2017/11/28 のログ
連弾の少女達 > 最後には、最初の軽やかな曲調に戻り、最後は華やかなアルペジオを派手に鳴らして曲を閉じた。

2人は再度目配せし合って、ゆったりとした、それでいてどこか不安定な響きのワルツを奏で始める。
第4曲「美女と野獣の対話」の始まりだ。

連弾の少女達 > ゆったりと歌い、おずおずとした距離感を示すような抑揚の第一ピアノの旋律が「美女」を表しているのならば、第二ピアノが不気味な響きの低音と、不器用に引っかかるようなアウフタクトの三連符で表現するのが「野獣」なのだろう。
それらは重なり、不穏な響きを宿したまま高まりを見せるが…一旦は収束する。

ゆったり流れる「美女」の主題の裏で、ひそかに、徐々に主張を強めていく「野獣」の主題。

連弾の少女達 > そうして、再度訪れる緊張感を帯びたテンションの上昇は、今度は右側の少女の美しい高音のグリッサンドを導き出す。「奇跡」の場面を音楽で表現したものだろう。
水色の少女の右手が、ピアノの高音の上限に近いところで一度だけ「野獣」…いや、「王子」の主題を模倣する。
その後第二ピアノに戻った穏やかな「王子」の旋律を、高音のアルペジオが幻想のように彩り、虚空に消えていくように、曲は閉じた。

連弾の少女達 > 最後の曲、「妖精の園」を始めるにあたって、鍵盤から離した指を再度鍵盤に添えた少女達は、目配せの後、呼吸を揃えてから優しく鍵盤を押し始めた。
優しく、静謐な雰囲気で始まる、ゆったりと歌うワルツだ。
演奏する音がよほど近づくのだろう、水色の少女の左腕と、ピンクの少女の右腕は時にぴったりと近づく。

高音のアルペジオにのって歌うような三連符が、今までの夢想感に目の覚めるような透明感ある彩りを足す。
今まで、柔らかい響きの中、溶け合うように少ない音で奏でられることの多かったこの小組曲は、終幕に向けて連弾らしい和音の厚みを増していく。

曲は、最後水色の少女が奏でる美しいアルペジオと、ピンクの少女が奏でる重厚な和音の重なりが、空間を満たす華やかな強さで締めくくられた。

連弾の少女達 > 演奏会の空間を漂う残響が消えたところで、少女達は立ち上がり…お互いを讃えるように相手を手で指してから、一緒に礼をする。
会場がそれに拍手で応えると、今度はそれまで舞台に出た他のメンバーもゾロゾロと姿を見せた。

部長が中央、最前に立って頭を下げると、他のメンバーも再度追随する。
観客がメンバーの健闘を拍手で讃え…ナレーションが入って、演奏会は幕を閉じたのだった。

ご案内:「常世大ホール」から連弾の少女達さんが去りました。