2016/08/17 のログ
糸車 歩 > 間抜けな声にじとーっと目を向ける。どこぞのお月見のような、ギャグ空間の展開を阻止しよう。

「なによその苦虫噛みつぶしたような声。……まぁいいわ。
たしかに、あんなキルトラップを配置するほど重要な施設には見えないわね。
至って普通の空間だったような気がするのだけど」

はぁ、とため息をつく。
あるいは、見られたくない何かを保管していた、至ってプライベートな部屋だったのだろうか。
それならば、あの殺意も説明できるが……。

「気持ちは痛いほどよく分かるけど、私たちは害虫駆除を兼ねた調査員であって、冒険者でも遺跡荒らしじゃないわ。
そういうこともある、で次に期待しましょう」

そういいつつも、少女の表情もどんよりしている。本当に労力にあった成果出てるのだろうか……? 歩はいぶかしんだ。
気を取り直して次の部屋へ赴く──
[1d15→6=6]ロール表【駆除】
糸車 歩 > 駆除6.
どうやらここは幼体を育てる保育部屋のようだ。壁一面に掘られた穴の中にルインワームの幼虫が動いている。ちょっと気持ちが悪いかもしれない。
見張りや護衛の虫もいないようだ。今のうちに幼虫を潰してしまえば虫達に打撃を与えられるだろう。だが子供なのだからと哀れに思って彼らを見逃しても仕方ないかもしれない。
(バイト代ボーナス+500円、ただし見逃したのならボーナスはなし)


「ここは……っと、静かに」

通路から首だけひょこっと出して部屋を見るなり、少女が口に人差し指を添え、しーっと息を吐く。
物音をなるべく立てないように、体を脇にずらし、少年が見えるようにする。
部屋の中は壁一面に穴が開いており、ルインワームとの幼虫と思しきものがたくさん蠢いていた。
人によっては生理的に嫌がりそうな光景を前に、少女は平然として穴の数を数え始める。

「ひぃ、ふぅ、み……。
少なくとも50はいるかしら、全身が見えるわけじゃないから正確な数は分からないけど。
一つ一つ潰してもいいけど、私は燻し出すのをおススメするわ。浩一君はなにかアイディアはある?」

滝川 浩一 > 「うわぁ……幼虫ですか。
見た目は蟻なのに、幼虫の飼育施設の構造は蜂みたいですね」

その穴とうごめく幼虫を見て少し気持ち悪そうに声を出すが、大声を出したりパニックになって気絶することはなくそれらを眺める。
田舎者が誇れる特権の一つ、それは虫に対する耐性だ。
異能があるってもんで近所の蜂の巣を駆除したり、夜には黒いアイツに遭遇することが何回かあった為、ちょっとやそっとの昆虫ではビビらなくなっている。

「自分も熱攻め賛成です。でもどうするんですか?」

彼女の方を向くと軽く手を挙げ、その意見に賛同するが具体的にどうすればいいか問いただす。

糸車 歩 > 「蜂の子だったらいいんだけどね、あれ、珍味だし。
それにしても、浩一君は悲鳴あげたりしないんだ?えらいえらい。
生まれや育ちに関係なく、虫が苦手な子はどこにでもいるものだけど」

そう、冗談めかして話す後半は少し寂しそうに。

「うん、燻煙剤でもあれば一発だけどね、この部屋じゃあたぶん撒いたらいったん通路に退避しないといけないでしょ?
だから、とりあえず薬剤と、噴霧器を生成してて。その間にマスク作ってるから」

そういうと、少女は両手の指先を合わせ、見えないあやとりのように指を動かしていく。
やがて手と手の間に白いガーゼのようなものが現れて、それは次第に大きくなり。
やがて、頭から被るタイプの防護マスクが一つ、出来上がった。煙状の薬剤や毒霧などを90%以上シャットアウトする性能である。

「よし、でーきた。あともうひとつ」

細かく動く指の間には、蜘蛛の巣のように張られた糸の網が見えるかもしれない。
もっとも、うす暗い部屋の中だ、すごく目がよくなければ難しいだろう。

滝川 浩一 > 「えらいえらいって子供みたいに褒めないでくださいよ。もう」

少し顔を赤くしつつも彼女の言葉にそう返答する。
頭を抱え、頬の赤みを消しつつ彼女の言葉を改めて振り返る。

(蜂の子は珍味……えっ、あっ、つまり…えぇ!?)

