2016/06/11 のログ
ご案内:「メールでのやり取り 烏丸の場合」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > 烏丸のマンション。
ゆっくりのんびりとお茶を楽しんでいると、携帯が鳴った。
メール……さて、誰だろう。
「――あ、はるかちゃん」
思わず呟いた後には、意外な名前。
彼女から連絡を取ってくるのは……初めてか。
『やぁはるかちゃん。そんな堅苦しくなくていいよ、ボクに出来る事だったらなんでもどうぞ。はるかちゃんからメールしてくれるなんて嬉しいなぁ★』
相変わらず軽い男であった。
■烏丸秀 > 一人寝が寂しくてお茶を啜っていたところに、愛しの人からのメール。
うん、今日はいい日だ。
烏丸は嬉しそうにスマホを操作してメールを打ち込む。
『ボクの事、いいよ、何でも聞いて。その代わりに、今度はるかちゃんの事を聞かせてくれると嬉しいなぁ』
ちゃっかり対価は要求するのである。
■烏丸秀 > すっと彼の目が細くなる。
なるほど、正面突破で来たか。
ならば――
(答えてあげないと、ね)
『はるかちゃんは、お気に入りのぬいぐるみとかなかった?
昔、凄くかわいがって、家の中で何処にでも持っていき、一緒に寝たぬいぐるみ。たぶん、はるかちゃんなら馬のかな?』
メールを打つ。かちかちと。手馴れたものだ。
『それで、その大好きなぬいぐるみを汚して、壊しちゃった事、ないかな』
■烏丸秀 > うんうんと頷く。
彼女は決して愚かでも無能でもない。
むしろ聡い。おそらく、姉以上に。
彼女はただ、想像力を形にするのに時間がかかるだけなのだ。
おそらく、人一倍の――
『うん、ボクは子供の時じゃなくて、今でもそうなんだよ。
恋して、愛して、愛でていると――力の加減が分からなくて、[器]を壊しちゃうんだ』
彼女に嘘はつかない。決して。
■烏丸秀 > 烏丸はくすりと笑う。
本当に彼女は、よく分かっている。
『ボクはよく、子供みたいって言われるよ。
キミのお姉さんならよく知ってると思ったけど』
烏丸は己を嘆いた事は無い。
この身の欲望を制止しようとした事も無い。
だって。
壊れ逝くモノは、何よりも美しいじゃないか。
ならば、愛でるモノを壊そうとする己の習性は、きっと間違ってはいない。
■烏丸秀 > 苦笑する。
本当によく見ている。少し、怖いくらいだ。
でも。
『そうだねぇ、よく嫌われるよ、悲しいね。
でもね、ボクが好きになる人ってね、何処か[壊れてる]人なんだよ』
彼女は分かっているのだろうか。
そんな彼が好きになった「伊都波悠薇」という人間が。
もう、壊れてる、という事に。
『だからね、ボクはあんまり自分で手を出さないんだ。
そういう人たちは、自然に、自分で、器を壊してしまうから。
――凛霞は、自分で立ち直っちゃったけどね』
■烏丸秀 > ――なんか、物凄いメールが来た。
誤字だらけだが、大丈夫だろうか。
本当に彼女は、自分と姉以外の事はあんな聡明なのに。
自分と姉の事となると、あっという間にぽんこつになってしまう。
それぐらいが可愛いのだが。
『落ち着いて、はるかちゃん。壊れてる壊れてる』
軽くジョークを言いながら、ふと考える。
――はるかちゃんの、壊れた原因。
そしてすぐにそれを思考の外へ置く。
あのマネキンの策に、わざわざ乗る事も無い。
『これからも何か相談があったらいつでもどうぞ。一人寝が寂しい時は、ボクの家に遊びに来てもいいからね☆』
■烏丸秀 > 『そっか。凛霞の代えの下着とか残ってたから取りに来てもらおうと思ったんだけど……送ったらまずいよね?』
くっくっと笑いながらメールを打つ。
反応を楽しんでいる、悪い男である。
でも、『まだ好きかも分からない』でちょっと凹む。
まだその段階かぁ……先は長い。
『いつでもどうぞ。ボクも今度メールするね。良いウマグッズとかあった時に』
ついでに、今飲んでるお茶の(ウ)マグカップをぱしゃり。
『愛用してる』と添えて送る。
■烏丸秀 > 予想通りの反応、嬉しい。
しかし……
『分かったよ、おやすみ、はるかちゃん』
それだけ打ち、メールを締める。
「お姉ちゃんを助けてあげて、かぁ……」
頼まれた。
頼まれてしまった。
誰かからとは思っていたが、よりにもよって、はるかちゃんから。
「……仕方ないなぁ」
頼まれたからには仕方が無い。
烏丸はモバイルを立ち上げると、データの収集をはじめた。
ご案内:「メールでのやり取り 烏丸の場合」から烏丸秀さんが去りました。