2017/04/17 のログ
■真乃 真 > 「サメに効くのに他の生き物はゾンビ化してなかったね!!
サメには特に効きやすいんだろう!サメだし!!」
サメだし。サメのカスタム性は他の生き物を大きく上回ると聞く。
「カップルって片方だけ死んだら残った方が可哀想だからじゃないかな?
悲壮感あるよね!!」
結局もう片方もすぐに死んだのだけど。
ポップコーンを口に運んでサムズアップを返した。
「どうやらここで意見は割れたようだね!
僕はゾンビシャークを応援するよ!!」
悪魔兵団は殺すことを楽しんでいる感じがある!
生物の、いやゾンビの本能のままに食らい殺すゾンビシャークの方が好感が持てる!
「この前の弓矢もってた君!!君はどっちだ!
ゾンビシャークか!?悪魔兵団か!?君はどっちに勝ってほしい!?」
無駄にカッコいいポーズで聞く!これはとても大事な事なのだ!!
■ニコラス >
(ネコミミ少女がテンション高くこの映画について熱く語っている。
ぶっちゃけダリルだかドリルだか言う名前を出されても全く分からない。
そもそもこの訳の分からない映画に出るなんて何を考えているんだろうか。
思わずそんな失礼な事を考えてしまうほど訳が分からない。
とりあえず自分達三人がこの映画の世界に入ったなら、真っ先に死ぬのは自分だろうと思う。
良いやつだからではなく、狂った世界に適応出来ないから。)
――えっ。
(そんな事をのほほんと考えていたら二人がこっちに絡んできた。
ぶっちゃけ映画はもう殆ど見ていないのでどっちに勝って欲しいかと聞かれたって分からない。
と言うよりどっちでもいい。)
いや、普通に人間じゃねーの……?
(とりあえずどっちが勝っても世界はおしまいらしい。
であれば普通に考えれば人間を応援するべきじゃないのか。
訳がわからない、と言った顔で引き気味に返答。)
■ステーシー >
「サメだしね!! メカシャークにエンジェルシャーク、デビルシャークに鮫妖に何でもありだもの!!」
鮫はアナスタシアスタジオの顔である。
そして悪魔兵団はアナスタシアスタジオのエースである。
この戦いは映画界に一石を投じる一大決戦なのだ。
「あら、ゾンビシャークを応援するだなんて!」
顔を左手で覆いながら傾く、若干カッコいいポーズ。
「いいでしょう! 見届けましょう! この戦いの行く末を!!」
ニコラスのアンサーにぐぎぎと頭を抱えた。
「人間が勝ってどうするのよニコラス!」
「きのこ派かたけのこ派か聞かれてイイエ僕はステーキが好きですと答えるようなものよ!?」
「もう二分化された世界において答えは明白……」
「滅びという独走する美学の前に人間はもうアアアア、巨大ゾンビシャークがきたあああ!!」
場内が異様な熱気に包まれる。
前作、『メガシャーク~ファイナルアタック!!』に出てきた巨大鮫がゾンビになって出現したのだ。
これは熱い。
ファン心理をよくわかっている。
そして最後に悪魔兵団キャプテンと巨大ゾンビシャークとの一騎打ちが始まる。
神々しささえある。
この世界にはもう悪魔兵団とゾンビシャークしか存在しないかのように、神聖だ。
場内のボルテージはクライマックス、いよいよラストシーンだ。
■真乃 真 > 「あ!?流石にそれはないよ!!
流石にその答えはないだろう!!ニコラス君?ニコラス君!
あとでもう一回初めから見てどっちが好きか聞かせてくれよな!!」
ニコラスの言葉はかなりの暴論だ!いや、普段なら間違いなく真も人間を応援していただろう。
だが、この空気が!!映画館を包み込む狂気が真をそうさせない!!
「ああ!あの巨大ザメは!でも、いくら悪魔兵団の軍艦の上だと言ってもここは海の上!
つまりサメのフィールド!!悪魔兵団ピンチじゃ無いか!」
サメを応援すると言いながらも悪魔兵団にも愛着が湧く。
一匹と思っていたゾンビシャークが大量にいたシーンでは思わずオゥと声が漏れてしまった。
飛ぶメガゾンビシャークだが!その一撃は軍艦の砲塔をへし折るほどの凄まじい衝撃だ!!
