2017/11/27 のログ
ご案内:「常世大ホール」に連弾の少女達さんが現れました。
連弾の少女達 > 常世祭の中では、音楽系の催しももちろんある。
その中の1つ、小規模な音楽系同好会「第二器楽同好会」の発表会が、終幕に近づいていた。
残すは最後のピアノ連弾、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」を残すのみである。

舞台装置により、舞台中央にグランドピアノが姿を現す。

連弾の少女達 > それから、連弾を演奏する少女2人がステージ袖から入場してくる。
片方は水色でワンショルダーの、軽やかなシフォンのドレスを着て、栗色の髪をハーフアップにまとめた、左右色違いの瞳を持つやや長身で華奢な少女。
もう一人は、もう一方ほど背は高くないもののその黒髪を2つのおだんごにまとめることでその差を視覚的に補い、チャイナカラーという特徴が目を引くパステルピンクのドレスを身に纏っている。

2人はお辞儀をして二つのピアノ椅子が並べられた鍵盤の前に座る。
水色の少女が右側、ピンクの少女が左側だ。

連弾の少女達 > 左側に座ったピンクの少女が鍵盤に触れ、曲が始まる。
第1曲「眠れる森の美女のパヴァーヌ」だ。

ゆったりとした旋律の中で、眠りに沈む様を表すような低音が静かに響く。
やがて水色の少女の右手が旋律を引き継ぎ、空気を動かすことすら憚るような静かさで指を動かし、眠りを妨げないような優しさで奏でた。

連弾の少女達 > 静かに、空間に音を溶かすようなピアニシモのフェルマータで曲を閉じ…鍵盤から両者が指を離した後、少女達が軽く目配せし合って、それから再度左側の少女がピアノを奏で始める。
第2曲「親指小僧」の始まりだ。

拍子が様々に変わりながら、透明な神秘性を帯びた八分音符の連なりを奏でる。
水色の少女がその連なりの上で、ゆったりした旋律を奏で始める。
その旋律は左側の少女の動きと時に重なり、奏でる2人の少女の手も、その音の動きの重なりのように寄り添う。
それでも、2人は不意に手をぶつけたりすること無く、透明な音の連なりを紡ぎ続けている。
時折、リズムを引っかけるように三連符や装飾音が叩かれる。

連弾の少女達 > その曲もまた、子守唄のようなゆるやかさと静けさに導かれていく。
「マ・メール・ロワ」の題の通りの、ふわふわとした非現実感だ。
第2曲は、澄んで高い和音を伸ばして終わる。

次の曲、「パゴダの女王、レドロネット」では、その曲想は一気に変わるのだが。

連弾の少女達 > 軽快な左側の奏者の伴奏の上を、スピード感ある右側の奏者の旋律が駆け回り始める。
その響きがどこかアジア的なのは、第3曲のタイトルの中にある「パゴダ」というのが、童話の中に出てくる中国の陶器人形のことだからだろう。
音の抑揚を豊かに、2人で揃えて表現する。

やがて、チャイナカラーの少女が奏でる第二ピアノの方に主題が映り、悠然とした低音が、幻想のアジアの雄大さを表現する。

連弾の少女達 > やがて、その悠然とした旋律をハーフアップの少女が奏でる高音が引き取る。
時折混じる二拍三連を、柔らかく歌うようにリズムに引っかける。

やがてその旋律が第二ピアノに戻ると、水色の少女の第一ピアノは最初に奏でていた旋律で再び走り始めた。軽やかさと雄大さが共演する。