2016/08/10 のログ
■糸車 歩 > そろそろ次の場所へ行こうと、顔を上げた時。
直ぐ近くで小声ではあるが、若い男の感嘆の声が聞こえたような気がして、辺りを見回す。
どうやら、あまりに集中しすぎて周囲に注意を払っていなかったようだ。
隣を見れば見慣れぬ少年の姿──いや大抵の他人は彼女にとって見慣れないのだが──が、いつの間にかそこに居た。
「あら、あなたも学生さんかしら、美術に興味があるの?」
中央部を振り返る。……『落花図』の前は、まだ余裕はなさそうだ。
せっかくだ、目を輝かせて見入る少年に、声をかけてみよう。
首をわずかに傾げ、問いかけてみる。
■滝川 浩一 > 「え?あ、あぁ…はい、まぁ、人並みには…」
突如横から声をかけられ、困惑しつつもそう答える。
なんと隣に立ってたのは超美人のお姉さん。
なんとか言葉を返せてよかった。
というか、やっぱり都会に来てよかった。
田舎では美人どころか若い女性はほとんどおらず、一番の美人といえば、目がくりくりした牛だけだった。
■糸車 歩 > 突然見知らぬ女に声をかけられたので、相手も困惑したのだろうか。
慌てたように答える少年に一瞬きょとんとするが、くすりと微笑を見せた。
「そう。
ふふふ、謙遜しなくてもいいんですよ。
先程までの貴方の顔を見ていれば、興味ない風には見えませんでしたから。
それとも、緊張、しているのかな?」
少年と目線を合わせるように、じ、と見つめ。
■滝川 浩一 > 「いやぁ…すいません。田舎出身なもんで…美しい芸術品も美しいお姉さんも見たことない身でして…」
頭の後ろをかきながら、調子の良さそうな顔をする。
顔は笑顔であるが、どことなく引きつっており、内心はめちゃくちゃ緊張している。
特にじっと見つめられたときは心臓が止まるかと思った。
田舎のPCで少しでも情報を集めててよかった。と再認識するのであった。
■糸車 歩 > 少年の言葉には、またくすくすと笑い、忠告するように右手の人差し指を立てる。
「あら、私の事ですか?
おだててくださるのは構いませんけど、あまり自分を卑下なさらないようにね」
少年の表情を見るに、へらへらとしているが、口の端が引き攣っているようだ。
どうやら緊張は本当のようだ。であるならば、初対面の相手にこれ以上はやめておこう。
「っと……あまり突っつくのも意地が悪いみたいですわね。
ところで、つかぬことをお聞きしますけれど。
今日はおひとりですか?」
そういいながら、周囲に目を向ける。
すくなくともこの近距離内に、親しい友人などの姿は見受けられないようだが……?
■滝川 浩一 > 「別に卑下してるわけじゃありませんよ。事実ですよ事実。」
そのお姉さんの笑顔を見て、少しドキッとしながらもそう返す。
なんとか平静を保ちつつも、緊張は消えず…深呼吸を一つつく。
「はい。というのもこの島に来たのも最近ですし、知り合いは居ますが友達は居ないもんで…」
頬をかき、ハハハと笑う。
本人自身、そのことは特に気にしてないが、相手に気を遣わせるかどうか不安になり。
■糸車 歩 > 「たとえ事実でも、出身をあまり言い訳に使わないこと。
美しいものは美しいと、素直に言っていいんです。
むしろ、堂々としたほうが、私はカッコいいと思うな」
と、さり気なく私見を交えながら、片目を閉じて悪戯っぽい表情をした。
「でしたら、こうして出会えたのも何かの縁でしょう。私も一人ですし。
よろしければ、一緒に見て回りませんか。こんなところで話しているのもなんですし、ね」
そういうと、もう一度、部屋の中央部をちらりと振り返る。
人だかりはずいぶんはけて、いくらか余裕ができていた。
右手で指さし、行こうと促す。
「そういえば、最近来島したという事でしたね。
もし同学年でしたらよろしく、ですけれど。貴方のお名前は何と言いますの?」
■滝川 浩一 > 「あぁ…はい、では、堂々とします!」
ムンッという声が聞こえそうなほど顔に力を入れ、胸を張る。
でも目の前のお姉さんの表情で力が抜け骨抜きにされる。
「あぁ、自分は滝川 浩一。学年は二年です。自分でよろしければ是非、一緒に見て回ってください!」
その後、問いに対し元気よく返して一緒に見て回ろうという
提案に対し内心とても喜ぶ
■糸車 歩 > 「うん、今度はちょっと力みすぎかな?」
困ったように笑い、ふつーにしてればいいのよ、と付け足す。
「ふんふん、浩一君ですね。
残念だなー、私三年だから、同じじゃなかったか。
私は、『糸車 歩(いとぐるま あるく)』。……好きに呼んでくれて構わないよ。
じゃ、いきましょう?」
しっかり相手の名前を記憶しよう。何せ知り合いは少ないのだ。
それからしばらくの間、展示物を一緒に見て回った。
一人で見るよりも、いくらか楽しさは増えただろうか──
ご案内:「国立常世新美術館」から糸車 歩さんが去りました。
■滝川 浩一 > 「糸車 歩…覚えました。よろしくお願いします!」
相手の名前を復唱すると笑顔でそういう。
恐らくこの学園都市で初めての友達だろう。
まぁ、男女の友情や、先輩が友達に入るか微妙なところだが…
いきましょう?という言葉に力強く頷き、糸車の後を追う。
共に見た展示物は、一人で見るよりどこか違った印象を受けた
ご案内:「国立常世新美術館」から滝川 浩一さんが去りました。