2016/02/14 のログ
ご案内:「ヨキの美術準備室」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 「ふう。食った食った」

『2月14日に訪れるとチョコレートが一生食べられなくなる』という、
曰くつきの美術準備室のバレンタインデーが終わった。

今年は日曜日ということもあって、校内を行き交う生徒は少ない。
だからこそ、今年は例年より派手だった。

ケーキにタルト、大きなチョコ小さなチョコ、自前のチョコレートファウンテン。
中身はフルーツにリキュールに生チョコレート、キャラメル、スパイス、ナッツその他。
各店のタブレットを食べ比べ、口直しに駄菓子屋のチョコレートスナックを食べ、ホットチョコレートを飲んだ。

二年生以降は、誘いに乗る者と乗らない者がはっきりと分かれた。
一年生のある者は来年も来ますと鼻息を荒げ、ある者は撃沈して途中で帰った。

片付けが終わって独り部屋に残り、悠々と一息吐いているのがこのヨキである。

帰り際の学生に乞われて換気をしているが、濃厚なチョコ味の空気が滞留している。

ヨキ > ペットボトルの緑茶を飲みながら、書類の整理を始める。
嗅いだだけで鼻血が出そうなほど甘い匂いが漂っているが、仕事に支障はないらしい。
むしろ深く集中できると見えて、タブレット端末にコードレスで繋いだキーボードをぱたぱたと叩く。

開け放された入口から窓まで、一直線に通り抜けてゆく空気は生温い。
日本では気温が上がった場所もあるというから、近海に位置する常世島も間もなく寒さが和らぐんだろう。

バレンタイン限定チョコレートの洒落た箱をリメイクした一輪挿しに、水仙が差さっている。
応接用のローテーブルの上に飾られた黄色が、風にふわふわと揺れていた。