2018/08/17 のログ
鈴ヶ森 綾 > 「ふふっ、そうやってラウラが恥ずかしがってくれる内は続けたいわね。
 あぁ、でもそうならなくなったらなんだか寂しいし、できればずっとそのままでいて欲しいのだけど…。」

なんだか期待以上の反応をされてしまって、嬉しさのあまり思わず背中から抱きすくめてしまう。
ぎゅぅっと腕に力を込めて彼女の後頭部に顔をくっつけ、適当な所で解放する。

「そうそう、中はまだ熱いかもしれないから…。」

気をつけて、と言うのが2秒遅れた。
一口で彼女の口の中に消えたたこ焼きだったが、その熱さに慌てる様子にちょっと罪悪感を抱くのであった。

「だ、大丈夫?ここに出しても良いわよ。」

慌てて容器の蓋を彼女の前に差し出して様子をうかがう。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「私が綾さんのからかいに動じなくなるころには、
 逆に綾さんが手籠めにされてると思ってくださいよ?」

突然に抱き着かれると、妙な声が出そうになる。
しばらくそのままの格好でいて、解放されると恨めしそうに将来への野望を語り。

「……………大丈夫です。食べました」

両手で口許を覆うようにして少しうつむく。
しばらく咀嚼して、ようやっと飲み下すと顔を上げて大丈夫であることをアピールする、が、
やはり熱かったのだろう。その目じりには涙が浮かんでいた。

「ちょっと熱くて味がわからなかったので、もう一つ食べたいです!」>

鈴ヶ森 綾 > 「おほほほ、一体何年ぐらいかかるのかしら。」

顎に手をあてて悪役のお嬢様めいた笑い声を静かに響かせ、再度顔を近づけると耳元へふぅと息を吹きかける。

「む、無理しなくても良かったのよ?
 ……そう?じゃあもう一つ…ふー…ふー…はい。」

当たり前のようにまたしても自分の手で食べさせようとする。
今度は少し割り開いて中の熱気を冷ましてから、彼女の口元へとたこ焼きを運んだ。
それから自分も、一つを串に刺して口の中へと放り込む。
内部のとろりとした食感に紅生姜や青のり、そしてソースの風味がなんとも言えない。
決してご馳走というわけではないが、風情のある祭りの味に満足げな表情を浮かべる。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「何年でもかけてみせますよ。
 って、ななななな何するんですか?!」

分かりやすくあおる彼女の言葉にちょっと真剣な声色で反論する。
が、耳に吐息を吹きかけられると、いつもの調子で動揺する。

「ちょっと驚いただけです。こんなことでめげる私じゃありませんよ?
 あーんっ」

今度は中身まで冷ましてもらって再びたこ焼きを頬張る。
今度は熱さに驚いたりせず、ちゃんと味を楽しめそうだ。
二人でたこ焼きを楽しんでいるうちに、気付けば屋台の並ぶ道の端まで来てしまったようだ。

「花火が上がるの、あっちの方向ですよね。この先、ちょうどよさそうじゃないですか?」

手元の時計を見ると、もう間もなく花火が始まる時間だった。
屋台はないが、その先には小さな神社があった。
見たところ座れる場所もありそうで、そこで花火を見ようと提案してみる>

鈴ヶ森 綾 > 「…うーん、10年で足りるかしらねぇ。」

果たして彼女との付き合いがどれだけ続くかは分からないが、
この力関係が逆転する日はまだまだ遠そうだ。

「はふっ、はふっ…ん。うん、美味しかったわね。
 そうね、そろそろ場所を決めておきましょう。」

たこ焼きの最後の一個を食べ終え、十分に腹を満たしたところへ、
公園に設置されたスピーカーから間もなく花火が打ち上げられる旨が放送で伝えられる。
わらわらと移動を始める人波に先んじて移動を終えた二人。座って他愛ない話をしていると、
空に向かって小さな光源が打ち上がり、パッと大輪の華が咲く。直後、身体を震わせるような轟音が辺りに響いた。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「私も人より寿命が長い身です。どれだけかかっても成し遂げますよ」

いつの日か彼女の顔から余裕の表情がなくなるときが来るまで諦められないなと内心。

「こういう食べ物ってお祭りで食べるとまた違いますね。
 この辺でいいでしょうか」

花火開始のアナウンスが流れると、黒のスクリーンをなぞる光。
その光がすっと消えたかと思えば、次の瞬間には大きな花が咲いて轟音をとどろかせた。
お腹に響くその音は戦場で聞く迫撃砲や、戦車の主砲を思わせるが、
飛ぶのは炸裂弾でも、劣化ウラン弾でもない。
美しく輝く華は一瞬で黒に溶けてしまうが、そうはさせまいと次々に花火が打ち上げられる>

鈴ヶ森 綾 > 「そうね。花火が終わった後は、かき氷でも食べましょ。…あっ。」

僅かな音が耳に届いて、それを合図にするように天を見上げる。

「………。」

色、大きさ、風変わりな仕掛け花火、様々な変化をともなって打ち上がる花火の数々。
様々な言葉が花火の光と共に胸中に浮かんでは消えるが、口に出すとかえって無粋になってしまいそうで、ただため息混じりの息を吐いた。

ふと、気になって隣に座る彼女の横顔を盗み見る。
見るべき花火を見ずにそうするのは、なんとなく悪いことをしているようで心が躍る。
人間基準の悪いことなど幾らでもしている身だが、それらに伴うものとはまったく別種の情動が湧いてくる。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……すっごい綺麗ですね」

音だけ聞けば過去に身を浸した戦場のそれと同じなのに、こんなにも違うとは。
空に光を散らしてはすぐに消えていくことを繰り返す花火に釘付けになり、
心を奪われている。今の言葉だってほとんど無意識に出たものだ。
隣で彼女がこちらを盗み見ているとは気づきもしないで。

「花見の時にも言いましたけど、来年も一緒にみたいですね」>

鈴ヶ森 綾 > 「…そうね。」

短く言葉を返すが、今自分が見ているものは彼女が見ているものとは異なっている。
繋いだ手はそのままに、少し身体を寄せると不意打ち気味にその頬へと唇を触れさせようとする。

「えぇ、来年も一緒に。」

握った手に込めた力を少しばかり強め、視線を空へと戻す。
今の行為に彼女がうろたえたり抗議したりするかもしれないが、それは全て笑って返してしまおう。
そうして二人で、最後の花火が空に散るまで祭りを堪能した。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「っ……、もう。
 そういう悪戯好きにはこうですよ?」

空に咲く花火を眺めていると、不意に彼女の唇が頬に触れた。
意識を完全に花火に向けていたせいでびくっと驚いてしまうが、ここですねたりはしない。
お返しとばかりに彼女の頬にキスをすると、
こちらも身体を寄せてお互いに身体を預けるようにする。

それから特に何かを離すことはなかったが、言葉にせずとも十分。といったほうが正確だろう。
あっという間に花火が終わって、祭りが終わったことをアナウンスが告げた後も、
しばらくこうして寄り添ったまま時間が過ぎるのを満喫したのだった>

ご案内:「夏祭りの常世公園」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。
ご案内:「夏祭りの常世公園」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。