2017/03/17 のログ
ご案内:「クローデットの私宅」にクローデットさんが現れました。
■クローデット > 「………。」
感情を映さない顔で、コンピュータに向かい図書館の蔵書検索をしているクローデット。
今日は、少しぶりに「クローデット・ルナン」としてまともに外に出たのだ。
…所属する委員会と、今後のことを相談するために。
■クローデット > 科学的な検査では、「非常にストレスがかかっている状態」が示されただけだった。
そのため、クローデットの素性を改めて問われるような事態にはならずにすんだが…流石に、職務をそのまま継続させるほど、公安委員会は考え無しではなかった。
(…通常の巡回から外れて、要請がある時のみの出動、ですか…)
現在は体調不良が継続している「建前」なので職務から外されているのは当然として。
その後も、通常の巡回には臨時の代役以外では戻らない方向で考えていて欲しい、とまで言われてしまった。
(…まあ、職務を中断してしまったのですから、仕方がありませんか)
寧ろ、「出自」をおいてさえ、委員会が自分を切り捨てないことの方が、クローデットにとっては不思議なくらいだった。
…自分の魔術の技量に、それだけの価値がある、ということなのだろうか。そう考えれば、悪い気はしないのだが…。
■クローデット > そもそも、クローデットはこの学園都市には「研究」目的で来ているのだから、委員会の職務などないに少ないことはない。来年度、こちらの学園では4年生になるのだから、尚更だ。
問題は…「体調不良」の懸念から、禁書庫の閲覧が出来ずに「研究」が滞ってしまうことだ。
かといって、空いた時間に新しいことをしないわけにもいかない。
一応、今のところ魔術具のメンテナンスやら製作やらでまあまあ時間は潰せているが、魔具庫の容量にだって現甲斐はあるのだ。
というわけで、クローデットは今
「研究のためにはあった方が良い知識を埋めるための蔵書が通常図書館の範囲内にないか」
を調べていたのである。図書館に直に寄って調べるのは手間だし………何より、クローデットは今、大勢のいる場所に極力いたくなかった。
■クローデット > (「空間の取り扱い方」については、興味深い蔵書がありそうですわね)
有意義そうな蔵書を確認して、ネットワーク上で予約手続きをする。文明の利器は偉大である。
『お嬢様、お加減はいかがですか?』
そう、ハウスキーパーの声が勉強部屋の入り口から聞こえた。
■クローデット > 「今は落ち着いておりますわ…ありがとうございます、ジュリエット。
何か用ですか?」
クローデットがそう返事をしつつ尋ねると、ハウスキーパーは
『気分が安らぐハーブティーをお淹れしましたので、いかがかと思いまして』
と答えた。
「あら、ありがとうございます。
丁度ここでの作業が終わりましたので、是非頂きますわ」
そう、クローデットが気持ちトーンの上がった声で答えると、静かに整った所作で、盆の上にティーポットを乗せたハウスキーパーが入って来た。
『失礼致します』
それから、クローデットの傍らでお茶の準備を進める。ハーブティーなのもあって、お茶請けはない。
■クローデット > そうして、女性二人でのティータイムが始まる。
『お嬢様、最近はゆっくりお休みになれていますか?』
ハウスキーパーの質問。クローデットは
「………ええ、ここ最近は滞りなく」
と…身内だからこそ吐ける、嘘を吐いた。
相手ならば、揚げ足をとらないだろうという…クローデットなりの甘えが、こんな形で出るのだ。
『…それならいいのですが…
お嬢様は、お家にいらしても何か作業をなさったり、お勉強をなさっていることが多いですから…無理を、なさっていないかと思いまして』
「………ありがとう、ジュリエット。
ですが、頭なり手なりを使っていた方が、気が紛れますの。安静にしていながら出来ることは、咎めないでいて下さる?」
ハウスキーパーの心配するような発言に、クローデットは心配してくれることは感謝しつつも、手や頭を動かし続けることはやめないと示唆した。
…こちらは、嘘ではなかった。
何か、戦力にプラスになるようなこと。
何か、魔術の探究のためになること。
そういったことでもしていないと…「大切な人」の声に押されて、自我が保ちきれないことがあるのだ。特に、夜は。
■クローデット > 『………そうですか』
ハウスキーパーの、どこか苦しげな俯き。
流石に、ハウスキーパーがクローデットの言葉を鵜呑みにしていないことは察しがついた。
「………あなたには、心配も…来客対応まで任せてしまって、本当に申し訳なく思っています。
けれど………言えることではないのです。まして、「ここ」では」
クローデットも、少し思案がちに視線を落としてから…改めて、ハウスキーパーの方を見た。
『お嬢様は、とても多くのことを背負っていらっしゃいますから…
どうか、心配している人間が、少なくともここに一人いることを、忘れないで下さい』
「ええ………ありがとうございます、ジュリエット」
ハウスキーパーの、せめてもの忠言。
それを、クローデットは何とか受け止め…柔らかく笑み返した。
■クローデット > (ひいおばあ様のため)
(………全ては、ひいおばあ様のためなのです)
そう、自分にも…「大切な人」にも言い聞かせながら、クローデットは、「殺戮」よりも探究を、そして自分の身を守る魔術具達を手入れする手業を優先する。
自我が、しっかりとそこにある間は…。
ご案内:「クローデットの私宅」からクローデットさんが去りました。