2016/09/05 のログ
ご案内:「釣り堀」に五代 基一郎さんが現れました。
■五代 基一郎 > この島はそもそも一つの独立した自治体である。
故に娯楽のための場所はいくつかあるし、行楽というのもある。
山や海に美術館や博物館に行けば農作業体験等もできるだろう。
そしてここもまた然りで、釣り堀というものがあるのだが
学生自治のこの島ではそれはもうあまり人気がない。
大体にして学生がやるような釣り、というのならば渓流でのスポーツフィッシングや
海まで行って磯釣りかなのだろうか。
そんな閑散とした、釣り糸が揺れる音すら聞こえてきそうなところで
スーツの男が、またくたびれたスーツの男と釣り糸を垂らしている。
隣にいるのは色々懇意にしている刑事課の人間であった。
■刑事>「調査が終わったのが昨日だ。えらく時間がかかったよ。」
■五代 基一郎 > 事の発端は少し遡る。
この島に”出向”してきたというクライド・マクスウェルという米軍人から委員会街に呼び出されたことから始まる。
元常世島の教師であり、かの国に渡った人間に関しての調査を頼まれた。
曰く内偵していた、消息不明。持ち物がこの島で観測されたと。
まだ何かという事件が起きてない上に、かつ外交上とてもデリケートな案件が
やってきたことにあぁ面倒事が来たなな、四年だというのにと思いつつも
”問題”として定義されてしまったのならば、箱を探し蓋を開けて
何もなかったと”解決”に向かいたいところであるからして。
その尋ね人である”有馬 幸作”の調査を色々融通が利く刑事課の人間に頼んだわけであるのだが。
■刑事>「有馬幸作は物理学の研究者だったらしい。授業記録や教員関係、知人はまぁいないかあたってみたし
給与関係から預金口座も調べてはおいた。だいぶ難儀したよ。何せ失踪とは行っても何か事件を起こしたわけでもない。
礼状取るわけにもいかんしさ。」
お互い餌が付いているのか付いていないのか、そもそもこの釣り堀に魚などいるのだろうか
と思うような閑散とした風が噴く。
■五代 基一郎 > まだ何も起きてはいないし、そもそも島で失踪したのならまだしも
かの国に渡った後にというものだ。
知ったことではないだろうというのもあるし、何より”正式な”捜索願いが出されているわけでもない。
かの国の軍隊からの非正規な依頼だ。
お蔭で自分もこの刑事も非正規な手段を使わざる負えない。
人の流れ、金の流れを追うにしてもだ。
事情については刑事、加えていえば協力するだろう公安の人間にも伝えてある。
問題が問題なだけにある種の理解がある人間で内々に進めるしかないわけだ。
■刑事>「で、地下アイドルの方はどうなってるんだ。」
「映像からの場所の割り出し、配信環境から辿ってはいるけど中々。
足とツテと情報サービスと公安の方ので精査中。」
■刑事>「犯罪の裏には金と女とは言うが、女が地下アイドルとしたら珍妙な話だよ」
指輪だかはまだしも銃まで渡すかね、と釣竿を適当に握りながらまた呟くが
どちらも連れた気配もない。というより魚が水面に出てきた気配がない。
これはデートスポットには不向きだな、と嫌でも理解させられた。
■五代 基一郎 > 何にせよまぁ、細かいことはファイル化しておいたから
後で目を通しておいてくれ。そのままアメリカさんに渡せばいいだろうよと
今時アメリカさんもないだろうと気だるい顔で曇りの空から日が出つつあるのを感じ始め
今日はこれくらいにしておくか、と引き上げの準備を始めた。
■刑事>「女といえば大丈夫なのかアンタ。卒業前に辞職でもしたいのか。」
「そういうつもりではあったからいい機会だよ。」
呆れたヤツだ、と刑事も釣竿を片付け始める。
例え一年ほど前といっても訳ありの女抱えて情がどうのとなれば司法関係者としては
あまり評価はよろしくない。部署が部署だけに、という話ではあったが
それでいいというのであれば呆れるほかない。
■刑事>「あんたも男だったわけだ」
「可愛い女の子なら尚更だよ」
こいつにも女ありとは、やな話だとこの集まりをさっさと切り上げに入る。
しかし一体この釣り堀に何がいるのだろうか……とも。
■刑事>「なら物理学者の先生も女かな」
「金というならばこの島で研究するなら十分だったはずだよ。
それでも出て渡ったのなら金以外のことが動機であろうことは考えられるさ」
女、に限らずそういった金銭や名誉ではないだろうことは消去法として考えられるだろうかなというのは
まだファイルを開けてはいないが、この少ない中でも共通の認識としては成りえるものだった。
それが一体何かは開けてみないとわからないのだが。
「次はもっと華やかなところを選ぶよ。フラワーパークとかさ」
■刑事>「よしてくれ気味が悪い。」
そう言いつつも、次などなければいいんだがとこれまた共通の、を
抱きつつ釣り堀を後にした……
ご案内:「釣り堀」から五代 基一郎さんが去りました。