2016/07/06 のログ
ご案内:「プールfree」に松渓つばめさんが現れました。
松渓つばめ > 取っていない講義の時間は退屈なのが学生の常識であるが、
娘の場合このために取らない講義を設定しているフシがある。

地味な水着をまとい、少し大げさな準備運動。
跳ねるたびにおさげがポンポン動き、シャワーで濡れた背中に張り付いた。
初夏も過ぎる頃だが、さすがの暑さ。梅雨明けもそろそろだろうか。

松渓つばめ > なお、その少し大げさな動きには、もともと持っていない狐の耳や尻尾も追従する。
背中側の水抜きからわさりと、「――ちょっと暑苦しい」。

ぺたっと座って腱を伸ばしていく。
完全に二つ折りになってみたり、前後まったく水平に脚を持っていったり。
日課の延長には過ぎないのだが……

松渓つばめ > 「――よぃ、~~~~~っと!」
開脚でぺたっと前に倒れた状態から地に手をつき。
そのまま身体を持ち上げて逆立ち――スムースな流れで前に半回転。
うんうん、と何かを納得してみせて、手を洗った直後のように振り振りプールわきへ。
「うん、あんまり遠泳遠泳も芸がないし、今日は水遊び感覚かな」
ひとりごちてから、一歩、二歩、三歩目で「ホッ!」と飛び込んだ。

松渓つばめ > 中々あがってこない。
シーンを水中に移すと、娘は潜水中だ。ただし、バタ足ではなく尻尾スクリューで。
腕を横に流したまま尻尾の動きだけで推力を得、前へ進もうと言うのだ。
それは魔王から受けた呪いを逆に自らの力としてしまおうと言う発想。
使えるものはなんでも使うのだ。

そして2分ほど後。水面に上半身を出した娘は叫んだ。
「なによー!普通に泳いだ方が早いじゃないっ!」
50メートル長の贅沢なプール、その中央にも届いていなかった。
なお本来の彼女であれば、この時間があれば潜水で同じ位置に達するだろう。
一方の端まで泳ぎ切った上で。

松渓つばめ > 少しめまいを感じて、隅っこへ歩いたり潜ったりしながら移動した。
机で居眠りをするときのように腕をプールサイドへ置いて顔を乗せ、ふううと息を吐く。
尻尾泳法は早さもそうだがエネルギーの消費も大きいらしい。
「これ水の中じゃちょっとキツイわ」
と思い直して。一度プールからあがり、ごろりと寝転がった。
日差しが少し痛い。

松渓つばめ > ひっくりかえると眩しいのですぐに起き上がった。
どうやら回復してきたようだ。
やはり自分でバシャバシャやるのが一番かな、と考える。

「ほい」とごろり転がりまた水に落ちた。
数分ながら熱を含んだ身体にとても冷たい。

ドルフィンキックを繰り返す。その後しばらく、講義中の学生たちの耳にも
涼しげなどばんどぶんという音は仄かに届くだろう。

ご案内:「プールfree」から松渓つばめさんが去りました。