2016/09/28 のログ
ご案内:「小さな家/宗教施設郡」に迦具楽さんが現れました。
■迦具楽 >
夜、夕食時にはちょっと遅い時間。
いつもの夕食を終えてから、迦具楽は再びエプロンを着て台所に立っていた。
ダイニングキッチンには甘い匂いが充満しており、換気扇の音と楽しそうな鼻歌が響いている。
「……よし、とりあえずこんなものかしら」
しばらくして、チョコやバターなど何種類かの大量のクッキーが焼き上がり、ダイニングのテーブルに山のように並べられる。
冷蔵庫にはバケツサイズのプリンが入っており、甘いものばかりだと飽きるかもしれないと、パスタも茹でてあり、カルボナーラソースも作ってある。
総じて凄まじい量になっているが、これが迦具楽基準の『おやつ』の量である。
材料費の総額に関しては……おやつ代で足りない分は自分で材料を作ったのであまり気にしない方向で。
実際のコスパよりも美味しいものを食べる事の方が重要である。
「迎撃準備ばっちり!
これで何時来られても大丈夫ね」
ぶっちゃけ準備しすぎて客がドン引きしかねない光景だが、迦具楽はご満悦である。
飲み物の類も、何が来ても大丈夫なように茶葉や豆がそろっている。
椅子に座って足を揺らし、今か今かと客人を待っていた。
ご案内:「小さな家/宗教施設郡」に櫛鉈 蛟さんが現れました。
■櫛鉈 蛟 > 「さぁて、それなりに持ってきたけど……全部ケーキなんだよなぁ」
背中に大きなリュック、両手にスーパーの大きな袋を携えた、チンピラ風味の格好のグラサン男が一人。
件の新たに出来た友人の家の前に立つ。カロリー高め、甘い物、つまりケーキ!
と、いう単純発想でケーキをホール単位で何種類か持ってきたが…。
(カグラ的にはこれでも全然足りないんだろうなぁ、多分)
と、思いつつも差し入れはすると宣言した以上、こうして律儀に持ってきた訳だ。
ちなみに、自腹だが代金は落第街で絡んできたのを返り討ちにした連中の財布から抜き取った金で賄った。
まぁ、落第街は割とそんなもんだからしょうがないし、男も罪悪感など無い。
「おーーーい、カグラー来たぞーーちょっと両手塞がってるから開けてくれーー」
と、ドアをノック…出来ないので、ちょっと行儀が悪いが足を持ち上げてブーツで軽くコンコンと器用にノック。
彼女が出てくるのを後は待つだけである。もしかしたらインターホンとかあるかもしれないが。
(…と、いうか何かもう準備万端な気がするなこれ)
五感は鋭い方なので、換気扇から出てくる匂いを感じ取り心の中で呟く。
■迦具楽 >
ダイニングの椅子で待機していた迦具楽の耳に届く、最近知り合った友人の声。
ガタッと音を鳴らして立ち上がると、廊下を軽やかな音を立てて玄関に向かう。
残念ながら訪問者を想定していないつくりだったので、インターホンはまだ未実装です。
「――いらっしゃい、待ってたわよ」
扉が開かれると、淡い空色のエプロン姿の迦具楽が出迎えた。
楽しみのあまりエプロンを脱ぐのを忘れていたらしい。
玄関の奥から漂ってくるのは甘いお菓子の匂い。
迦具楽の表情や様子から、かなり楽しみにしていただろう事が見て取れるだろう。
「ほら、早く入って!」
そして、待ち切れないとばかりに中へ招くと、自分はさっさと奥へ向かってしまう。
前回訪問時に案内されたのと同様、廊下奥のダイニングへと招かれるだろう。
廊下には左に左に二つ、右に二つ扉があり、突き当たりがダイニングキッチンの入り口となっている。
そして玄関に入れば、勝手に扉は閉じて施錠されるだろう。
ちょっとしたホラーハウスのような演出である。
「ケーキは適当に置いといて。
なにか飲みたいものあるかしら?」
一足先に戻った迦具楽が、キッチンの中から声をかけた。
ダイニングには山と並べられたお菓子があり、テーブルにはかろうじて隙間がある、というような有様である。
椅子は四つあり、ダイニング側からキッチンの様子が見えるようになっている。
■櫛鉈 蛟 > 足ノックをして少しの間待機していれば、軽やかな足音が聞こえ…止まった。そしてガチャリ、と開く扉。
…考えてみれば、両手が塞がってるので、インターホンあっても押せなかった。
まぁ、その場合頭突きとかして押すシュールな光景が展開されていたかもしれないが。
「おぅ、約束どおり来たぜカグラ。…って、エプロン付けっぱなしだぞお前さん」
