2015/09/26 のログ
ご案内:「回転寿司屋「メビウス」」に片翼・茜さんが現れました。
片翼・茜 > 学生街の商店街、その一角にある回転寿司屋。
ピークを過ぎ、人が減り始めたそこへ、茜は足を踏み入れる。
人数を聞きに来た店員に「一人、出来ればカウンターで。」と答える。
店員はかしこまりました、といささか疲れた笑みを浮かべ、インカムで確認を取りながら歩み去る。
席の掃除をする間だけ待たされてから案内され、ショルダーバッグを足元に置き、席についた。

片翼・茜 > まずは緑茶を作る、茜は五感が鈍いために濃い味でないと感知できない。通常の3倍の粉を入れてお湯を注ぐ。
一口すすって「ほう。」と溜息をついた。
まだ寿司は取らない、焦る必要はない。回転寿司といてど、きちんと準備をしてから食べる必要がある。

寿司と一緒に流れているわさびのパックが入った容器からひとつかみ取る。通常の量では足りない。
席に備え付けのタッチパネルでホットコーヒーを注文してから、ベルトコンベアの上下、互いに逆方向に流れる寿司に目をやった。

片翼・茜 > 重力が反転している下側から取るのにはコツが要る。反転しているエリアから出した直後に下に落とすというのが、一番やりがちなミスだ。
初心者は掌で寿司を押さえながら取り出すようにとの説明書きがある。
だが、茜は初心者ではない。コンベアの下側に流れる、マグロに手を伸ばす。
手首から先だけ重力が反転する独特の感覚。

ゆっくりやっていては後続の寿司にぶつかってしまう、かといって焦れば落とす。
自然に、淀みない動作で皿を持ち上げ(持ち下げ?)、引く。
そして反転エリアとの境目でするりと皿を180度回転させる。
皿の上にのった二貫のマグロを、ほとんど動かすことなく手元に置く。
「……ふっ。」小さく、声が漏れる。表情筋が動いていたなら笑みさえ浮かべていただろう。

片翼・茜 > 何度も通いつめ、寿司を落としながら(ちゃんと下に手を置いて受け止めていたので無駄にはしていない)身につけた技術だ。
これこそが常連の証である。
達成感に浸りながら、箸を取り、手を合わせて心のなかでいただきます、と呟く。
わさびのパックを開けてマグロに乗せ、醤油をかける。どちらも多目に。

そして、口の中へと運ぶ。
美味い。当然本格的な寿司とは及ぶべくもないだろうが、100円でこれなら十分である。
チープな旨味がたまらない。割合貧乏舌な茜はこういう味が好きだった。

片翼・茜 > すぐに一皿目を食べ終わり、カウンター前方の穴に皿を投入する。
「カハァー……。」満足感とともに、喉の奥から息を吐く。
時折、月に一度ぐらいの頻度で寿司が食べたくてたまらない時がある。今日はそれだった。
中毒が充足されるように、寿司が心を満たす。
そして同時に、もっと寿司をという欲求が首をもたげる。

わかってる、今夜はスシNightだ、腹いっぱい食べてやろう。暴れる寿司欲求をなだめるように心の中で呟いた。
先ほど注文したコーヒーが届いた。一口飲んでカフェイン中毒も満たしてやりながら、次に取るべきネタを探す。