2017/04/16 のログ
ご案内:「映画館『ユニヴァースシネマトコヨ』」にステーシーさんが現れました。
■ステーシー >
私は映画が好きだ。
諸君。私はかなり映画が好きだ。
元いた世界にはなかった文化。
この映画という小さな世界に私は夢中だ。
しかし、映画というのは評判の良いものを見てしまうと…
あとは玉石混交の膨大なる海の中から宝石を探す作業になりがちだ。
そんな中、私は……初見の映画をあえて絶叫上映で見る。
■ステーシー >
今日、喰らう映像作品は『ゾンビシャークVS悪魔兵団』だ。
ゾンビになった鮫が全世界を席巻し、それに対抗するために旧態政府の軍勢を復活させて戦わせるという映画。
正直、いや、滅茶苦茶に。ゾクゾクする。
こんな発想、常人に出てくるはずがない。
いや、思いつくまではいくかも知れない。
ただ、映像化しようなんて考えるのは正気の沙汰ではないのだ。
ポップコーンとコーラを買って着席。
このポップコーンというもののセレクトにもセンスが現れる。
私は今日は九州しょうゆ味にした。
塩辛いものと甘いコーラのコンボでアポカリプスを生き抜く。
■ステーシー >
「……………」
ニヤニヤしている。
今、私はかなりニヤニヤしている。
日曜日のレイトショーで独創的な映画を見るなんて。
こんな時間の使い方を許される平和な日々に感謝すらしている。
だってゾンビになった鮫だよ?
悪魔兵団だよ?
オールスターじゃない?
配給会社大丈夫なの?
豪華すぎない?
高鳴る胸のときめき、これはまさに恋。
ゾンビシャークに恋しているのだ。
■ステーシー >
ちょっと時間をずらせばブレードアートオンライン劇場版とか、
アベンジャイの続編とか、色々見れたのに。
絶叫上映……鮫ゾンビ悪魔兵団映画の…絶叫上映……
いけない、興奮しすぎて目がちかちかしてきた。
少し落ち着かなければ。
深呼吸をした。
アベンジャイもキリヒトさんもいつでも見れる。
大事なのは、今だ。今に全てを。愛に時間を。
■ステーシー >
劇場が真っ暗になる。
そしてチープなアナスタシアスタジオのロゴがモニターいっぱいに表示される。
私はこのアナスタシアスタジオが大好きだ。
人の理を逸した映画を月イチで作ってくれる世界が好きなんだ。
『どんなに足が長くても前の席を蹴るな』
とか
『上映中はお静かに』
とか
そういった注意が出てこない。
だって絶叫上映だから。
周囲も相当、がやついている。
そして映画が始まった。
■ステーシー >
外国のビーチが映し出される。
外人カップルがいちゃつきながら浜辺でキャッキャしている。
このグラマラスな女優の水着をノルマのように出す気概。
武士道にも似た信念を感じる。
女優はシャーリーン・マクドゥガル。
この手の映画の常連だ。今も若々しく、美しい。
そこにボロッボロの鮫の背びれが独特な音楽と共に女性に迫る。
『ゾンビシャークだぁー!!!』
騒然となる浜辺。
騒然となる劇場。
「いや、なんでゾンビシャークって概念が知れ渡ってんの!?」
思わずツッコミをいれずにはいられない。
そしてゾンビシャークだぁー!!の声の絶妙な間の抜けた吹き替え。
パーフェクト。これはもう娯楽の冥府魔道だ。
「逃げろー!!」
画面の女優に向かって叫ぶ。けど本当は鮫に食われてほしい。
フクザツなオトメゴコロがあるのだ。
■ステーシー >
周りも騒ぎながらこのエンターテイメントに夢中だ。
絶叫上映、それはこの地上に残された数少ないフロンティアのひとつ。
「あ、食われた」
シャーリーンが演じるカップルの片割れは哀れゾンビシャークの犠牲となった。
って丸呑みかよ!
鮫ってゾンビになったら人を丸呑みするようになるの!?
いやまぁ、いきなり腕を食いちぎれとか言う気はないけど!!
「うわー……うわー………」
このチープさにクラクラする。
いいぞ、このサメ映画は当たりだ。
サメ映画っていうか、ゾンビ映画? まぁどっちでもいい。
ご案内:「映画館『ユニヴァースシネマトコヨ』」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > …そう言えば前のヤツを見て無かった!
アベンジャイの続編その作品を見に来た真乃真はとても重大な事に気がついた。
きっと、前作を見ていなくても楽しめるのだろうが折角だから前作は見てから続編は見たい。
せっかくこんな時間に来たが完璧に自分のミスだ、仕方がない。
少しの残念さを胸に帰ろうとした時とあるタイトルが目に飛び込んできた。
『ゾンビシャークVS悪魔兵団』なんだろうコレ?
