2016/10/29 のログ
ご案内:「異邦人街のとあるアパレルショップ」にセシルさんが現れました。
ご案内:「異邦人街のとあるアパレルショップ」に龍宮 鋼さんが現れました。
セシル > とある土曜日。
セシルは、待ち合わせの後異邦人街のアパレルショップに入った。

(…まさか、本当に実現するとは)

以前「女装」した際に、あまりにたどたどしい様子のセシルを見かけた不良少女が、「服を見繕ってやる」と言い出したのだ。
素行という意味では褒められない点も多い彼女ではあるが、少なくともセシルの前で分かりやすい校則違反を働いたわけでもないし…というわけで、連絡用の端末を入手して、約束にまでこぎ着けたのである。
非番の日でもあるし、相手の居心地が悪くては良くないと考えて、風紀委員の制服ではなく、以前の学校の制服を着用してきたセシルだが…正直、「目印」にはならないだけで、厳めしさは大差ない。

「ここなら、私の体型に合うものが幅広く見つけやすいんだ。
…先日の、彼女達が探してくれた店だ」

そう言って、セシルは相手を…鋼を、店の中に案内する。
どちらかといえばシンプル、ベーシック、トラッド風の、品の良い…少し悪く言うと保守的で、面白味には欠ける品揃えだ。

基本的には体型の違う亜人種を想定した店らしく、店内には耳の尖った者や、肌の青い者などの亜人種の者の姿が結構多い。

龍宮 鋼 > (片方は軍服のような格好、もう片方はミリタリー系ファッション。
 こちらはややカジュアルなものとは言え、共にミリタリー色の強い格好である。
 意図したものではないだろうが、妙なセット感というかコンビ感が出来ているような気もする。)

ほーん。
まぁ、悪かねーんでねーの。

(確かに面白みは無いが、シンプルでかっちり目のデザインは彼女の印象にあっている気がする。
 あの二人、ギャルっぽいだけあって服装のセンスは良い様だ。)

んで?
オマエはどう言うのが好きで、どういうのが欲しいんだ?

(並んでいる服を右手で触って確かめながら、彼女の希望を問う。
 本人の好みじゃないものを買ったってタンスの肥やしになるだけだし、だったら金の無駄だろう。
 面白みのないデザインとは言え、作りや品質はそれなりらしい。
 とは言えそこまで目が肥えているわけではないので、気がするレベルだが。)

セシル > シンプル系、トラッド系のアパレルショップの中で、ミリタリー色の強い2人の姿は浮く。
特に鋼は、店が対象とする体型をしていないから尚更だろう。
鋼が、今のところそこまで気にしていないように見えるのが幸いだった。

「私が、「先日の件」で露出を抑えたものを希望したからな…彼女達は私の希望をよく汲んで選んでくれたよ」

「悪くない」という評価に対して、そのように語って苦笑い。
…そして、希望を聞かれれば、腕を組んで(こういう仕草がいちいち女性性から遠いのがセシルである)少し考えてから…

「…まずは、あちらを見てみようか」

そう言ってセシルが指差したのは、男物のトラッド系が集まるエリア。
ブリティッシュ・トラッドが一番印象に近いだろうか。

龍宮 鋼 >  
(そもそも服装に頓着しない。
 よって浮こうがなんだろうが、用事があればどこへでも行くのが龍宮鋼だ。
 人からの視線を気にしていては不良学生などやっていない。)

まぁそら露出は低いけどな……。

(やや呆れたような表情。
 自身だって露出が高いわけではないが、それにしたって硬すぎるように思う。
 しかし人の趣味だ、口は出さない。)

――オマエな、確かに無理に女らしいカッコするこたねーっつったけどよ。
男物ァ極端だってもいったろうがよ。
せめて女物から選べよ。

(呆れ顔を強くする。
 女物でもそれっぽく無いものはたくさんある。
 それを全部スルーしてしょっぱなから男物のコーナーに向かおうとはどういう了見だ、と言う様にぺしんと彼女の後頭部をはたこうと手を伸ばす。)

セシル > 「…私が元いた世界では、女性が膝や素足を出すなど考えられなかった。
男だって、漁師の類くらいだったと思う。

………だから、どちらかと言えば文明の違いからくる価値観の違いだと思って欲しい」

呆れたような表情を浮かべる鋼に対して、そう説明して苦笑する。

「ぁっ」

油断していたらしい。ぺしん、と軽い音がした。
叩かれた後頭部を利き手で軽くさすりながら

「いや、すまん…こちらに来てから、アウターは男物の肩や胴回りを直して着ることが多かったので、つい視線がそちらに行ってしまうんだ。

…女物なら………あれら、か?」

と、空いた方の手で指差すのは、スキニージーンズとか、シンプルなシャツやニットだ。

龍宮 鋼 >  
まぁわからんでもないけどよ。

(こちらの世界だって、女性が肌を出す事は考えられないと言う国や宗教はある。
 だからこそ呆れたような表情はするものの、それに対してツッコミや文句の類は言わなかったのだ。)

