2017/03/26 のログ
■和元月香 > 「へーき。それは心配しないで、私メンタルは強いからね!」
邪気の無い笑みでにっと笑う。
それは嘘では無かったが、何かが欠けて見えるかもしれない。
「わー…便利だねー…」
手を触れずに0になったカウントを見て、感心したように頷く。
「…クロノ先やる?」
そして釘付けになるあまり手にガラスを押し付けながらも、目を輝かせて。
■クロノ > …そっか。良かった。ひと安心だね。 …でも何か変わったことがあったら、すぐに教えてね?
(自分は、異能持ちでもなければ魔力もない。モノに霊魂の宿った九十九神ではなくあくまでAIで動くだけの精密機械だから、この街の中ではとりわけ非力で無力な存在に分類されるのだろうけれど、それでも何か役に立てれば、と願う。)
…ふふふ、電子マネーの使えるところだったら、お財布忘れても安心だよ。電車もバスもこれで乗れるし。
(人間の皆さんが携帯端末で使う機能が、男の子は体の中に全部入っている。秘書や執事等として身近に侍らせても便利な機械だ。)
…ん。いいの?じゃあ、さっそく…。
(数秒の間、クレーンと、中のぬいぐるみ達をじっと見つめる男の子。おでこと瞳の奥がチカチカ点滅している辺り、恐らくは目標物との距離を精密に測定しているのだろう。ほどなくしてボタンに指先を載せ、クレーンを動かし始める。)
■和元月香 > 「うん、ありがとう大好き」
またもや口走りながらも、ほんの少し穏やかに微笑む。
こういうよく分からない自分に優しく声を掛けてくれるクロノは素晴らしく強いのだと確信しながら。
「私よく財布無くすからなぁ」
…直後、呟く。
「頑張れ……!」
(ゲームでロボットって頼りになるなぁ….)
小さく、祈るように声援を送る。
動き始めたアームを見ながら、ぐっと身を乗り出して、
真面目な顔になり見つめるだろう。
■クロノ > …… ん …。ど、どぅ、いたしまして…、
(何度目だろうか。再び相手から言われる単語に男の子は頬を染めて視線を泳がせるけれども。)
… ──── 。
(いざクレーンを操作し始めるロボの表情は、真剣というより無表情。クレーンの可動範囲とアームの大きさから、置いてある景品の中で取れそうな位置にある、取れそうなサイズと重さの物に目標を定めて。)
(いくら機械vs機械の対決とはいえ、クレーンゲーム機は商売のプロ。コンピュータや本体性能価格、そもそもの目的も違うとはいえ…男の子は数度、惜しいところでぬいぐるみを取り逃す。申し訳なさそうに、しかしちょっと悔しそうにリトライを重ねて、数回目でようやく小さなぬいぐるみを一つ、獲得した。)
… ふぅ。っふふふ。やったぁ。 …はぃ、これ。月香にプレゼント。… 簡単そうに見えるけど、やっぱりなかなか計算通りには行かないね。
(そうして何度か男の子が奮闘しているうちに、景品の数個はちゃんと取りやすい位置に積み上がっていて、その状態で追加課金して相手の番に引き継ぐ。ゲームに集中できるように相手の鞄も持つよ、と言って手を差し出しながら位置を交代。)
… 月香も、頑張って…!
(女子高生と古いロボが一緒にゲームに夢中…そんなちょっと変わったコンビの姿は良くも悪くも目立つから、もしかしたら休み明けの学校でちょっとした噂になっているかもしれない。)
■和元月香 > 月香が息を飲んで見守る中、何度か失敗はしたものの見事小さいぬいぐるみを獲得したクロノ。
積み重ねてきたからこそ、それも大きいというもの。
「やったやった!すごいねクロノ!」
はしゃいだ月香は、クロノの手を取って跳び跳ねてしまうだろうか。
そしてぬいぐるみを受け取ると、少し照れくさそうに笑みを溢しながらも
「ありがとね」
と小さくそれを抱き締めてから、満面の笑顔を浮かべた。
他人から物を貰う事は、本当に嬉しい。
鞄を持たせてしまう事に少し申し訳ない顔をしながらもクレーンゲームの正面に立った月香。
「よっし…!」
(…クロノに特大ぬいぐるみをプレゼントするんだ!!)
