2017/02/16 のログ
ご案内:「浜辺」に龍宮 鋼さんが現れました。
ご案内:「浜辺」に東瀬 夏希さんが現れました。
■龍宮 鋼 >
(最近日中は暖かい日が多くなってきた。
とは言え海沿いはまだ潮風のせいでやや肌寒い。
いつもはあけているジャケットの前をキッチリ閉め、煙草を咥えながら砂浜を歩く。)
――。
(最近ケンカをしていない。
カチコミやらなんやらはそこそこあるのだが、それはケンカというよりは戦争とか蹂躙とか言った方が近い。
とは言えケンカをしたいと言う気分は最近薄れていて、どちらかと言えば組の連中の面倒を見ている方がなんだか楽しい。
心境の変化は常世祭が終わった辺りからで、それも悪くないと思える。
とあるヒーローに感謝しながら散歩を続けて。)
■東瀬 夏希 > たったったった。
退院してしばらく、ようやっとまともに運動できる状態になったため、軽く砂浜を走っている夏希。
一度異端に敗北した時点で実力が足りていないのに、入院生活である程度なまってしまった。
それを取り戻すためのトレーニングの一環である。
……そう、単なるトレーニングのハズだったのだが。
「……貴様は」
丁度、自分を打ち負かした異端が。この砂浜を歩いていた。煙草を吸いながら。
■龍宮 鋼 >
(足音が聞こえた。
砂浜を走ると言うのは定番のトレーニング法だ。
故に気にせず歩いていたのだが。)
――おう。
怪我ァもういいのか。
(声を掛けられて振り向けば、以前この場所でケンカをしたヤツがいた。
煙草の煙を吐き出し、笑いながら声を掛けた。
一度ケンカをすればダチと言う感覚から、割とフレンドリーに。)
■東瀬 夏希 > 一度喧嘩をすれば友達。
そんな気持ちのいい男の世界は、残念ながら夏希には無縁。
夏希にとって、喧嘩……と言うより戦う相手は、断罪すべき異端でしかない。故に。
「囀るな、異端。よくもまあいけしゃあしゃあと口にしたものだ」
殺気全開。目は殺意で爛々と輝き、今すぐとびかからんと言う勢いである。
■龍宮 鋼 >
(そんなことは百も承知。
殺意の圧力を受け、しかしそれをさらりと流し、フッと息を吐き出して笑う。
彼女の余裕の無さは少し前の自分を見ているようで。)
んな目ェしてんじゃねーよ。
ケンカして怪我したのはオマエだけじゃねーんだからよ。
(煙草を投げ捨て、近くにあった自販機へと歩いていく。
小銭を入れて、缶コーヒーを二つ購入。
その内一つを開けて飲みながら、もう一つを彼女へ差し出しつつ近寄っていく。)
■東瀬 夏希 > 「異端が囀るなと言っている。異端ならば殺さねば…ん?」
停止。
この東瀬夏希、こんなんではあるが、こんなんではあるが一応身分としてはシスターであり、彼女のところの宗派は「施しは無下にするべからず」と教えている。
だが、差し出しているのは異端。ぶった切りたいしそうすべき相手。
しかし、この差し出された缶コーヒーを無下にするのは教えに反するのでは?いや、相手は異端だし…と、一瞬どうすべきか分からなくなってしまい、硬直してしまっているのだ。
融通の利かない性格が思いっきり仇になってしまっていた。
「これは、何のつもりだ?」
なので、意味を問い質す。
いや、流石にさっきそこで買ったのを見ているので毒なわけはないが。それでも、どういう意図があるのか確認して施しじゃなかったらよし斬ろう。と言う所で折り合いをつけた夏希である。
■龍宮 鋼 >
――何ってコーヒーだよ。
詫びだ詫び。
(缶コーヒーを差し出されて固まった彼女に不思議そうな顔を向ける。
ケンカの常とは言え、ボコボコにしてしまった事は多少気にしていたのだ。
一向に受け取らない彼女にじれったくなってしまい、ぽいと彼女の方にそれを放って、座り込む。)
つーかよ、異端異端と人括りにしてくれやがって。
俺ァてめーになんもして――あァまぁボコボコぶん殴りはしたがよ。
オマエも好き放題やってくれやがっただろ。
大体殴られる覚悟もねーんならケンカなんざふっかけてくんじゃねーよ。
(座り込んだ位置は彼女のすぐそば。
無用心に間合いに入り込み、無防備な姿を晒して新しい煙草に火を付ける。
油断や自信から来るものではなく、敵意が無いということを示す行動。)
■東瀬 夏希 > 「…詫びる必要がどこにある」
言いつつ、そういう理由なら飲まねばならぬ。
カシュ、とタブを開けてぐいっと飲む。
戦場では殺し殺されるが常、いちいち相手に詫びていては話にならない。