淡い水色のエプロンを一度眺め、小さく笑いながら指摘してみつつも中に入ろう。
扉が開かれた時から分かっていた、甘い菓子の匂いが奥から漂ってくるようで。
「じゃあ、お邪魔しますよ、と」
既に一度お邪魔してるので家の中の構図は頭に入っている。そして扉は自動施錠らしい。
ともあれ、靴を脱いでから先に奥へと向ってしまった家主の後を追う蛇。
廊下の奥にあるダイニングルームへと向いつつ…
「んー酒以外なら何でも…あー何か冷たいモンがいいかも。アイスコーヒーとかある?」
と、友人に質問しつつ、リュックと両手に持っていたスーパーの袋をドサッと下ろす。
中はパックに収められた市販品のケーキ…チョコ、レアチーズ、ショートケーキ、モンブラン、ザッハトルテやフルーツケーキもある。
ただし、どれも切り分けていないそのままのホール状態だが。
あと、テーブルが菓子に占領されている…凄い光景だ。取りあえず、椅子の一つに腰を下ろそう。
■迦具楽 >
「あっ、忘れてた」
エプロンの事を指摘されれば、そんなふうに反応を返しただろう。
やんわりはにかむように笑うくらいはしたかもしれない。
「――っと、じゃあコーヒーね。
ちょっと待ってて」
そう言って手際よく、楽しげな様子で長い髪を揺らしながらコーヒーを淹れ始める。
しばらくすると、淹れたてのコーヒーが運ばれてくるだろう。
熱エネルギーを吸収することで、淹れたてでも程よく冷たいアイスコーヒーになるのは便利である。
ちなみに中身は市販の高くもなく安くもない、それなりのもの。
高級な豆を常備できるほどのお金はないのである。世知辛い。
「はい、お待たせ。
……お客さんなんてめったにこないし、ちょっと張り切っちゃった」
菓子に占領されたテーブルを眺めていた事に気づけば、少し照れくさそうにして舌を出す。
迦具楽としてはこれくらいは普通に食べられてしまうのだが、一般的には異常な量だという認識はあるのだ。
「たぶん、大体は私が食べちゃうと思うし、クシナダは適当に食べたいのだけ摘んでくれればいいから。
あ、それと冷蔵庫にプリンも作ってあるの。
場所が空いたら持ってくるわね」
そう言いつつ、自分もクシナダの対面に座る。
そわそわと少々落ち着きがない様子なのは、見た目年齢どおりのしぐさに見えるかもしれない。
■櫛鉈 蛟 > (ふぅむ、こういう仕草を見ると見た目相応の娘って感じなんだけどな…)
と、思うが路地裏での出会いと”ゲーム”の事を思い返す限り、どちらも彼女の一面なのだろう。
種族性別問わず、意志のある者には様々な面がある。それは自分も彼女も変わらない筈だ。
…なんて事を真面目に考えても肩が凝るし、ガラでもないので気を取り直す。
「あいよ、よろしくー」
コーヒーを友人にリクエストすれば、目の前のテーブルに所狭しと並べられた菓子等を眺める。
この量、かなりのモノだが彼女にとってはおやつ程度なのだろうな、とかボンヤリ思っていたらコーヒーが運ばれてきた。
あと、無理に高級な品を出されても逆に悪い気がするので、男としては安物でも何でも構わない方針である。
「おぅ、あんがとさん…って、少しどころじゃなくね?俺もまぁ、そこそこ食う方だからいいんだけどよ?」
笑ってそう述べる。カグラに比べたら今は人間に近い身の上な事もあり、食べる量は差が出てしまうけれど。
自分の訪問を歓迎して用意してくれた物でもあるし、無碍にするつもりはない。
変な所でこの蛇は律儀である。まぁ、人間の姿で長年過ごしていれば人に近くもなろう。
「じゃー俺は適当に食わせて貰うって事で。プリン…なんか絶対デカいサイズな気がする」
と、この時点で既に予測できる程度には、彼女の胃袋は底なしなのだと理解する。
対面に座るカグラを眺めつつ、フと思い立ち。
「カグラ、乾杯しようぜ乾杯!この出会いに感謝!みたいなノリで!」
と、笑ってそんな提案をしてみる。彼女がノッてくれたのならば、あちらにも飲み物を用意して貰って、
「カンパーーイ!!」と、いう事をするかもしれない。
■迦具楽 >
そう、この子供らしい部分もまた迦具楽の一面である。
そもそも神なんてものはいくつもの顔を持っているし、一霊四魂という思想もある。
それを考えれば、これもまた自然な事といえるだろうか。
「ふうん、あなたも結構食べるんだ?