驚いた様子でそう反応し、あやとりをする彼女を見る。
彼女はもしや、そのような物を口にしたことがあるのか。人は見かけによらないってのはマジなんだなぁ…
その驚きで彼女少し寂しそうな雰囲気には気づかず、薬剤と噴霧器を依頼されると青い光を出してそれらを生成する。

大体生成する物体のイメージが固まっていたのか、生成するまでそう時間はかからなかった。青い光を消し去り、両手に持った薬剤と噴霧器を合体させ、使用の準備を整える。
それより少女が何をしているのか気になり、少女の背後からその手を覗き込む。
目を凝らし、その光景を見るが全く何をやっているのかわからない。
時折、彼女の指と指の糸が光の反射で見え隠れするが、彼はそれを糸とは思わず、自身の異能のように何かを創造する際に出る光だと思い込んでいた。
あまり見ては集中力が途切れるだろうと思い、その場から離れると噴霧器を設置して

「こっちは準備完了ですよー」

と彼女に声をかける。

糸車 歩 > 「でも、まだ二十歳は過ぎてないよね?」

頬を染めて頭を抱える少年を見て、ふふん、と鼻を鳴らして勝ち誇る。
その表情からは、もう寂しさはうかがえない。

準備が終わった、との声に振りかえると、
少女は両手に一枚ずつ防護マスクをもち、右手に持った方を相手に差し出しながら、左手で器用にすぽっと頭からかぶる。
レインコートを前で留めると、此方も準備万端だ。

「おっけー、浩一君もそれ被ったら、動かすねー」

一番汚れそうな歩が、レインコートとマスクで完全武装して噴霧器を操作する。
浩一君には、マスクを身に着けたら、いったん部屋の外に退避してもらおう。

ぶぉぉぉんと風が起こり、しばらくすると白い煙が部屋に広がりはじめるだろうか。
少年の異能のせいか、風の勢いも強く、あっという間にそこらじゅうの穴が煙で満たされる。

滝川 浩一 > 「二十歳って…自分は人間ですよ?18か19には学校を卒業して島から出ていかないと…
留年したくありませんもの」

勝ち誇ってる彼女は恐らく二十歳を超えているのだろう。
そう予想しつつも胸を張る少女に言い放ち、マスクを受け取ればそれを被る。
噴霧器が稼働すると通路へ出て、彼女が返ってくるのを待つ。

しかし、ものすごい稼働音だ。
そこら辺の調整はしなかったもののすごい勢いで白い煙が部屋に充満するのを見ると、ますます自身の異能がわからなくなった。
完全防備している彼女が煙の部屋から出てくると

「幼虫を駆除している間に、別の部屋を回ってみませんか?」

と提案する。

少女から了承を得れば、歩き出す彼女についていき次の部屋へと向かう。
[1d15→4=4]ロール表【駆除】
滝川 浩一 > 駆除4.
ルインワームの糸に絡まった調査員を見つける。助けてあげれば調査員は君たちにとても感謝するだろう。またここまでに何か怪我をしていたのなら調査員が簡単な手当をしてくれる。(回復の程度は任意に決めてください)
話が済めば調査員は君たちと分かれて出口に帰るだろう。彼の感謝が給金アップの形で示されるはずだ。
(バイト代ボーナス+250円)

次の部屋にやってくると、薄暗い部屋の中、もぞもぞと地面に蠢く物体を発見する。

(……何だあれは?)

警戒しつつも、それに接近すると何と人であった。
糸に絡まれ、必死にそれから抜け出そうとしているのかもがいている姿を視認できる。
すぐさまナイフを生成し、糸を切り裂いて調査員と思われる人物の救出にかかる。

糸車 歩 > 煙の中から全身に白を纏った姿が現れる。
そのまま通路へ脱出すると、少年の提案に従い、先に立って別の部屋に向かう。

「ふーん、でも20代とか、30代とか、けっこう上の年齢の学生もいっぱいいるよ?この学園には。
……ん、わかった。待ってる間暇だしね」

で、歩くことしばし。
前の部屋からそれほど離れていない場所に、別の空間を発見し、中を恐る恐る見ると。

「……ナニアレ」

新手の幼虫かな?と思って近づき、よく見るとその怪しげな影は、糸に絡めとられ、ぐるぐる巻きになりながらも、もがいている人間であった。
服装からすると、この遺跡を調べている調査員であろうか。危ない危ない。

少年が生成した刃物で糸を切り剥がしはじめると、少女も糸くずを払いながら、それを手伝う。
徐々に文明的な姿に戻してゆくと、糸はすっかりまとまって取り除かれたようだ。

「うむ。すっかりとれた、燻し出しも頃合かな?」

……その頃には、前の部屋では薬剤が切れて停止した噴霧器の周囲に、大きな芋虫が何十匹も横たわっているだろう。
既に息絶えているが、腐敗すると面倒がふえそうなので、回収するために歩はいったん向かうといい、少年に確認をとる。

