2017/01/11 のログ
ご案内:「進学進路指導室」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 「何度も相談することになってしまって、すみません」

進路指導室。向かい合って座った音楽教師に、頭を下げる蘭。

『生徒がそんなこと気にしなくていいのに…。
それに、冬休みの間に色々あったみたいだからね』

教師は、何でもない風に笑った。
蘭の異能のことや、それらの経緯。
授業の1つを担当していることもあって、この教師もうっすらとは聞いているようだった。

美澄 蘭 > 事情がうっすらとでも伝わっているなら話は早い、という風情で、苦笑いで詳しい説明をせず、話を進めようとする蘭。

「ええ…多分来年は異能学や異能制御訓練も入って忙しくなるので、音楽実技についていくだけの練習時間は確保出来ないと思います。

…でも、おかげで吹っ切れました」

『…「諦めた」じゃなくて、「吹っ切れた」なのね?』

教師が、心配そうに確認する。
蘭ほど多方面に努力出来る生徒は多くない。見切りをつけるのはいいことだが、だからこそ、後ろ向きな妥協では、引きずってしまうかと思って。

心残りを帰って引き出すかもしれない質問ではあったが、教師としては投げかけないわけにはいかなかった。

美澄 蘭 > 教師の質問に頷く蘭の顔は、穏やかに晴れ晴れとしていた。

「はい…異能に気付く過程で、無茶をして…分かったんです。

私が一番したいのは「知る」ことだって。
世界を知って、その上で何が出来るかを考えることだって。

音楽は、手放せない、かけがえのないものに違いないですけど…でも、私にとっては「趣味」なのかな、って思ったんです。

………二年間お世話になっておいて、こうなってしまってすみませんでした」

そう言って、最後に頭を下げる蘭。
教師は、何でもないという風に、笑った。

『いいじゃない、「趣味」。人生に欠かせない潤いだよ。
その「潤い」に音楽を選んでもらえるなら、十分。

教師として、私は美澄さんの進路を応援してるからね』

「…ありがとうございます」

教師の励ましに、蘭もはにかむような微笑を綻ばせて、感謝の言葉を返した。

美澄 蘭 > 「あ、でも」

と、不意に切り出す蘭。

「「趣味」としてでも、ピアノは続けたいですし…発表の機会も欲しいなって思ってるので、気軽な感じで練習出来る部活なり同好会があれば、所属したいと思ってるんですよ。
近いうちに、先生がご存知の団体を紹介してもらっても良いですか?」

蘭の要望に、教師は笑顔で頷く。

『うん、喜んで』

美澄 蘭 > 『…それで、話を聞くと一般大学志望ってことで良いのかな?』

「そうですね…今のところそう考えてますけど、負担にならない範囲で魔術の勉強は続けていこうと思っています。
出来ることが増えるのはやっぱり楽しいですし…魔術の側面から世界を見る、って選択肢もあり得るかな、と思っているので」

そんなこんなで、進路相談は続いていく。

相談を終えて進路指導室から出てくるとき、蘭の顔は晴れやかさを増していることだろう。

ご案内:「進学進路指導室」から美澄 蘭さんが去りました。