣味を持ってらっしゃるんですね。
そうか、美術って幅が広いから、一辺倒ってわけにはいかないんだ。
(ただの趣味もあるのだろうけど、色々なことに手を伸ばすその熱量自体が、
彼の推進力の高さを示しているのだ。感嘆のため息が漏れる。)
ありがとうございます。 その…そう言っていただけると、とっても嬉しいです。
(胸の前で手を合わせ、満足気な顔。 どもヨキ先生とは、ある程度波長が合うようだ。
ジュースとお菓子を頂いて、相手の視線に自分の視線を合わせる。
小さく息を吐いてから、ゆっくりと口を開いた。)
その…まあ、先生はわたしが、<ドリームランド>の管理人だってことをご存知だと思います。
女装して、<ホシノカミ>として自撮り配信をしていたのは…目立つからと
、なにより…反応が欲しかったからです。 けれど…
(ジュースを一口。 一度深呼吸。)
その…わたしの正体を、”ある人”に知られてしまったんです。
この前の…えっちな配信は、その人に迫られて。
だけれど、その人と何度か会っているうちに、わからなくなって来たんです。
もしかして、わたしはこの状況を喜んでいるんじゃないか。
あの人は、わたしを喜ばせるためにそういうことを…つまり、あの配信をさせたんじゃないか。
実は自分が望んだことなんじゃないか、ああいうことを、したがっているんじゃないかって。
(うつむいてとうとうと語る。 それだけしゃべると、無言でサブレをぺきりと小さく割って、
口の中へ。 甘さが口の中に広がって、少しだけリラックスする。)
■ヨキ > (誰かに素敵と言われることは元より、自分の趣味――
ひいては、人間としての在りようを認められたことが嬉しかったのだ。
朗らかにはにかむ様に、雄と同じほどの生徒めいた無邪気が交じる)
「……美術をやるに、それだけではいけない、と言われた。
世を広く見、頭を使い、アンテナの感度を良くせよ、と。
コンピュータもそうだし……出来ることなら、何でもやってみたいからな」
(三人掛けのソファに座る雄の向かい、一人用のソファに腰掛ける。
紅茶を啜って唇を潤し、相手に向き直る。
口を引き結ぶと、あとはもうひとりの教師、大人の顔だった)
「………………、」
(話を聞きながら、ソファの肘掛けに肘を突く。指先で、額を掻く。
目を伏せて眼鏡のフレームを押し上げる――その瞼の裏に、観たものを思い出していることが判る)
「ヨキには、そういう……不特定多数に見せたい、という気持ちが、よく判らなくてな。
動画というと……カメラを前にする訳だろう?誰が観ているかも、判らないままに。
今の君のように、『女性のようにお洒落をしたい』『女性になりたい』という気持ちとも、また勝手が違うだろう?
……動画の『あれ』は、ここや件の店で華やかな格好をすることにも増して、楽しいのか?」