2017/01/10 のログ
ご案内:「クローデットの私宅」にクローデットさんが現れました。
クローデット > いわゆる「冬休み」の期間、クローデットは私宅で過ごしていた。
「禁書庫から出てきた直後に倒れた」ということで、禁書からの悪影響が心配されて、委員会経由で得た禁書庫の閲覧許可が凍結され、おまけに委員会の職務からも外されてしまったのだ。

下手に抗弁して疑念を向けられ、検査を受けろなどと言われては面倒極まりない。
クローデットはその処分に従い、自宅で療養しながら、ベッドで出来る魔具作成に精を出していた。
魔具作成などの知識がなければ、その姿は裁縫に勤しむ病身の美女、というようにも見えるかもしれない。

クローデット > 倒れたのは外だったし、委員会にも当然知られている。
もしかしたら、「裏」の世界にも自分の変調を知っている人間がいるかもしれない。
そういうわけで、ハウスキーパーも、「第二の業務」のために買い出しの時以外は自宅にいてくれているのだが、クローデットの作り上げた魔術要塞とでも言うべき私宅がそうそう侵入などされるわけはなく、私宅の中は、静かで穏やかな時間が流れているのだった。

クローデット > 糸を留めて切り、針を針山に戻して息をつくクローデット。

「………これは、これで完成ですわね」

完成したらしい魔具…見た目は、ゴシックロリィタによく合いそうなヘアバンドの仕上がりを、手に取り、目で丁寧に確認し、頬を寄せて丹念に確認するクローデット。
出来に満足したらしく、クローデットはそれを一旦サイドテーブルに置いた。
それから、その横にある白魔術の奥義書を手に取り、心ここにあらずと言った様子で開く。

クローデット > (………あたくしは…どうして、あの時………)

年末の禁書庫。倒れる前。
獅南に、「魔術学の議論」として「世界の未来」の話を振られた時。「大切な人」の声がひどく響き、心に重くのしかかるように感じられた。

(………決して、初めて聞いたお話ではありませんでしたのに………)

あれは、こちらに来て比較的間もない頃だっただろうか。
彼の研究室を訪ねて、彼の研究の構想を、遠大な理想を聞いた時。

あの時は、何でもないものと受け止めた。
寧ろ、自分達の「理想」に近いものだとすら、感じることが出来た。

クローデット > (なのに、どうしてあの時は…)

それが、分からなくなってしまったのか。
それどころか、「大切な人」の強い反発まで、引き起こしてしまったのか。

(………そもそも、わたし達の「理想」は………)

《ひとりにしないで…!》

そうまで考えたところで、クローデットは、再び「大切な人」の慟哭に頭を、心を揺さぶられることになった。

クローデット > 「………っ」

思わず、ベッドに倒れ込むクローデット。

「…ひいおばあ様、どうかわたしをお守り下さい…」

白魔術の奥義書を胸に抱き、うわごとのように繰り返す。

そうこうしているうちに、クローデットは眠りへと落ちていった。

ご案内:「クローデットの私宅」からクローデットさんが去りました。