そして!悪魔兵団の電撃銛をはじく堅いサメ肌!!何て強さだ!!
だが、もし!だがもし!あいつにメガシャークとしてやられた時の傷が残っているとすれば!!
「いけ!!キャプテン!!!そこだ!腹の下の部分を狙うんだ!!
グローリー船長が命を懸けて残した傷だ!!」
違う映画の話であるがその傷が映った時は明らかに映画館の温度が上昇した!
最高潮も最高潮いよいよクライマックスだ!!
■ニコラス >
まともなのは俺だけか!?
つーか二度と見ねーよ!!
(空飛ぶサメモンスター教徒からすると人間の勝利と言う結末はお気に召さないらしい。
思わず叫んでしまった。
安くない金を払ってもう一度見るとか、最早拷問である。)
て言うかなんでサメなんだよ。
(どうしてそこまで執拗にサメをプッシュするのか。
製作スタッフに狂人的なサメマニアでもいるんじゃないかと思いかけて首を振る。
いやいや、いくらなんでもそこまでサメに熱狂的なヤツがいるわけ――ここに居た。
映画の方になにやら動きがあったらしい。
巨大ゾンビシャークとか言うこれでもかと言うぐらいに属性を盛り込みすぎたよくわからないクリーチャーに興奮している友人を、ハイライトの消えた瞳で見つめる。)
――ゾンビになったんならもう傷とかどうとか関係ないだろ。
(だってゾンビだし。
と言うかなんでゾンビなのに堅いんだろう。
それにあのデカさ、明らかに地上に出てしまえば自重で潰れるサイズだ。
ならば地上に逃げてしまえばと思ったけれど、きっとこの作品にはそんな常識は通用しない。
アレに脚がにょっきり生えてアスリートが裸足で逃げ出してもあっという間に丸呑みされてしまうような速度で走り出しても驚かない。)
■ステーシー >
「まともなのはこの映画館において美徳でも何でもないわ!!」
「ニコラス……信じるのよ! サメを! 悪魔兵団を!!」
最早考察など吹っ飛んだ世界にいる。
なぜ巨大鮫が存在するのか?
なんで鮫がゾンビになるのか?
どうして悪魔兵団などという謎の軍団がこんな兵力を誇るのか?
それはこれがアナスタシア映画だからです。
驚かないで、ミスターニコラス。
「そうよ! グローリー船長の意思が! そして運命が!!」
「必ず通る!! 通じる!! 倒して、お願い!!」
もう勝敗などどうでもいい。
どちらが勝っても、そう、どちらが世界の覇を握っても。
私はきっと泣くだろうから。
そして決着。
巨大ゾンビシャークは古傷を貫かれ、倒れた。
悪魔兵団キャプテンは軍艦の上で倒れた。
全滅だ。
勝利者などいない。
結果として、人間が勝利したのだ。
「うっく……ひっく…………」
泣いた。ガチで泣いた。
そしてこのシリーズでお馴染みの、吹き替え版限定の美しい歌声が流れるスタッフロール。
「Blue……風が歌うよ…」
「波が笑うよ、飛んで私の鳥たちよ……」
泣きながら歌った。素晴らしい…掛け値なしに素晴らしい映画だった。
「いやー、泣いたわ。お疲れ様、ニコラスと……誰だっけ」
真乃 真の名前を知らなかった。
だが、戦場を駆け抜けた仲間として、心に刻まれていた。
■真乃 真 > 何かゾンビ映画で聞いたことがるような感じのセリフだ!
主人公か或いは最後の方でゾンビに囲まれて死にそうな!
「ああ、今は考えずに心をスクリーンに預けるんだ!
今は、今はそれだけでいい。」
確かに細かいことに突っ込みを入れながら見る楽しみ方もあるだろう。
だが、それはそれ!せっかく映画館で見るのだ真っすぐ楽しんだ方が得である。
「行け!!通れ!!行った!!!!」
きっと、映画館中の思いは一つになった!
なったよね!?うん、なったはず!
なったという事にしておこう。
潤む瞳をタオルで拭う。
うん、いい映画だった。
これであと半年くらいはサメ映画を見なくてもいいな!