「ちょっと見てくるね、……噴霧器も回収してくる?」

滝川 浩一 > 「おい、あんた!大丈夫か!?」

調査員に絡まっている糸を切り裂き、むしり取るとその人物の顔が見え、肩に手をおき力強く揺さぶりながら問う。
調査員は何回か咽ると強く揺さぶる彼の手を優しく払い除けると自身の所属や目的を問いだした。

「あぁ、自分は常世学園の生徒で…」

そのように調査員へ向けて所属や目的を説明する。
その後、調査員に出口を問われるとそれに正確に答えた後、調査員は出口へと向かっていった。
部屋を出る際、自分たちに感謝の言葉を投げかけた。

(……『ありがとう』…か。他人にばっか言ってて、自分に言われたのは久々だな)

そう考えつつも、先ほどの部屋を見てくると言葉を発した少女の方を振り返り、
数秒、目を閉じて思案するような顔をすると

「いえ、噴霧器は結構です。多分、消えてると思います。
あっ、でも煙には気を付けてくださいね」

人差し指を立てて、少女に注意するとふと地面に落ちている調査員を包んでいた糸を発見。
何かあるかもしれないのでそれらを手に取り、器用に丸めるとリュックサックの中に入れる。

糸車 歩 > 「次はもう少し慎重にやるべきね、せめて単独遭遇しても逃げられるよう」

歩の言葉を知ってか知らずか調査員は、思いのほかしっかりとした足取りで部屋を出ていく。
それを見送った後、少女は煙への注意に、そう、と短く答えて、音もなく、まだ白い部屋の中へ進んでいったが、
しばらくして、幼虫の死骸を数匹分詰めた大きな袋を抱えて出てくる。

「行ってみたら、貴方の言う通り噴霧器が跡形もなく消えてたわ。まだちょっと煙たいけど……
少しくらい離れても、消すときは消えるのね。せっかく作った道具を、脇から掠められないための対策かな?」

部屋の中には、まだ大量の死骸がある。
が、それの片づけは後日他の調査員に任せよう。

「それにしても、この辺で糸に絡まるというと、不可思議ね。
トラップのような痕跡はないし、とすると、数刻前まで人間一人を拘束できる成虫が居たのかしら、ここに」

ルインワームの保育部屋は、幼虫ばかりで、それを守護・管理する成虫が居なかった。
とすると、本来いたはずの成虫たちは、いったいどこへ消えたのか。まさか罠の有った場所に居た数体ではあるまい。

滝川 浩一 > 「えぇ…俺の異能って…どうやら、使い方を間違えると危険らしいので…」

大きな袋を抱えた少女を横目で見ると、少し低い声色でそう返す。
先ほどまでの明るさが少し消え去り、顔の陰が少し濃くなる。

「まぁ、泥棒対策としてはとっても効果的だと思いますよ!
何てったて、盗んだものが跡形もなく光になって消えちゃうんですもの!」

振り返って少女の方を見ると明るい笑顔と声色でそう返す。
そして少女の次の言葉を聞けば顎に手を添えこちらも思考しだす

「確かに……あの調査員も…
幼虫を纏めて管理するほどの知能、統率力がありながら餌を確保したらその場に放置、なんていうのは考えづらいですね。
それでいてルインワーム自体の数が不足しているかと言われれば罠の部屋ではうじゃうじゃ居ましたし…。

可能性は二通り、一つはルインワームが幼虫の世話や餌の管理に疎い生物であるか。
もう一つはルインワームの天敵たる生物が定期的にここに訪れているか。…ってそれって自分らじゃないですか?」

今までの状況から分析し、調査のために何人もの人間が足を踏み入れたことを踏まえてそのような持論を述べる。
では気になるのはあと一つ。奴らが何故このように分散しているか…。
調査員や自分らのようなアルバイトが定期的に足を踏み入れているとはいえ、統率する時間は十分にあるはずだ。
可能性はまた二つ…さて、どうだろう。

険しい顔でぷつりと黙り込んでしまう

糸車 歩 > 両手は塞がっているので、頬に手を当てることはできない。
ため息をはき、部屋を見回す。

「ん、でも過信は禁物かもね。
すべてがすべて、跡形もなく消滅するわけじゃないみたいだし」

例えば射出した弾丸。噴きだした煙。
偶々かもしれないが、すでに散らばった物は青い光によって回収されていないように思える。

「手を触れなくても消せるなら、盗難防止以外にもいろいろ使い道はあるわ。
断崖に橋や足場をつくり、敵が上に乗った瞬間に、消失させるとか」

そう言って、悪戯っぽく片目をつぶる。
とはいえ、この遺跡内ではそれほど立体的な動きは難しいだろう。
ルインワームがたまたま少なかったのを喜ぶべきか、悲しむべきか。