だったらもうちょっと多めに作ればよかったかしら」
などと、冗談めかして返すだろう。
軟派に見えて案外律儀なところがあるのは、迦具楽もわかっているようで。
だからこそ、少々張り切ってしまったというのもあるのだろう。
「ふふん、それは見てからのお楽しみ……と」
プリンに関しては想像の通りなのだが、あえてもったいぶってみせて。
乾杯の誘いには乗り気で、自分用に用意したコーヒーを手にとって軽く掲げてみせる。
「それじゃ、この愉快で奇怪な縁に――かんぱいっ!」
グラス同士を打ちつけるようなことはせず、ひょいと掲げるだけの乾杯である。
軽く一口、慣れ親しんだコーヒーの味で舌を慣らせば、待ち切れない様子で山のようなクッキーの皿を少しだけ押し出す。
「ほらほら、早速食べてみて?
結構いろいろと焼いてみたんだけど、今日は上手く出来たと思うのよね」
と、薦めるのは種々様々なクッキーの皿。
そのクッキーを薦める様子は、食べた感想が欲しいのだと人目でわかるだろう。
■櫛鉈 蛟 > そこはこの男も同じで、神という訳ではないが神聖視されたり別の側面と見做される事もあった。
故に、そこに多様性が生まれて幾つもの側面が生まれた。
つまり、細かい事を端折って言うのならば、お互い様々な面を秘めているという事だ。
「おぅよ。とはいえ、この量を見る限りじゃカグラに比べたら流石に少食レベルになりそうだけどな」
と、テーブルの上の凄い状況を眺めてから肩を竦めてみせる。
いやいや、これ以上増やされても俺が困るから!いや、でも増えた分だけどちらにしろ彼女が平らげてしまいそうだ。
しかし、これだけ張り切って貰えたのは…まぁ、素直に感謝というキモチはある。
「おいおい、とんでもないサイズのプリンとかじゃねぇよな?」
と、笑って軽口を叩きつつも、本当にデカいプリンが出てくる光景しか見えない不思議。
ともあれ、お互い飲み物を掲げて、グラスを打ち鳴らさずに掲げての乾杯。
「おぅ、この奇縁に感謝っつー事で…カンパイ!」
と、笑って答えてからグラスを掲げて。そのまま、アイスコーヒーを飲んで口を湿らせ。
「お?自信作っぽいな?どれどれ…」
と、早速友人から薦めれたのは様々なクッキーが鎮座するお皿。
ともあれ、味の感想を求められてる空気を感じたので、取りあえず一つ、手にとって口に運ぶ。
暫く、モグモグと無言で食べていたが…急にくわっ!と、目を見開く!サングラスで瞳は隠れてるけど。
「…うむ、美味いなこれ!食感も味もいい感じだ。相当に作り慣れてねぇとこの味は出せねぇと思うぜ?」
と、素直な感想を述べる。元よりお世辞とかそういうのは苦手でストレートに述べる性格だ。
なので、ありのままの感想を友人へと伝えていこうか。その間もクッキーをボリボリと合間に食べてるが。
■迦具楽 >
「ふふん、そうでしょそうでしょ。
料理もだけど、お菓子もよく作るの。
ほら、折角なら美味しいものが食べたいじゃない?」
褒められれば見るからに自慢げな表情を浮かべて、すぐににやついた表情に緩む。
自分もまたクッキーを一枚手にとって、口の中に放り込む。
満足そうに頷くあたり、やはり自分でも納得の出来のようだ。
「最初はね、エネルギーの摂取なんて人を適当に捕まえて食べてれば良かったんだけど。
人の食文化に触れちゃったのが、失敗よね。
人間以外にもこんなに美味しい物があるんだーってわかっちゃったら、色々食べてみたくなっちゃうじゃない」
まだ迦具楽という自我、『エフェクト』が生まれる前は、ただ美味そうな魂を食べるために人間を待ち構えて襲うだけだった。
けれど、偶然人間の食べ物を食べる機会を得て、それを『記録』だけでなく経験として記憶してしまえば、生存本能と食欲で成り立っていた迦具楽はソレを求めなくては居られなくなってしまったのだ。
「それで、最初は食べ歩いたりしてたんだけど、お金もないし。
だんだん狩りして生活するようになって、どうせなら美味しく調理して食べようって始めて……。
気づいたら大抵のものは作れるようになっちゃってたの」
そう話して浮かべるのは、可笑しそうに破顔した無邪気な笑顔。
いくら多くの人間の魂を取り込み、料理の知識も蓄えてあったとしても。
それを経験し自分の技術にした上で磨いていくのは、食欲に忠実で貪欲だった結果だろう。
「まあおかげで、今はあまりわざわざ人間を食べようって思うこともなくなったわね。
正直人間を食べてるほうが、ずっとエネルギー効率はいいんだけど……色々と面倒くさいでしょ?」
この世界はあくまで人間中心の社会である。
そこでいくら生きるために必要だからと人間を食べれば、罪に問われ厄介な事になるのだ。
話しながらもかなりのハイペースでクッキーを食べ、すでに皿の三割強を平らげている食欲を見れば、これを満たすだけ人を食わせたら大変な事になるとすぐに想像できるだろう。