…そして、気がついたら映画館の中で叫んでいたのだった。
「ああ!駄目だ!逃げて早く!もうジェーンは助からない!!
早く逃げてー!!ふう、何とか陸について助かっ…て助かってない!
後ろ!後ろ!!泣いてる場合じゃないよ!!」
そんなサメが!サメが陸上を滑るように移動するなんて!!
そんな!!親友の太い白人男性が!下半身を!!サメにゾンビサメに!!!
「ああ!!!ボリスー!!!」
■ステーシー >
隣の席を見ると、随分エキサイトしている。
こうなると話しかけたくなるのが人情というもの。
「もうダメよ、ボリスは助からない!!」
「ゾンビは強い、鮫は強い、ならゾンビシャークは圧倒的に強いもの!」
真に話しかけながらテンションは爆上げ。
そして悪魔兵団パート。
地下深くに封印されていた旧態政府の軍隊を復活させるのだ。
彼らは執念深く、恐ろしく強い。
「さぁ、始まるわよ……どちらが勝ち残ってもこの星はおしまいよ!!」
隣の席の真にポップコーンを食べるか聞いて差し出した。
同好の士。すなわちフレンド。
■真乃 真 > 「ボリス!良い奴だったのに!!畜生!」
BBQしながらカップルのジェーン達にむかって。
小粋なジョークを飛ばしてたのに!!
「そんな!くそう!製薬会社のやつらがあんなところにゾンビウイルスを不法投棄したりしなければ
ゾンビシャークが産まれることも無かったのに!」
一番初めに入ったフラスコが浜辺に落ちているシーン!
それこそが全ての始まりだったのだ!!
いや、フラスコ一本のゾンビウイルスであそこまで広がるのはあれだと思うけど!!
悪魔兵団!!なんか思ってたよりもテカテカとしている気がする!
エイリアンのような質感だが悪魔と言っているから悪魔なのだろう!
「ああっ!悪魔兵団がゾンビシャークを殺す為の何かバチバチする奴を取り出して!!
洞窟近くのにいたカップルを刺した!!隠れてイチャイチャしていたカップルが刺された!!」
光と煙が凄い!そしてその煙が晴れるとそこには黒い塊が!!カップルだったものだ!!
これじゃあ!!ゾンビシャークもやられてしまう!!
ポップコーン引き換えにフライドポテトを差し出す。
始めの方に勢いで殆んど零してしまったが。
「こ、これはどっちが勝つかわからんね!!」
ご案内:「映画館『ユニヴァースシネマトコヨ』」にニコラスさんが現れました。
■ニコラス >
――なんだこれ。
(ゾンビシャークVS悪魔兵団である。
日曜日に部屋に篭っているのもアレなので街に繰り出し、ついでに初めて映画と言うものを見ることにした。
大画面で映像作品を見ると言う、テレビのスケールのデカい版だと言う事前知識は仕入れてきたものの、上映している作品の事まではしらない。
適当に上映作品の中から選んだのだが、何て言うかとてもチープである。
客は作品にのめりこんでいる人と、自分のように冷めた目で見ている人の二パターンに分けられているようだ。
ずぞぞ、とほぼ氷しかなくなってしまったコーラをストローで吸いながら、冷めた目で隣の二人を観察する。)
悪魔兵団って言うか宇宙ゴキブリじゃねーか。
(妙にテカテカしているし、触覚とか羽とか生えてる。
映画を見ているより隣の二人を観察している方が面白い。
スクリーンではなく超エキサイティングな顔を知ってる二人の様子をガン見している。 )
■ステーシー >
「良い奴から死んでいくのよッ!!」
これはかなりマジの話だ。
まともな感性をしている人間がこの狂った世界を生き抜けるわけがない。
「ゾンビウイルスが鮫にも効くなんてね!! 世界広いわー!!」
多くの人はこの映画を見てもこんな世界、知りたくなかったと嘆くだろう。
だが私達はこれが大正義なのだ。
「この手の映画ってなんで執拗にカップルを仕留めるのかしら……」
「あ、今死んだ夫婦の男のほう、名優ダリル・ハーキンだわ!!」
「こんな映画にまで出るなんて老いてなお映画愛が爆発炎上ッ!!」
フライドポテトを受け取って食べる。
そしてサムズアップ。
「どっちが勝っても世界はおしまい……」
「でも私はあえて……悪魔兵団を応援するッ!!」
悪魔兵団はロマンがあるからだ。
ゾンビシャークにもロマンはあるけど若干腐臭が漂う。
今の私、かなりグルグル目してる。
「ニコラスッ!」
猫耳を震わせながら語りかける。
「あなたはどっちを応援するの!? 悪魔兵団とゾンビシャーク!!」
テンション天元突破中。