ったく。
何のために着いて来たかわかんねーだろ。

(とはいえ自身もそこまでファッションに明るいわけでもない。
 そちらのほうに移動し、しばらくその辺にあるものを眺めて、)

――あれだな、オマエなら女モンで男っぽくしても面白いんじゃねーの。

(あくまで女物を使いつつ、スタイルは男性っぽく。
 露出を抑えてややかっちり目にしつつも、女性らしさは残す感じで。
 少なくとも男物で固めるよりはいいような気がする。)

セシル > 「こちらの女性は身軽そうな格好をしている人々が多いが…
自分がするとなると、やはり恥ずかしいからな」

そう言って少しだけ笑みを零しながら、先ほど自分で指を指した辺りへ。

「…いや、実際あの系統の服装が懐かしくてな…士官学校に入る前の平服があれに近かったものだから」

移動しながら、ボツを食らった男物のトラッド系については、最初に指してしまった弁解をしつつ。

「…そうだな、あのようなパンツがあれば難しくもないだろう。
寒色系やモノトーンで固めれば、かなりそれらしくは出来ると思う」

「女物で男っぽく」の提案には、賛意を示す前向きな頷きを返した。

龍宮 鋼 >  
俺だってこないだオマエがしてたような服は着たくねーな。

(口には出さないが、恥ずかしいのは自身も同じである。
 これからの季節は特に寒いし、何より似合わないと思っている。)

そういやお貴族様だったな。

(そんな事を以前に言っていた気がする。
 適当に服を見繕いつつ、言葉を返して。)

だったらジーンズじゃねー方がいいな。
スラックスだと固すぎだろ。
チノパンがいいんじゃねーか、動きやすいし。

(言いながら自分はトップスの方へ。
 最近寒くなったので、流石にTシャツでは寒い。
 勿論サイズは合わないが、サイズの合うものがある店で似たようなものを探せばいいのだ。)

セシル > 「ははは…まあ、折角選択肢があるのだから、それこそ「好きな」格好で良いな」

「自分だってあんな格好はしたくない」と鋼が零せば、軽く朗らかに笑って返した。
…が、「身分」の話を出されれば、少しだけ表情を曇らせ。

「………まあ、大した家格ではなかったが、一応な。
性別を偽って暮らしていたわけではないから、本当に「男」として扱われていたわけではなかったんだが」

と、過去の境遇を少しだけ零す。

「…チノパン…?ああ、これか」

スキニーのパンツほど細身でない、比較的生地のしっかりしたパンツを見つけ、軽く触れる。

「…なるほど、こちらは女性の私服でもこういったものがあるのか」

この店だと、セシルの背丈でも「女性サイズ、やや大きめ」くらいになる。
つまり、カラーバリエーションやら何やら、セシルにとってはかなり選び放題だ。

「…とりあえず、黒をおさえておいて…」

黒の女性用チノパンを手に取ると、セシルも鋼に続くようにトップスの方へ。

店頭にはシンプルなニットやシャツに混ざって、フェミニンなカットソーなども見受けられる。

龍宮 鋼 >  
あんなカッコしたって見せる相手もいねーしな。

(まずそこだ。
 自分を可愛く着飾ったところで、それを見せたい相手がいるわけでもない。
 世の女性は見せるために可愛く着飾るのではなく、ある種の武装のためと言うが、そう言うことならケンカに適した格好の方がよっぽど武装だ。
 人の事が言えないぐらい男性染みた思考である。)

俺ら平民から言わしてもらやァ、お貴族様の家格なんざなんでも同じだ。
それこそ世界が違うっつー話だからな。

(貧困家庭で育ったわけではないが、そう言うことなのだろうと思う。
 家の格が大したことがなくても、平民から見れば同じだろう。)

こっちゃァオマエの育った世界と違うからな。
とりあえず女モン使うとこから慣らしてきゃいいんじゃねーの。

(カットソーはスルー。
 デザインは結構好みな物が多いだけに、サイズが合わないのが残念、と言ったような顔。)

――俺らの体型に合わせたブランド展開してくんねぇかな。

(思わずぼやく。)

