2017/08/18 のログ
ご案内:「クローデットの私宅」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 自分の卒業研究を守ってくれている「ガーディアン」達を労いに行った日の夕方。
クローデットは自分の勉強用のデスクとセットの椅子に腰掛けていた。

「………。」

「彼」は、少しずつ、彼なりのペースで前に進もうとしている。
社会性。技能。………それから、自分との距離。

(彼自身が共にあることを望んでいるのであれば…今は、これで良いのでしょうか)

今まで他人と築いたことのない種類の関係性。
今まで、他人とも家族とも共有したことのない感覚。
それは、決して不快ではない…寧ろ、幸福感に近いものだけれど、だからこそ戸惑いもあった。

自分がそんな幸福感を味わっていいのかという、罪の意識。
それと相反する…「彼」を拒絶したら、今離したらどうなるのかという、不安。

クローデット > (………ますます、この島で捕まるわけにはいかなくなりましたわね)

最初は、
「この島での「行い」に関してならば、この島の法理で裁かれる謂れはない」
「法理の通らないところで裁かれたくはない」
という…一周回って社会的とすら言えるわがままだったと思う。
それが、
「もし裁かれるなら、祖国で」
という、具体的なイメージを伴ってきたのは…

(………ひいおばあ様………)

クローデットは、「大切な人」のことを忘れたわけではなかったのだ。

クローデット > 「大切な人」を救った(意識がなかったので確信はないが、クローデットはそう認識している)のは、「彼」であり、自分ではなかった。
………だが、それ以外の人間は、一体何を為しただろう。

声をまともに聞かず、その言葉を切り捨て…「彼女」を、「災厄」にまで育ててしまった、「大衆」は。

クローデットは、祖国で自らを裁きの場に差し出すことすら是とするような、黒い感情の内実を、掴みつつあった。

それは…「大切な人」のことを忘れようとする世界への、人々への「怒り」。
「大切な人」の声を無視しないで欲しい、せめて代わりに聞かせたいという「願い」。
…本当の意味では「大切な人」の力になれなかったという、「後悔」。

それらの感情が、血の臭いを吸って、どす黒く混じり合ったもの。

クローデット > …しかし、自分のその黒い感情は、「彼」には関係のないもの。
そして、「彼」に被せてはならないものだ。

(…どうにか…ここで捕まることのないように…立ち回るしかありませんわね。
彼も…わたしも)

そうすると…「打ち合わせ」は、結界で侵入者を弾いているこちらでする方が都合が良いだろう。

クローデット > (そういえば…転移魔術を覚えたい、と話しておられましたわね)

無論、普通に屋内に転移を試みれば、この私宅周囲に張られた結界がそれを弾く。
弾かないのは、
「クローデットの手による転移の場合」
「クローデットが結界の通過を許可した存在が転移してくる場合」
の2つだけだ。
今「彼」に渡してある使い捨ての護符は、前者の条件に適うので通過出来るが…

(…結界術式のチェックついでに、少々書き換えを加えますか)

クローデットは、眼前に結界術式の図面を可視化する。
複雑な模様を描く光が、パソコンのモニターより大きく広がった。

クローデット > 右手人差し指の先に、魔力の光を宿らせると、それでもって魔術の全体図の一部に触れる。
そこに、とある人名を書き記して、指を離す。

(…後は…)

右手人差し指の先だけに宿っていた魔力の光が、ふわふわと形のない霧のようになって、術式の隙間に入り込んで行く。
…術式解析を妨害する、魔力のノイズだ。

(…これで、すぐに解析されて破られたりはそうないでしょう)

クローデット > クローデットは、部屋の時計を見上げた。
夕飯までは、まだ間がある。

(…「武装」の点検とメンテナンスでも致しますか)

クローデットは、部屋を出て行った。

ご案内:「クローデットの私宅」からクローデットさんが去りました。