2016/05/18 のログ
ご案内:「プレイデモFree」に松渓つばめさんが現れました。
■松渓つばめ > 同じチャンスは二度と訪れないというのに、同じ面倒はいくども巡ってくるものかと、正直辟易していた。
『いい加減お前には俺に恥かかせたこと謝ってもらうからな……!』
目の前の同年代の少年。二人。見た目は悪く無いが性格は……それが娘からの印象だった。
「だっから、あたしが攻略した後いい加減なチェックで続いたヤツの責任でしょって言うのに。
先生はそのへんも考慮して進めるようにって――」
こんな主張をしても、あまり聞いてもらえないのは元から大体わかっちゃいた。
証拠は、つばめに因縁つけてきた少年の隣にいる、もう一人だ。
■松渓つばめ > 「マァ……最初っから話し合うつもりなんて無いんでしょ」
少年――刈谷鷹一は鼻を鳴らしてずかずかと踏み込み、娘の胸ぐらを掴む。
おおよそ女の子にする態度とは思えないが、それは鷹一がつばめの実力を知っているからこその行動だ。
『喜平の異能か?そりゃケンカする気で来てるからな』
鷹一の後ろに控えた、もう一人。喜平は数メートルの範囲において音を外部と遮断する異能の使い手である。当然……3人はそれぞれ見知っていて、つばめはこの二人と反りが合わない。
「――離してくんない?3人並んでサボってました~って怒られんのヤダし」
ちょっとした奉仕活動ということで、彼らは常世公園の美化作業に駆りだされている。
もちろんサボれば大目玉だろう。
『離すさ。さっさと終わらせてドゲらせてやる』
振りかぶった拳骨が、つばめの顔面を捉える。
■松渓つばめ > 「――」
迫る凶撃を前に、娘は笑みを強くしていた。
インパクト。少女の顔が後ろへ吹き飛ばされる。――異様に。
『んなろ……!』
少女の取った行動は、魔術の行使。慣性の操作だ。
己の丹田付近は大きな慣性を。それ意外は最小の慣性を。
今のつばめはちょうど一点で押さえた直定規のようなもの。弾けば反対側が跳ね上がる。
結果は、まっすぐなサマーソルトキック。躱す。わかっていなければ不可避の一撃であった。
数メートル距離を置いたつばめに、体勢を崩しながらも追撃を迫る。
『お前やっぱ俺おちょくってたろあん時……!』
「ん、来る?”コラプト”。木ィ枯らしたらダメだからね」『うっさい粉吹き女』
敵の異能の名――それは鷹一が自分でそう呼んでいいたからだが――を言う。手の内は――
■松渓つばめ > 『水弾……!』
鷹一が吼える。放つのは魔術だ。コゼット教諭の授業で良く使われる、四属性魔法。
水は拡散性に優れ、また、その性質が変化しやすいことからカスタマイズ性も高い。
瞬間的につばめには彼の意図がわかる。
「……っのアホ!?当たったらどうする気よ!」
『当たったら下着ドゲだろがっ、写メは任せな!』
鷹一の異能、コラプト。崩壊の力だ。何らかの影響を与えた対象を【崩す】。
生体には作用しないものの、つまりは魔術で生み出した水にこの力を埋め込み、セクハラ攻撃というわけだ。
舌打ちをした。つばめの応戦。即座に異能を放つ。
ふわりと両の腕に蝶のごとく粉塵が舞った。
「カウンター!」向かってくる水に、異能を叩きつける。
■松渓つばめ > 二人の異能を受けた、魔術の水がつばめの元へ到達する。
しかし
「はい無駄ッ!」
水は、【つばめの平手によって、まるごと叩き落とされた】。
異能【粉吹き女】の影響である。水がダイラタンシー化……つまり、片栗粉まぶし水の状態となり、強い衝撃を受けたことで一瞬硬化、はたきのけることができるようになったのだ。
もちろん、『それで終わりじゃないっつの』
両手に風・火の魔術を湛えながら仕掛けてくる。四属性魔術については鷹一に一日の長があった。つばめは水・火の属性と何故か相性悪く、四属性・五行いずれにおいても行使できない。
「お互い様」
■松渓つばめ > 「足元注意!」
つばめは、先ほど叩き落とした水術にさらなる術を加えていた。
それは地面に落ちると同時に花びらく。土剋水。
土が一瞬で水を喰らうのだ。水はけとかいう次元ではない。
踏み込まばそこはまさに田植え直後の土壌。足を取られて転倒するだろう。あと鷹一の靴がボロくなるだろう。
『バレバレだっつの!』鷹一は、しかし跳び越えない。
以前ここで飛び越えようとして次の術にハマったのだ。土生金。
術を受けた存在を次の術の触媒とする……五行術を好むつばめの常套手段だ。
土中に埋まったクギなどに作用し、瞬間金気を数メートルの高さに立ち上らせた。
回避するすべなく、顔面からそこへ直撃、落下して、沼地にダイブさせられてしまった。
だから回りこむ。そして宣告する。
■松渓つばめ > 『金生水、火剋金、次の術は無い……お前の負けだ!詫びれば止めてやるッ』
そう、土中の金気から次の術につなげるには、火及び水だ。
つばめにはその二種を扱う力は無い。ライターとボトルウォーターを【武器】として持ち歩いているのもそのためだ。
が、
「いや今回はジャンプで正解」
木剋土。鷹一は木の根っこを蹴っ飛ばしていた。痛みに顔を歪ませる程の勢い。
当然のように――転――いや、つばめは近い。このまま防御も受け身もせず魔術を叩きこめば……
「疾――ッ!」裂帛。鷹一はようやく理解した。この距離、つばめ自身からも詰めていたのだ。
身体が前に傾きかけたところへ潜り込み……魔術【第一Newton】を発現。少年の身体は慣性を【殺され】、そして、投げた後すぐには止まらないよう慣性を【戻しながら】、数メートルの高さまで投げ飛ばされた。
もちろん、それで大ケガをするようなタマならこんなことはしない、が、
この高さは目につく、そして、『っだぁーー!?』喜平の異能の範囲外だ。
もうめっちゃバレた。
■松渓つばめ > 変に捨て身の攻撃をされるよりも二人とも安全だろう、そんな咄嗟の判断ではあったが……
ズボンの中で尻を真っ赤にさせた少年。無口なツレ。結局は三人並んでお説教という結末は変えられなかったのであった――ノルマ追加である。
ご案内:「プレイデモFree」から松渓つばめさんが去りました。