セシル > 「見せる相手、か…やはり、貴殿もそういったことを考えることがあるのか?」

シンプルなニットを手に取りながら、何でも無いような顔で危険球。
実際のところ、そういうことを「望めない」と思いながら育ってきたという点ではセシルも良い勝負なのだ。
…セシルの問題は、「望めなくても望むのか」という問いすら、徹底して遠ざけてきたところにあった。

「そういうものか…それなりにグラデーションだと思うがな。
私の故郷では、下級貴族と上流中間階級の間には、文化的にもさほど差はなかったし」

キープしてある黒のチノパンに、白のシャツやグレーのセーターを重ねてみたりしながら。

「…そうだな…主流の店だと男物を探した方がサイズを合わせるのが早いが、ここのような店であれば難しくはないし」

「馴らしてみるか」などと言っていたところ、鋼のぼやきを聞いてか、くるりとそちらの方に首をひねって。

「…結構、似たようなものを着た、こちらで標準的な背丈の女性も見るから、どこかにはあるんじゃないか?」

と。

龍宮 鋼 >  
考えるだけならあるだろ。

(シンプルに答える。
 それを考えてどうするのかとか、そう言う相手を探すつもりがあるかどうかとか。
 そう言うことは、答えない。)

育ちの良さ、つーのか。
そう言うやつァ結構出るからな。

(自身と彼女の違いのような、そう言うヤツだ。
 そもそもこの二人で仲良くお買い物自体、普通では考えられない組み合わせだと思う。
 立場も育ちも何もかもが違う。)

サイズ同じでも作りがちげーからな。
――マジか、ちょっと聞いてくる。

(どこかで見たと言われ、店員の方へダッシュ。
 聞けば学生街の方に一軒あるとか何とか。
 マジか、と言う顔で戻ってくる。)

セシル > 「そうか………
私は、ほとんどない」

鋼の「答えなかったこと」を追求するようなことはせず…代わりに、自分の胸の内を淡々と零す。
鋼が先日の遭遇で「天然か」と思ったことについての理由の1つが、明らかになったと言えなくもない。

「…ふむ…前の学校でもあまり意識した事は無いが、そういうものか」

そう言いながらも、首をひねるセシル。
士官学校は学費がかからないので、立身出世や独立を目論む優秀な庶民出身者が入ってくることがしばしばある。
セシルもそういった同窓と共に学んだり、あるいは寮で共に生活したりしていたが…さほど、意識した事は無かったのだ。
…もしかすると彼ら彼女らは溶け込むための努力を強いられていたのかもしれないが、セシルにはそこまでの思考の掘り下げは、今は出来なかった。

…と、「どこかにあるんじゃないか」という自分の発言に食いつく鋼が、店員に質問をして驚愕の表情で戻ってくる。
表情から、答えは予想出来た。

「…やっぱり、あっただろう?」

そう言って、に、と少し悪戯っぽい笑みを鋼に向けた。

龍宮 鋼 >  
――あぁ、なるほどな。

(察する。
 妙に彼女にその方面の知識が無いと思っていたのだが、そう言うことだったか。
 印象は違うが、なるほど箱入りのお嬢様タイプだったか。
 にやにやしながら納得。)

俺の持論だと一番わかりやすいのはメシんときだな。
選ぶモンとか、食い方とかに出てくるんだ。

(育ちの良さ、と言うのだろうか。
 落第街でも家はそれなりに良いところの出というヤツもいる。
 そう言うヤツは、不良らしい立ち振る舞いの中にもなんというか気品さがあったりするのだ。
 それを隠しているやつでも、メシの時なんかはボロが出やすい。
 出たからと言ってたかろうと言うヤツも少ないのだけれど。
 不良にだってデリカシーはあるし、仲間意識は強い。)

あったわ。
舐めてたわ異邦人街。

セシル > 「………?どうした?」

鋼ににやにやされれば、不思議そうに眉をしかめながら首を傾げる。
その表情は女性的とは言えないが、振る舞いの方は、鋼が持つ「天然」「箱入り」の印象を強化してしまうかもしれない。

「ものを食べるとき、か…私の科は男ばっかりだったから、気にしたことがなかったな。
…見ていれば、分かるものかもしれなかったのか…」

「育ちの良し悪し」についての鋼の持論を聞き、顎に手を当てながら神妙な表情。
…まあ、いずれ同じ国を守るはずだった同窓との「差異」を、ことさら強く感じ取る必要もないだろう。相手自身が、それを望まなければ。

