2017/08/22 のログ
ご案内:「歓楽街の楽器店」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 夏休み、半ば恒例となったバイトも今週一杯。
来週から、同好会が秋の発表会に向けて色々準備が始まる。
その準備のために…蘭は、バイト後の夕方、今日は図書館ではなく、歓楽街の楽器店に足を運んだのだ。
■美澄 蘭 > 頑張って働いた分で…何とか、自宅練習用の88鍵キーボードを用意する目処がたった。
『せっかくなら連弾も楽しそうだよね』
入部の際に、ピアノ仲間のメンバーから言われた言葉。
ずっと興味を惹かれてはいたのだが、自宅に練習環境がなく、足を引っ張るのが怖くて言い出せなかったのだ。
週末、蘭は彼女にメールで相談をしてみた。
「常世祭で「マ・メール・ロワ」をやりたい」と。「二人で表現を作り上げてみたい」と。
幸い、いい返事が返ってきたので、今日は改めて楽譜の調達である。
…可能ならば、新しい音源も。
■美澄 蘭 > そんなわけで、まず最初に向かうのはピアノ楽譜のコーナーだ。
ラヴェルは人気の作曲家だし、当然楽譜の棚も広い。
「マ・メール・ロワ」にしても、原典のみならずいくつかのアレンジがある。
(…どれがいいかな…良い歳だし、更に簡単にするようなアレンジは違うと思うんだけど)
題材が題材だし、元は子ども向けに書かれた連弾だ。
…それでも、最初に作曲者が想定した子ども達が弾くには難しくて、もう少し長じた子ども達が初演したらしいが。
■美澄 蘭 > 無論、子ども向け連弾とはいえそこにはラヴェルらしい響きの構築があるわけで。
そういうのを知性によって分析して緻密に表現することに、意味はあると蘭は信じている。
…一方で、初演の子ども達の「子どもらしい演奏」をラヴェルが手紙にて讃えたという逸話も有名だ。
「大人になりたい」と、より強く望むようになった今、あえてこの曲に挑むこと。挑みたいと思ったこと。
そこに何か、まだ自覚出来ない意味が自分の中にあるのだと、蘭は根拠薄弱ながら、確信していた。
■美澄 蘭 > そうして、蘭はいくつかの楽譜のグレードを確認して結局原典版を選び。
そして、「ラヴェル弾き」として著名なピアニストのペアで演奏された未知の音源を見つけて購入し。
期待と楽しみと…ほんの少しの不安に揺れる光を瞳に宿して、蘭は楽器店を後にし、早足で帰宅したのだった。
ご案内:「歓楽街の楽器店」から美澄 蘭さんが去りました。