「ああ、いい映画だった。
うん、僕の名前は真乃真!それと、ニコラス君にもあの時は名乗れて無かったね!名前聞けても無かったし!」
黒い画面に流れるスタッフロールを背に無駄にカッコいいポーズを取る。
そう、前に案内した時は案内と島の説明しかしていない!!
自己紹介はまだだったのだ!!
■ニコラス >
(あ、自分がまともじゃないと言うのは理解しているのか。
しかし到底信じられないと言うか、サメも悪魔兵団も人類の敵なのだから信じるもクソも無いと思う。
元々異世界人である自分にとって充分に驚くべき映画であり、と言うか展開について行けない!!
こんな訳の分からない映画に預ける心など持ち合わせていない!!!)
おい泣くなよ……て言うか泣く要素どこにあった。
(と言いつつ自分のハンカチをフライングシャークモンスター教徒のネコミミ娘へと差し出す。
泣いて感動するほどサメ映画の好きなサメガチ勢だと言う事は充分過ぎるほど伝わったので、その一点だけに関しては尊敬出来る。
正直したくなかった。)
ああ、うん。
俺ニコラス・アルヴィン。
(名乗りながら彼のイメージを色々助けてくれた良い人から、色々助けてくれたけど変な人へ書き換える。
とりあえずタイトルにサメとかシャークとか付いている映画は金輪際見ないことにしようと決めた。)
■ステーシー >
「いやだってサメが………」
ニコラスからハンカチを受け取って涙を拭う。
「悪魔兵団が………?」
言語化ができない。
戦いに身を捧げた戦士と、本能のままに生きた怪物の激闘。
それ以上の何かを感じたのは確かだった。
「ありがとう、ニコラス…洗って返したほうがいいかしら……」
泣き腫らした目。
明日からまた学園生活を頑張れる。そんな気がした。
「私、ステーシー・バントライン!」
「異邦人で生活委員会で怪異対策室三課の、ステーシー。日本名、星薙四葉!」
「二人とも、これからラーメン食べに行こうか」
「話したいこと、いっぱいあるから……語り合おうよ、ねっねっ!」
ニコラスも引きずり込みたい。
この魔道へ。
■真乃 真 > 「涙が出る事に理由なんていらないんだ。
心が動いた。動かされた。きっと、それだけなんだ…。」
まあ、泣く要素が無いのは否定できない。
否定できないけど!!
「ああ、よろしく!ニコラス君にステーシーさん!
ラーメンか良いね!!もちろんニコラス君も行くよね!!
大丈夫!奢るから!奢るから!…行くよな!?」
笑顔でニコラスと肩を組む。
逃げられるような事が無ければきっと、このままラーメン屋へと向かうのだろう。
…三人が去った後のスクリーンではゾンビ化した悪魔兵団の腕が映ったとか映ってないとか…。
■ニコラス >
うん、サメと宇宙ゴキ――あ、いや、悪魔兵団が好きなのは分かったから。
――いや別に洗わなくても。
(この映画は理解は出来ないけど、その感覚は理解出来る。
自分にとってはつまらない映画だったが、彼女にとっては泣くほど感動した映画だったと言う事だろう。
何故サメなのかは理解は出来ないけど。
ハンカチに関しては別にその辺に売ってる安物だし、なんならそのまま返してもらわなくても良いぐらいだ。)
――待て。
まてまてまて。
待てよ明日学校だよ!?
もう結構良い時間だぞ!?
絶対長くなるだろ!!
やめろよ俺を巻き込むなよお前ら二人で語れよもおおおおおおおおお!!
(隣に目をキラッキラさせた女の子。
反対側にはがっしり肩を組んで逃がすまいとする友人。
必死で抵抗するが、根がお人好しな自分だ。
なんだかんだ良いつつヤケクソのように頼んだフカヒレラーメンをすすりながら、よくわからなかった映画の話題を両側から熱く語りかけられるのだろう。)
ご案内:「映画館『ユニヴァースシネマトコヨ』」からステーシーさんが去りました。
ご案内:「映画館『ユニヴァースシネマトコヨ』」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「映画館『ユニヴァースシネマトコヨ』」からニコラスさんが去りました。