「「私達」が「こちら」に順応するように、「私達」の文化やらが「こちら」に影響を与えることもあるだろうからな。
まして、ここはるつぼの最前線なのだし」

「異邦人街舐めてた」と語る鋼に、そう言って朗らかに笑いかけた。

龍宮 鋼 >  
なんでもねーよ。

(ニヤニヤ笑いをどこか含みのあるニヒルな笑顔に変えて、彼女の肩を叩く。
 こいつに惚れる男は大変だろうな、と、まだ見ぬ彼女の恋人候補へ同情しておいた。)

ま、わかったところでなんだっつー話だがな。
そう言うやつにコンプレックスあるわけでもねーだろ。

(結局はそう言うことなのだろう。
 仲間やダチがそう言う出のヤツだったと言うところで、そいつが仲間やダチである事には変わりないのだから。
 特に気にするような事でもない、と。)

――あぁ、そう言う顔出来んじゃねーか。
笑っとけ笑っとけ、服装とかどうとかで悩むよりそっちの方が早い。

(彼女の朗らかな笑顔は、そういえば見たことがなかった。
 そう言う顔をしていれば、どんな服装をしていたってとっつきにくい感じは受けないだろう。)

セシル > 「………」

口は開かないが、顔が「解せぬ」と言っていた。
自分に惚れる男がいるなど、考えたこともないセシルである。
…本人は不慣れとはいえ、女性的な格好に振ればちゃんと「女性」になれる程度の素地はあるはずなのだが。

「………そうだな、確かにそうだ」

「分かったところでなんだ」という鋼の言葉に、安堵したようにほっと息をついて、柔らかい笑みを浮かべて頷いた。

そうだ。一番大事なのは「共に」あれることだ、と。

「仕事以外では、そこまでしかめっ面をしているつもりもないんだがなぁ…
でも、貴殿にそう認めてもらえたのは嬉しい」

表情について指摘されれば、まずは困った笑いを零すが…それから、やんちゃな少年が少しはにかんだような、そんな笑みを浮かべた。

龍宮 鋼 >  
(おかしそうな笑顔を顔に貼り付けて。
 先ほど見せた顔や、今のような表情も出来るのだ。
 そこに惚れる男だっていないはずが無い。
 それを彼女がわかっていないような風なのが、これ以上ないぐらいおかしくて。)

昔どうだったとかカンケーねーよ。
少なくとも、俺はそうだ。

(仲間は仲間、ダチはダチ。
 そういうシンプルな思考で生きている。)

貴殿じゃねーだろ。
龍宮鋼。
鋼でいいよ、セシル。

(右の拳で彼女の胸を軽く突く。
 そういえばまだキチンと名を名乗っていなかった
 自身の名を改めて名乗り、彼女の名を呼ぶ。)

セシル > 「………それこそ、私よりは貴殿の方がよほど縁がありそうに思うが」

おかしそうな満面の笑顔が納得いかなくていかなくて、微妙な顔のままぽつりと。

なお、お世辞のつもりはない。
振る舞いが粗暴とはいえ心根はまっすぐで、それに「自分と違って」「そういうこと」をきちんと考えることが出来るのだから。

「………そうだな。そう、ありたいな」

セシルは、戻れる見込みもないのにまだ「過去」に縛られている。
…まだ、縛られた「そこ」にしか、自分の「本当の」居場所を見出せないでいる。

鋼の言葉には、躊躇いがちの同意と、少しだけ陰を帯びた微笑を返す。
…が、軽く胸を小突かれ(見た目には判別が難しいが、気持ち程度の柔らかみは確かにそこにあった)、「名前で呼んで良い」と言われれば、目を丸くして、数度瞬かせた後…

「…いいのか?
それでは、遠慮なくハガネと呼ばせてもらうが…」

と、「遠慮なく」と言いながら、躊躇いの見える表情と声で、鋼を呼び捨てで呼んだ。

龍宮 鋼 >  
ねーよ。

(一言で否定。
 顔は笑顔のままではあるが、その言葉からは有無を言わせぬ雰囲気が漂っているだろう。

 彼女の何か含みのある顔には気付くが、特に何も聞くことも無く。
 細かいニュアンスは違えど、自身だって過去に囚われているところはある。
 相手が誰でも気に入れば対等に扱う自身だが、特にそういった過去の事には一切不干渉を徹するのだ。
 自分が、そこを突かれたくないから。)

良いっつってんだろ。
ダチはみんなそう呼ぶからな。

(彼女とはケンカをしたし、この間のファミレスで借りは返したつもりだ。
 であれば彼女はもうダチであると自身は思っている。
 だったら名前で呼び合わずどうするのだ、と言うように。)