2018/08/16 のログ
ご案内:「夏祭りの常世公園」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
ご案内:「夏祭りの常世公園」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 日没間近の公園。普段なら人の姿がぐっと減る時間帯だが、夏祭りの会場となっている今日は特別だった。

祭りと言っても常世祭のような島をあげての大イベントとは比べるべくもない、
商店街主催のこじんまりとしたものだが、公園内には出店が並び、この後には打ち上げ花火も予定されている。
公園の周辺は多くの人で賑わっており、祭り囃子の音が外まで聞こえてくる。

『浴衣すっごい可愛いね。今一人?良かったら一緒に遊ばない?』

待ち合わせ場所である公園の入口に辿り着くやいなや、二人組の男がそんな言葉をかけてくる。

「…ごめんなさい、恋人と待ち合わせてるの。」
『うへっ、彼氏持ちかぁ。お邪魔しました~。』

在り来たりな断り文句だが、二人組はそれで早々に退散していった。
さほど質の悪い手合ではなかったようだ。

(まっ、待ってるのは『彼氏』ではないのだけれど…
 それより、声をかけるなら頭数を合わせた方が良いんじゃないかしらね。)

そもそも恋人という言葉が適切とも思っていないが…そんな事をつらつらと考えながら相手を待った。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 空の色が東から次第に橙色から紺へと様変わりする時間帯、
いつもの閑散とした感じとは打って変わってにぎやかな公園。
そんな空間で待ち合わせの場所へと急いでいた。
急いでいたといっても、
慣れないうえに走るには適さないこの格好では、どうにも早歩きが限界だったが。

『おっ、そんなに急いでどうしたの?なんなら俺たちが案内してあげてもいいよ?』
『なになに?外国人?きれーな髪してるね?』

「いや、迷ってるとかじゃなくて……」

先を急いでいるというのに、声をかけてくる二人組。厄介な輩に絡まれてしまった。
きっぱりと断ればいいのだろうが、普段の人見知りが出てきて、
それをいいことにこちらに応答のすきを与えてくれそうにない・

「……あっ!綾さん!ごめんなさい!探してた人が見つかったので!」

どうしよう、そんなことを考えて狼狽していると、人ごみの先に目的の人。
手を振って歩きだせば、男たちはその目指す先に目を向ける。

『え、あれってさっきの娘じゃね?』
『は?でも恋人待ちとか言ってただろ…?』

そんな会話をする二人だが、急ぎ足の本人にそんな会話は聞こえない>

鈴ヶ森 綾 > 公園に設置された時計で現在時刻を確認する。待ち合わせの時間を少し過ぎた頃だ。
こうして待つ時間も存外悪くないが、少しばかり浮足立ってきょろきょろと周囲を見回す。
そうして目にするのは、先程の二人組に絡まれている少女の姿であった。

助け舟を出そうと思った矢先に目が合った。
それを切っ掛けに彼女が飛び出すように二人の元を離れたので、隣に迎えてその早足に合わせて歩き出す。

「ダメよ、ああいうのにまともに取り合っちゃ。…と言うより、あなたならどうとでもあしらえると思うのだけど。」

両側に露店や出店の立ち並ぶ通りを歩きながら、隣を歩く彼女の様子を上から下へとじっくり観察する。
水連の模様が入った浴衣姿はよく見慣れた彼女とはまったく違う印象で、実に愛らしい。

「それにしても…私ね、ちょっと心配していたのよ。
 もしかしたら、ラウラが普段とあまり変わらない格好で来るんじゃないかって。
 もしそうだったら、ちょっと色々教えないとダメかと思ってたんけど…。」

満面の笑みで彼女の頬をつついたり浴衣をペタペタと触ったりと、いたくご機嫌な様子であった。

「それがまさか、こんなに可愛い浴衣姿で来てくれるなんてね。」

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「すみません!遅刻してしまいました!
 えっと……まぁ、私があしらうと彼らが怪我をしちゃいますから……」

これでも人見知りなのだ。戦場の様に緊迫した状況だったり、
見知った人と話すのであれば問題ないが、こういう"日常的な状況"だと応対が難しい。
乱暴されてこちらが怪我をするなんてことはまずないが、騒ぎになるのは避けたいのだ。

「あのぉ……変じゃないですかね?」

気を取り直して歩いていると、彼女がじっとこちらを見てくる。
その視線に気づいて、彼女の視線の先。自身の格好を見れば、少し不安そうにして問うた。
が、それは杞憂だったようだ。

「えへへ、最初は綾さんに着付けをお願いしようかなと思ったんですが、
 それだと楽しみが減っちゃうかなって」

そんな風に言って見せるが、慣れない浴衣や草履はとても歩きづらそうだ>

鈴ヶ森 綾 > 「まあ、せっかくのお祭りなのに無粋な事はしたくないわよね。」

まして、くだらない連中相手とあってはなおさらだ。

「大丈夫、とっても似合ってるわ。それで、着付けはどうしたの?誰かに手伝ってもらったのかしら。
 それとも…一人で?
 何にせよ、そのサプライズは効果大だったわ。」

なんなら、この場でぎゅっと抱きしめたいぐらいだった。それは一先ず置いておくが。
しかしこの場の楽しげな雰囲気に反して、よく見ると彼女の動きが少しばかり鈍い。
その原因が浴衣や草履にある事を察すれば歩く速度を落とし、ゆったりとしたペースで人波の中を進んでいく。