そもそも、異端は滅ぼすべきもの。故に詫びる必要などないし、異端が詫びるならそれはこの世に存在していること自体をだ。
殴り合ってけがをさせたから詫びる、と言うのは、寧ろ侮辱のようにすら思える。
それに―――
「何もしていない?生きているだろう、異端の分際で。異端は生きているだけで罪だ。その罪を裁くのが私の役目だ」
刹那、自身の最も忌むべき記憶を意図的にフラッシュバック。
異端への憎悪に薪をくべる。
戸惑う顔が。恐れる顔が。何故、と問う声が。やめて、と叫ぶ声が。何より、手に残って消えない感触が。
憎悪の炎を燃え上がらせる薪となり、殺意を限界まで増幅させる。
「今度こそ、貴様を断罪する。忌むべき異端である貴様を、今度こそ」
グシャ、と缶を握りつぶし、そして魔術の炎で焼き尽くす。
敵意を示さぬ相手に夏希が返したのは、どこまでも深い憎悪の念だった。
■龍宮 鋼 >
(ああそうだ。
詫びる必要などどこにもない。
ケンカなんだ、怪我をして当たり前だ。
そんなものは後付の理由でしかなかった。)
――俺ァよ。
昔、妹と一緒にこの島の違反組織に飼われててよ。
色々あって今ァこうやってガクセーやってんだわ。
(唐突に自分の過去を話し出す。
彼女の憎悪も殺意も、何もかもを無視して。)
そんでまあ、妹の方はそんときのゴタゴタで俺のこと忘れちまってんだわ。
ちーと前まではそれ気にしてあんなんだったんだがよ。
ヒーローがよ、助けてくれたんだわ。
(海を見ながら、穏やかな笑顔のまま。
彼女には以前との違いが分かるだろうか。
余裕の無かった前回と、余裕の生まれた今回の違いが。)
――オマエ、異端とやらに何獲られたかしんねーけどよ。
キツいだろ、そのままってのは。
(詫びたかったわけではない。
話したかったのだ。
自分とよく似ていると思った、東瀬夏希と言う少女と。)
■東瀬 夏希 > 「違反、組織だと」
む、と顔をしかめる。異端相手とはいえ、飼う、と言う言葉は聞き捨てならない。
それは司祭様に報告した方がいいかもしれない。もしかしたら討伐命令が下る可能性もある。
が、その後の言葉を鑑みるに、そのヒーローとやらに壊滅させられたのだろうか。
ついで違和感を抱く。そう、前回とは明らかに違う雰囲気。
ここまで綺麗にこちらの憎悪を流されると、わずかにだが気が抜けてしまう。
そして……投げかけられる言葉。
それは、内面を言い当てられたかのようで。
―――――異端にだけは、触れられたくなかった内面を。
「何、だと?はは、獲られた?それで済むものか」
思わず笑みを浮かべる。あまりに壮絶で、余りに喜びのない笑みを。
「その程度であれば、剣など取るか。それこそ単なる一シスターとして祈りに救いを見出しながら過ごしただろうさ」
再燃する憎悪。否、それは憎しみだけではなく。
内面を言い当てられた怒りや、異端への憎しみ、運命への嘆き。
全てが混在した、複雑な負の感情。
「貴様に、異端に何がわかる……!異端が、いや、何も知らない奴が、知ったような口をきくな……!」
■龍宮 鋼 >
その違反組織は風紀委員に摘発されて、残党もまとめて根こそぎしょっ引かれたがな。
おかげで風紀委員は今でも大っ嫌いだ。
(違反組織から助け出されたのは二年前、ヒーローに助けられたのはつい最近だ。
それでも、真に自分を救ってくれたのは間違いなくそのヒーローだと思っている。
とにかく、そんなことはどうでもいいのだ。
自分がそのヒーローに助けられたように。
今落第街でやりたいことも目標も何もないヤツらを片っ端から拾い上げているように。
この少女を、あの時のヒーローのように。)
――そうかい。
確かに俺はオマエのことなんざちいとも知らねェ。
オマエがどんなにちっぽけな人生を歩んできたかなんざ、知るわけねェし、知りてェとも思わねェ。
(ちっぽけな人生なんかじゃないだろう。
それほどまでの憎悪を見に宿すほどの壮絶な過去があるのだろう。
それでも、そんなことは自分には一切関係ない。
立ち上がって、両手を広げる。)
全部吐き出しちまえよ。
恨みも憎しみもなんもかんも全部。
――俺が全部受け止めてやるからよ。
(自分にあるのは、ただこの少女を助けたいと言う思いだけだ。)
■東瀬 夏希 > 「は、はは。ちっぽけと来たか。異端が人生を語るか」
殺す。
異端など関係なしに、この憎悪をぶつけてやらないと気が済まない……!
