2016/12/22 のログ
ご案内:「休日昼・歓楽街のカラオケボックス」に美澄 蘭さんが現れました。
ご案内:「休日昼・歓楽街のカラオケボックス」にヴィルヘルムさんが現れました。
■ヴィルヘルム > 「だってここは……僕が男だって知られても,殺されるような世界じゃないからね。」
貴女の言葉に,苦笑交じりでそう返す。
故郷への未練は勿論あるのだが,故郷へ戻ればまた元の生活に戻るだけだ。
そう考えると,ここでこうして暮らすのも,悪くないと思う。
「…僕が物心ついたころにはもう,僕は女の子ってことになってたからさ。」
苦笑交じりの言葉。
笑ってはいるが,実の親に殺されないために,必要とされるために全てを受け入れて,仮面を被ったのだ。
…その仮面が偽りの姿だったとは思わない。
だが今となっては,それが本当の姿だとも思えない。
「……難しいんだ,いろいろ。自分で自分がよくわからなくなってたからさ。」
■美澄 蘭 > 「………。」
難しそうな顔をして、考え込む蘭。
物心ついた時には肉体とは違う性別ということにされている…というのは、どんな感覚なのだろうか。偽り続けなければ、生きていけない人生というのは。
そこから、肉体と同じ性別に「回帰」すると言っていいのかどうか、分からないが…目の前の青年の、今のあり方は…。
「………過去形ってことは…今は、何となく分かりかけてるの?」
思案がちに少し唇を尖らせながら、青年の方をまっすぐ見つめた。
■ヴィルヘルム > 分かりかけているの?
その問いに対して,青年は少しだけ悩んで…
「どうだろう…少なくとも化粧して着飾ってみた時は,何だか自分が自分じゃないって感じだったけど。」
そうとだけ答えて,オレンジジュースを飲み干した。
「ずっと不安だったんだ,男の恰好したら変なんじゃないか,とか,
どんな風に話せばいいのか…とかね。」
意外と大丈夫だったけれどさ。と,苦笑する。
■美澄 蘭 > 「…お化粧、か…たまにやると楽しいけど、「たまに」じゃテクニック伸びないのよね」
「紫外線だけは気をつけてるけど」と呟くこの少女には、化粧っ気がない。
青年のそれより赤みに乏しい少女の肌は、それでも透明感を持って見えるが。
発表会などのポイントメイクは、割とイレギュラーであるらしい。
「…でも、「自分が自分じゃない」感覚になるレベルのお化粧って想像つかないわね。どれだけ盛ったんだか」
そう言って、少し悪戯っぽい笑みを零す少女。
「「男」になる」不安を苦笑混じりに告白する青年の言葉にも、和らげはするものの、基本の表情はそのままで。
「格好もそうだけど…話し方も、特におかしいところはないと思うわよ。
結構「勉強」したんじゃない?」
「最初本当にびっくりしたもの」と、くすくすと笑った。
■ヴィルヘルム > 「でも君はそれでいいと思うよ。とっても上手くなりたいっていうのなら別だけれどね。
化粧って本格的になるとホントに凄いし…。」
彼の語るところの“凄さ”は自分の故郷と比較した技術の高さ,
そして,クローデットが自分に施したあの化粧の鮮烈な記憶。
「まぁ…弟とか,貴族の息子とか,いろいろ見てたからね。
自分がこんな服を着ることは,一生無いんだとばかり思ってたけれどさ。」
貴女の言葉をその笑みに,青年もまた,無邪気に笑う。
少女じみた言葉や所作がちりばめられているのは,それこそが彼のこの姿が“慣れない”ものであることの証明だろう。
「君にそう言ってもらえるなら,安心して良さそうかな。」
■美澄 蘭 > 「流石に、顔の印象ががらっと変わるくらい盛るつもりはないけど…
大人になるまでに、ナチュラルメイクの程よいさじ加減?みたいなのは分かっておきたいと思うのよね」
「難しいわ」と、頰杖をついて軽く唇を尖らせる。
目の前の青年が「知り合い」に何をされたかなど、知る由もなく。
「ああ、「お家の手伝い」でその程度の縁はあったのね。
…厳密には故郷の男物とは違うんでしょうけど…着心地、どう?」
質問しながら浮かべた柔らかい笑みは…青年の次の言葉で、戸惑いに変わる。
「…あー…私の意見だけ、ってのも、あんまり良くないかも。
私の人付き合いも、大概偏ってるし…」
「特に、男の人相手は」と、困ったように眉を寄せて、軽めのため息を1つ。
■ヴィルヘルム > 「世話してくれたメイドは“経験だ”って言ってたよ。
正直,メイクが上手だったかどうかは何とも言えないところだけどさ。」
くすくすと楽しげに笑う。
どうみても男の姿でメイクの話を楽しげにするというのも,奇妙なものだ。
「あんまり表には出られなかったけど…少しだけ,かな。
こっちの服はみんなそうだけれど,温かくて軽いね。」
楽しげな表情のままに,貴女の顔を見て,わずかに首を傾げ…
「…僕よりかは,だいぶマシだと思うよ。
こっちの世界での知り合いなんて数人しか居ないし,故郷じゃ友達なんて一人も居なかったし。」
そこまで言ってから,何かに思い至ったのか視線を貴女へまっすぐ向けて,
「…あ,君,男の人あんまり得意じゃなかったりする?」
■美澄 蘭 > 「そっか…やっぱり経験かー…」
背もたれに寄りかかって天井を見上げ、情けない声を出す蘭。
女子力方面は、あまり成績がよろしいとは言えないようだ。普通に、会話相手の青年に負けそうである。
「…まあ、家族くらいとは………なんて気軽に言い切れないか、あなたの場合は。
温かさは…そこまで生地が違うとも思えないけど、軽いのは間違いないでしょうね。普通の服は大分動きやすさを気にして作られてると思うし」
楽しげに語る青年を、こちらも人の良さそうな笑みで見やるが…
青年の、今更過ぎる問いに、思わず真顔になって、目を大きく数回瞬かせた。
「………それ、今聞く?」
今更というのが1つと、1対1のシチュエーションでというのが1つ。
口が横に大きめの一文字を描くその様は、あまり女性らしい表情とは言えなかった。
■ヴィルヘルム > 「ふふふ,君なら大丈夫だと思うよ。」
何の根拠もない発言だが,適当に言っているわけでは無い。
貴女なら,きっと,苦も無く覚えるだろうと,青年はそう思った。
家族の話にはそれ以上言及せず,聞かれなければそれ以上答えないだろう。
「いや,もしそうだったら早く話を終わらせなくちゃ,と思って。」
シチュエーションもタイミングも,完全に外しているが,真顔である。
そしてこの青年には,本当に悪意が無かった。