「ところで、ラウラはお腹は空いてる?花火までまだ時間があるし、少し何か食べておこうかと思うのだけど…。」

前方にはやきそば、たこ焼き、とうもろこしにお好み焼き。祭りの定番とも言える屋台が軒を連ねている。
ソースや醤油の香ばしい香りが漂ってきて食欲がそそられる。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「居づらくなっちゃうのは嫌ですしね。
 彼らだってナンパしたら投げ飛ばされた、なんて嫌でしょうし……」

そんなことを言ってはクスリと笑って見せる。

「この着物、借りたんですけど、お店の人が初めての人は頼んだほうがいいって聞かなくって。
 まぁ、着付けの手順を見てたら結果として頼んでよかったって思いましたけど……
 綾さんが浴衣で来るのは何となく予想してましたけど、
 お互いが普段と違う格好してるってなんだか新鮮ですね!
 えっと、じゃあ焼きそ……いえ、これが食べたいです!」

サプライズが成功して満足そうに笑う。
何か食べないかといわれて、道の両脇にある屋台を見渡す。
最初に目に入ったのは焼きそばだったのだが、その隣の屋台を見てそちらにした。
その屋台で売っていたのはりんご飴。
初めて見るその食べ物をなんと呼ぶのかわからなかったが、鮮やかな赤色に目を輝かせていた。
そして初めは懸命に彼女についていっていたがが、ちょっとしたことでつまずいたりしていた。
それに気づいたのか、彼女の歩みが穏やかになると、不意に彼女の手を握った。

「えっとその、人…多いので、手をつなぎましょうよ。迷子になってもいやですし」

さっきの人みたいなのに絡まれるのは嫌ですし。
そんなとってつけたような理由を並べるが、その表情は恥ずかしげだ。 

鈴ヶ森 綾 > 「私のために随分頑張らせちゃったみたいで、少し悪い気もするわね。
 …あら、そう言えば私の浴衣の感想を聞いてなかったわね。どうかしら、似合ってる?」

軽いステップで一歩先に躍り出ると、自分の姿を見せつけるようにくるりと一回転して手を肩の高さに持ち上げてみせる。

「じゃあ、手始めにりんご飴にしましょうか。おじさん、二つください。」

巾着から二人分のお金を取り出して店主に渡し、代わりに割り箸に刺さったりんご飴を受け取る。
それを彼女と分け合ってまずは一口。鼈甲飴とりんごの風味がなんとも言えず、思わず頬が緩む。
甘いものにはどうにも弱いのであった。

「…そうね。手を繋いで行きましょうか。」

改めて歩き出そうとして、不意に手が握られたので彼女の方へと顔を向ける。
そうして優しげに、甘味に舌鼓を打っている時とはまた異なる笑みを見せ、こちらからも指を絡ませてしっかりと手を繋ぎ直した。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……綾さんが着ると、なんていうか、綺麗ですよね。
 可愛いっていうより、綺麗です」

見た目の年齢で言えばほとんど同い年なのだが、
和装となると彼女の纏う雰囲気は美しさのそれだった。
普段浴衣を着ない人が出す初々しさよりも、様になる落ち着いた雰囲気。
見とれていた。というのが最適だろう。一瞬言葉を失って、感想を述べる。

「リンゴアメって言うんですね。ガラス細工みたいで綺麗です」

初めて目にする食べ物。普通であれば味の想像ができずドキドキしたりするものだが、
それ以上に鮮やかな色合いに心を奪われていた。
口いっぱいに広がる甘さと、りんごの風味が絶妙だ。

「えへへ、デートみたいですね!」

デートみたい。恥ずかしさからそんな風に表現したが、
実際にはデートと言って差し支えない雰囲気だな、なんて>

鈴ヶ森 綾 > 「ふふっ、ありがとう。…ラウラ、なんだか顔が赤いわよ?」

再度隣に並び直したところで、少し身体を前傾させて相手の顔を覗き込む。

「あら、私は最初からデートのつもりだっけれど?…ラウラは違ったのかしら。」

だからこそ、いつもの格好だったら教育なのである。
テレがあるあちらとは対照的に、こちらはさも当然のように。
しかしからかっている風ではなく、口調からも喜びの色は伺える。

「あっ、ちょうど良いわ。あれも買っていきましょう。」

りんご飴を早々に食べ終え、次に向かったのはたこ焼き屋。列がなかったので早々に一パック購入。
輪ゴムで止められた蓋を開けるとソースや鰹節の香りと共に湯気が立ち上ってくる。

「ふー…ふー…はい、ラウラ。あーん。」

パックの中の丸い物体に竹串を刺し、何度か息を吹いて冷ましたかと思えば、それを相手の口元へと差し出す。
なお、竹串はしっかり2本ついてきていた。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「え?!そうですか?き、気のせいですよ!」

顔を覗き込まれて、顔が赤いと言われれば慌てて振り向いて顔を隠す。
そんなにわかりやすい顔をしていただろうか。
もしかしたらからかっているだけかもしれない。
そんなことを考えていると、思いがけない彼女の言葉に固まる。

「もう!揶揄わないでくださいよ!
 ……恥ずかしいからデート見たいって言ったんです!
 そこは察してくださいよ!」

ちょっとすねたように言えば、
どうして彼女はこうも恥ずかしげもなくものを言えるのだろうと思案する。

そんなやり取りをしていると、彼女がたこ焼き屋の前で足を止めた。
りんご飴の甘い香りとは違って、食欲を刺激する香ばしいそれ。
どうして1パックしか買わないのだろうなんて思ってみていると、
口元に差し出された真ん丸のたこ焼きを見つめた。

「え?えっと、あーん……」

一瞬周囲を見るが、こうなれば気にするだけ無意味だ。
意を決したように口を開けると、たこ焼きを頬張る。
表面は冷めていたが中はまだ冷めておらず、その熱さに驚いてみせて>