「受け止めると来たか。そうか、そうか」
言いながら、ゲート魔術でグレイブ……槍の穂先が剣になったような、薙刀系の武器……を取り出す。
刃部には『Anti Heresy Holy Weapon Series Local type「Georgius」』……対異端法化兵装局地型『ゲオルギウス』の文字。
竜殺しの聖人、聖ゲオルギウスの名を借りたこの兵装の固有性能は二つ。
肉体の耐性を常に向上させる「気高き祈りは万難を防ぐ(マルティーリオ)」。
そして……
「貴様に、私の痛みが分かるかあああああ!!!!!!」
竜種の特性を持つ相手に対し常に特攻効果を発揮する「屠竜の聖剣(アスカロン)」。
当然、竜種である鋼に対しては効果が発揮され、触れただけで身を引き裂かれる痛みが走る、「対竜種特化兵装」である。
そのゲオルギウスで、怒りのまま袈裟切りに斬り伏せんと襲い掛かる!
■龍宮 鋼 >
(槍――薙刀と言うべきか――を振りかぶる、目の前の少女。
憎悪や嘆きをむき出しにしているその表情。
それを穏やかな笑顔で。片手をポケットに突っ込んだまま迎え撃ち、)
――ッ、っか、は――
(防御の体勢も取らず、身体で受けた。
ばっさりと肩口から脇腹まで切り裂かれ、血がボタボタと砂浜に零れ落ちる。
そしてそれ以上の激痛が全身を襲う。
ガクガクと全身が振るえ、しかしそれでも膝は付かない。)
――っか、る――かよ……。
他人の、痛み……ッ、なんざ……しる、か。
(ガクガクと震えながら、コーヒーの缶を煽る。
腕を動かすだけで激痛が走る。
激痛だけで意識が飛びそうだが、それらを気合と根性で留め置いて。)
――だけ、どな。
ほっとけ、ねェ、よな。
そん――な、痛み、抱え……てんなら、よォ。
(ポケットに突っ込んでいた腕を伸ばす。
払われないならば、そのまま彼女の襟を血に塗れた腕で引っ掴む。)
苦労、してきた、ヤツが……報われ、ねェのは――ッハ。
好きじゃ、ねェ……!
■東瀬 夏希 > 「なっ……!?」
ゲオルギウスの一閃に、竜種が耐えた。
そのことに驚き目を見開くが……刹那、納得する。
そう、彼女は前回も、インノケンティウスの「魔女への鉄槌(マレウス・マレフィカルム)」にも気合だけで耐えたのだ。
つまり、不撓不屈。
極端なまでに「我慢強い」のだろう。
だが、それ以上に不思議なのは、この戦意のなさ。
本当に、一切を受け切る気なのか……?
一瞬の動揺の内に、襟を掴まれるが……その次の言葉に、硬直する。
そして、笑う。
ああ、やっぱり何もわかっていない、と。
手を振り払わず、ゲオルギウスを地面に突き立てて。
自分も鋼の襟を掴み返しながら、憎悪と嘆きと……「自身に対する」怒りを一気に吐き出す。
「報われてなるものか!私は、報われる資格などありはしない!
私は、私はこの手で……」
■東瀬 夏希 > 「自分の家族を、殺したのだからなあ!!!!!!」