「ルインワームの天敵──つまり私たちの来訪による管理体制の崩壊か。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
でも、ところどころ統率に穴があるのは確かね。おそらくこのバイトを受けているのは私たちだけじゃないでしょう。
誰かが群れの討伐なり、統率できる個体の撃破なりしたんじゃないかしら」

そうと考えれば、このちぐはぐな状況にも一応説明はつけられるだろう。
まだまだ調査を進めてもいいが、2人とも荷物が増えた状態だ、これ以上の戦闘は気をつけたほうがいいのかもしれない。

「さて、どうしましょうか。まだ調べてみる?」

滝川 浩一 > 「…そうですね。壊した物体は治らない、奪った命は元に戻らない。
ええ、わかってますよ。…でも不思議です。神様ってのがいるなら何故俺にこの異能を回したんですかね?」

自身の掌を見て、下を俯くとそのように発言する。
異能を手にする前の自分と言えば大したことはしてなかった。
才能もなければ努力もしない。運もなければそれを覆す力も知能も手にしようとしなかった。
異能が神という上位存在が遊びのつもりで…そう、行列を作る蟻に砂糖を与えて遊ぶように、異能は…遊びのつもりで『誰か』が配布しているのか?

……ダメだ。考えるな…今はそれどころじゃない。

「なぁ~んて、異能が発現するのなんてただの運ですよね!
確かにそのような応用ができそうですね。今度、訓練施設でいろいろやってみますよ。

っと、調査の方なんですが…そろそろ潮時でしょう。自分で言うのもなんですが、中々いい仕事をしたのではないでしょうか?
あっ、差し支えなければお荷物お持ちしますよ?」

暗い雰囲気を吹き飛ばすように笑えば、そのように言って胸を張る。
ふふんと鼻息を漏らすと彼女の様子に気づき慌てて両手で抱えている荷物を持とうと近づく。

「気になったんですが…その、この幼虫の死体はどうするんですか?」

袋の中身を覗き込むと、そのように問いかけながら出口へと向かう。

糸車 歩 > 「そーねー。上手く使えってことじゃないかなぁ。
まだ自分の意志で使えてるだけいいじゃない、制御不能な子もいなくもないんだし」

自分に異能がなぜ発現したか、この力は何のために使うべきなのか。
そういった疑問には興味を持たないらしい、少女は自信なさげに呟く。
半ば自問自答に陥りそうになっている少年から視線を外し、ぼんやりと虚空を眺めた。
頭の中には、ルインワームの幼虫の、素材としての活用方法。

「あら、気が利くじゃない。それじゃ、お願いしちゃおうかな。
……え、これ?
補充よ、補充。さっきマスク作るのに使っちゃったから。
無からモノを創造するほど高等な能力じゃないし」

どうやって“補充”するのかは内緒である、まだ。
それにしても背中にリュック、その脇にぶら下げた海水と魚と海藻が入った袋、そして両手には幼虫がぎっしり詰め込まれた袋。
どう見ても抱えすぎではなかろうか。そわそわしながらついてゆく。
やはり気になるのか、無事外へ抜けたところで自分で持ちたがり、返してもらおうとするだろう。

潜ってから、だいぶ時間が経っていたようだ。
少年に別れを告げれば帰路を急ぐ。報告書を書くのは後日になるだろうか。

本日のバイト代;
【基本10,000円+ボーナス850円=10,850円】

滝川 浩一 > (補充?)

一体何の補充なのだろうか。どう補充するのか。
いろいろ興味が湧いてきたが今ここで問いただすのは野暮だと判断し、口を閉じる。

「あぁ…待ってください。あの…良かったらこれ、その…俺が持ってても仕方ないんでどうぞ。」

袋を渡して去っていく彼女を呼び止めると
リュックサックに付けていた海藻と海水、そして魚が入っていた袋といつの間にか集めたルインワームの糸を彼女に渡す。

「迷惑だったら捨てて結構ですよ。
…では、楽しかったです。ありがとうございました。またよろしくお願いします」

苦笑いして不要なら捨てていいということを告げると
笑顔を取り戻し、彼女に礼を告げこちらも帰路につく。

バイト代【基本10000円+ボーナス850円=合計10850円】

ご案内:「海底遺跡郡・朱夏の遺跡」から滝川 浩一さんが去りました。
ご案内:「海底遺跡郡・朱夏の遺跡」から糸車 歩さんが去りました。