2017/08/06 のログ
ご案内:「クローデットの私宅・寝室」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 夜。
クローデットは寝室でベッドに腰掛け、サイドボードの上で書き物をしていた。

…もうすぐ満月が…つまり、「彼」の呪いを解く約束の日だ。
そこで、解呪の術式の構成をまとめているのである。

クローデット > 彼にかけられた「呪い」の構成を考えた時に、するべきことは以下のことだ。

彼と、月の魔力との繋がりを絶つこと。
伝承としての「獣」や、人間の…特に「男」の持つとされる「獣性」のイメージを解くこと。
そして…「大切な人」の呪詛を和らげ、昇華すること。

最後のそれが難事業なのは承知だが…2つ目の項目においても、クローデットは不安を抱いていた。

(彼に理解させようとするのは…少し、早まってしまったでしょうか)

詠唱の構成をまとめる筆記用具の手を止め、視線を落とす。

クローデット > 周囲に、他者は「加害者」だけでいいのか。
「加害者」を愛してしまい、その「加害」の意味を理解出来ないままでいては、この世界でやっていくことが出来ないのではないか。
…いつまでも、「加害者」の甘えが、許される道理などない。

だからこそ、学ぶようけしかけて…そのまま、勢いでとっつきやすく、かつさほど文量のない参考文献を渡してしまったが…

もし、「彼」が「理解」して、「加害者」としてのクローデットを憎んでしまった場合。
…「獣性」のイメージを解くのに、支障が出はしないだろうか。

(………本当に、わたしは弱い)

彼の愛を、情動を受け止める自信がなくて、焦って突き放そうとしてしまったことで…本題に不安を生じさせてしまっている。本末転倒だ。
クローデットは、自らの不手際に、静かに嘆息した。

クローデット > …それでも、自分の弱さ、卑劣さ、罪の意識を、他者に吐露出来たことは大きかった。
カウンセリングには大分楽に向き合えるようになったし…未だに見る夢もその頻度を落とし…そして、ある程度落ち着いて受け止められるようになってきている。
白魔術の調子は完全に戻ったとは言えないけれど、少なくとも魔力は本調子だ。

(…多少、魔力を余計に放出すれば、術式自体が阻害されたりは、しないと、思うのですが…)

不安を払拭するよう努めながら、詠唱の構成を考えるのを再開する。

クローデット > (………こんなものでしょうか)

構成をひとまず形にして、見直す。

(…一応、起きてから再度確認致しましょう。
今は、少しでも魔力の調子を維持して、心身の安定を保たなければ…)

彼の心情などの環境要因もあるが…最終的には、やはり自分の問題だ。
彼の解放を願い、「大切な人」の感情を掬い上げようとする…自分の意思を、信じなければ。

サイドボードの上に肩にかけていたガウンを軽く畳んでおき、クローデットは床についた。

クローデットは、まだ「彼」の心情を、知らない。

ご案内:「クローデットの私宅・寝室」からクローデットさんが去りました。