2016/02/15 のログ
ヨキ > 書類の作成とメールの送信を手早く終えると、息を吐いて椅子に凭れる。
二三深く瞬きして目を擦り、大きく伸びをした。

室内のチョコレートの香りが薄らいできたところで、窓を閉める。
続きの作業は、部屋を変えて行うつもりだった。

机の傍らに畳まれていた、グレーのつなぎを拾い上げる。
厚みのある生地とや鋲で作られたローブからつなぎに着替えて、首を小さく鳴らす。

「………………、」

少し考えて、つなぎの後ろ腰をごそごそと探る。
獣人用に仕立てられたらしい作業着の穴から、肌色の尻尾がぴょこ、と飛び出す。

「日曜だしな。少しは歩きやすかろう」

平日は人目を避ける尻尾。
水平に靡く肌色を見下ろす。

ヨキ > もう一仕事だ、と呟いて、準備室を後にする。
金工室に向かって、ヒールを鳴らして歩いてゆく。

まるでヨキ自身が甘い匂いを纏っているかのように、歩いた後にはチョコレートが微かに香った。

ご案内:「ヨキの美術準備室」からヨキさんが去りました。