荷物にしかならないであろうそれのために気を引き締め、袖を捲る。
そして髪をなびかせて振り返り、拳を握ってみせた。
「うん、頑張る!」
…そしてキリリと表情を少々わざとらしく引き締めながらも、操作を始めた。
■クロノ > …っふふふ。ありがとう。… 喜んでもらえて、僕嬉しいよ。
(全身で、溢れる喜びをありのままに表現している相手の元気さには男の子もついつられて一緒に笑う。自分の機械の手を取りながらぴょんぴょん跳ねる相手の、その手指の感触に男の子はもう景品を取れた事はどっかに行ってしまって、ぽかんと赤面しているんだけど。仕上げに相手が小さなぬいぐるみをきゅっと抱き締める仕草には、男の子がもし人間だったら鼻血のひとつくらいは漏れていたかも、というくらいには鋼鉄の胸がぐっと熱くなるのを感じていた。)
……──── 。
(相手の視界と操作の邪魔にならない位置で、二人分の鞄を持ちながら、ゲーム機のガラス越しにゆっくりと動くアームの行方を見守る。一番大きなぬいぐるみは出口を通れるか微妙なサイズだけど、うまく行けば出口近くの小さいのに引っ掛かって落とせるかもしれない。)
■和元月香 > 少し様子がおかしいクロノに普段は気づいただろう月香だが、生憎今は興奮している。
ちょっと首をかしげたものの、それには触れず。
「……っ、うぅ……」
この位置だと小さいのを取るのが妥当だろう。
安全から見ればそうだ。
…だが月香は、クロノにどうしても大きなぬいぐるみをプレゼントしたかった。
(諦めるないける!!)
まず大きなぬいぐるみを掴むのにも苦労する。
工夫をこらして少しアームを壁にぶつけ、大きなぬいぐるみを勢い良く投入口に落とす。
「…っしゃあ!」
大きく拳を振り上げ、女の子らしからぬ豪快なガッツポーズ。
■クロノ > (応援もさることながら、男の子の電脳はすっかり「女の子と予想外のタイミングで手を繋いじゃった」という事実の処理にリソースを取られて、しばし呆然と立っていたけれど。)
…… ? …っ、え、ぁれ?
(ぼふ、と大きなぬいぐるみが取り出し口に何とか突入したところで、はっと我に返る男の子。)
… ぇ、月香、ホントに!?
(慎重な計算と何度もの失敗の上でようやく小さなぬいぐるみを取った男の子と、一発で一番大きなぬいぐるみをゲットしてガッツポーズ決める女の子と。もうどっちが男らしいとか女らしいとか、分からなくなるくらいには予想外の展開。相手が手にいれたぬいぐるみを見ると、慎重派で臆病な男の子はなんだか恥ずかしい上に申し訳ない気持ちになってしまう。)
… つ、月香、すごい …ね、おめでとう …!
■和元月香 > 取り出し口から出てきた大きなぬいぐるみは、月香の胸ほどまでの大きさがあった。
抱き締めると、顔も半分近く隠れてしまう。
「へへーっ」
ちょっと自慢気に笑うと、すっと自然な動作でクロノにぬいぐるみを差し出す。
「…良かったら受け取ってよ、クロノ」
そう呟いた月香の顔は、満足げな笑顔で彩られていた。
受け取るにせよ受け取らないにせよ、目標を達成した満足感に嬉しそうだ。
■クロノ > (相手が取り出し口から引っ張り出して抱えたそれの大きさに改めて感心しつつ、男の子は「わぁー…」とか間延びした声で呆気に取られていたら、程なくしてすっと自分の目の前にそれを差し出されて。)
──── …? …へ? …っ、あ、ぁ、えっと、ありが …ありが、とぅ …、
(自分の腕で抱えてみても、ぬいぐるみなのに結構な存在感があって、柔らかい重みがあって、あぁ抱えてるんだ、っていう実感がある。)
… だいじに、する、ね …、
(片手で二人分の鞄を持ち、反対の腕では大きなぬいぐるみを抱える男の子。…ぬいぐるみ+ロボという相反する質感のモノ同士がくっついている光景は、微笑ましくもあり、一方でちょっと似合ってもいたり。)
…ね、この後、どうしよっか。とりあえず…
(二人分の鞄とぬいぐるみは、とりあえずコインロッカーに預けてから、今日その他の予定を進めよう。クレーンのあとはカーレースもの、リズムゲーム、エアホッケー、メダルゲーム、と立て続けにゲーム三昧して、あっという間に休日の昼と午後は過ぎていく。)
■和元月香 > 「さっきのお返し」
いひひ、と照れ臭そうな、悪戯が成功したような笑みを浮かべて礼に答える。
(クロノの笑顔が、何よりの報酬だと思ってみたりして)
そんな事を思ってしまう月香は、クロノに随分甘いらしい。
恋とはまた違う、何かなのかは気付けなかった。
「うん。私も大切にするから!」
さっき取ってもらった小さなぬいぐるみを抱えた月香は、相変わらず嬉しそうで。
明日あたりベッドで抱き枕になっている光景が見られるかもしれない。
「えーっとね、とりあえずお腹空いたしご飯にしない?」
二人で遊びつくし、いつのまにか午後へ移り変わっていた時間。
ぐぅぐぅ鳴る腹を押さえ、苦笑いしながら。
ご案内:「常世某所」からクロノさんが去りました。
ご案内:「常世某所」から和元月香さんが去りました。