2017/10/09 のログ
ご案内:「学生街路地の喫茶店」にセシルさんが現れました。
ご案内:「学生街路地の喫茶店」に龍宮 鋼さんが現れました。
セシル > 平日の午後。陽が落ちるのが早くなるこの季節、レトロな雰囲気の喫茶店は陰を濃くしている。
メインストリートから少し外れたこんな喫茶店を、よくも見つけたものである。
確かに、わざわざ平日にこんな店に入ってくる学生はいないだろう。今も、店内にいる客は2人だけだった。

「わざわざ呼び立ててしまってすまないな」

苦笑いを浮かべる長身の人物…セシルの顔に陰が以前より濃く差すのは、店の雰囲気のせいか、それとも。

龍宮 鋼 >  
いや別にどォってことねェよ。

(済まなさそうに言う彼女へひらと手を振って答える。
 気を使うとか顔色を伺うとか言った事は殆どしない自分であるが、それでも彼女の雰囲気が違うのはなんとなくわかる。)

つーか風紀サマが頼るンならもっと別のヤツの方が良かったんじゃねェの。
今更だけどよ。

(不良である自分に風紀委員たる彼女が頼ると言うのも、よそから見ればおかしな話ではあるだろう。
 彼女のことだ、きっと自分でなければならない理由があるのだろうけれど。)

セシル > 「………ありがとう」

大雑把過ぎるほどに鷹揚に受け止めてもらえて、柔らかく笑む。
しかし、その表情の作り方は、どこか弱々しい。
そして、「何故自分なのか」を確認するような鋼の問いに、その表情が困惑の色を濃くする。

「…その…何だろう、漠然とした不安のようなものも大きいからな。
「同僚」よりは、「友人」であるハガネに聞いて欲しかったんだ」

そこまで言ってから、一つ息を吐いて…注文したオリジナルブレンドのコーヒーを少しすする。
コーヒーのカップを置いて…

「………。
…「将来への積み重ね」を、どう考えるべきか…悩んでいる」

迷いに迷った末に、躊躇いがちに出てきた言葉は、語彙がやたら硬かった。

龍宮 鋼 >  
ふーん。

(軽く流す。
 漠然な不安と言うのはまぁわからなくはない。
 ともあれ何を相談されるか聞かないことにはどうしようもない、と、同じくコーヒーをすすり、)

――あ?
ちょい待て、話の筋が見えねェぞ。

(将来への詰み重ねと言うのがどういったことなのかさっぱりわからない。
 何かの努力の話なのか、それとも貯金をしていなかったところに急な出費が嵩んで今金がないということなのか。)

セシル > 「ああ…すまん。
どこからどう話すべきか…いざこうして見ると、なかなか踏ん切りがつかなくて」

少し目を泳がせて…また、息を一つ吐く。
その後、覚悟したように唇を結ぶが…次に零れたのは、困ったような苦笑いだった。

「………やはり、全部話さないとどうにもならんな」

「失望されたくはなかったんだが」と、零す。

龍宮 鋼 >  
(背もたれに上半身を預けて脚を組みなおし、コーヒーカップをテーブルへ戻す。
 そのまま小さなため息を一つ。)

別に話したくねェ事を無理に話せとは言わねェけどよ。
それで失望するかどうかは俺が決める事だろ。

(睨む。
 ケンカをするときのような怒りの表情ではなく、どこか寂しそうな目。)

セシル > 「………いや、話すよ。
せっかくハガネが私に向き合ってくれたんだから。逃げるわけにはいかない」

睨まれたことで、セシルは寧ろ安心したようだった。
また一つ息を吐くが…幾分、重苦しさは抜けている。

「………「友人」との約束に応える…そのつもりで、励んできたつもりだった。
現場に出て、救い上げる力をつけるべく魔術も研鑽し…この世界での最低限の教養を身につけたら、卒業までの単位は委員会活動で取得するつもりでいたんだ。
そのために、今年は講義も可能な範囲で詰め込んで」

特に言葉にはしていないが、セシルの体つきを見れば、セシルが剣術や基礎体力の鍛錬も怠っていないことが鋼には伺えるだろう。
言葉にした範囲の、努力をした上で。

「………魔術の勉強に、少し詰まって…うっかり立ち止まった時に、つい考えてしまったんだ。
そうして、全力で走って学園生活を送って………それが終わった後、私の手元には、何が残っているんだろうと。
…私は、どの世界で生きていけばいいんだろうと」

そこまで話して…セシルは、またコーヒーに口を付けた。

龍宮 鋼 >  
(友人の言葉に耳を傾ける。
 コーヒーには手を付けず、彼女の目をまっすぐに見て。
 最後まで聞いてもう一度――今度は呆れたようにため息を吐く。)

アホかよ。
こんな不良との約束マジで守ろうとする風紀がどこにいやがんだ。

(心の底から呆れたように。
 コーヒーを一口。)

約束守ろうとしてくれんのは嬉しいけどよ。
まず自分優先だろうが。
不良の俺が言うのもなんだけどな、授業も私生活も最低限であと全部風紀にぶっこむとかオマエホントバカじゃねェの。
バカじゃねェのっっつーかバカだろ。
このバカ。

(トントン、とテーブルを指で叩きながらバカバカと繰り返して。)

どの世界で生きていけば良いって、オマエが生きたい世界で生きてきゃ良いんだろうが。
オマエはこっちが良いのかあっちが良いのか、どっちだ。

セシル > 「………。」

「相手が不良だからと、約束を蔑ろにする風紀委員もそれはそれでどうかと思う」なんて口を、挟める雰囲気ではなかった。
というか、当たり前のように「まず自分優先だろうが」「オマエが生きたい世界で生きてきゃ良い」と言われて、目を丸くしてしまっている。

「………やはり、そこからだよな」

やがて、ぽつりとそう零すセシルは、気まずそうに視線を泳がせていた。

龍宮 鋼 >  
なんだ、決まってねェのか。

(「そこから」と言う言葉を「生きたい世界が決まっていない」と捉える。
 コーヒーを飲み干し、店員にお代わりの注文と、ついでにホットサンドなどを注文。)

セシル > 「………故郷にいた頃は、生きていくための選択肢などなきに等しかったからな。
急に世界が広がって、その上で生き方を考えろと言われても………よく分からんのが正直なところだ」

コーヒーカップを持ち上げて、苦笑い。

「………正直、この世界に根を張ることに対する、罪悪感もあるしな」

そこまで言って、こちらもコーヒーを飲み干し…鋼のお代わりのコーヒーが来たところで、こちらも同じくコーヒーのお代わり…こちらはコーヒーだけだが…を注文。

龍宮 鋼 >  
だったらそれ決めりゃ良いんじゃねェの。

(どうすれば良いかはそれからまた改めて決めれば良い。
 あっさりとそういった意味の言葉を彼女へ。)

そもそもな、どうやって生きようとか、何になろうとか。
そんなん考えながら生きてるやつなんてそうそういねーんだよ。
せいぜい今日何しようとかガッコ終わったらどこ行こうとかその程度だ。
そっちじゃどうかしらねーが、こっちゃそんなもんなんだよ。

(郷に入ったら郷に入れだ、と、届いたホットサンドを一口で半分ほど齧る。
 もう一口で全て口に詰め込んで、コーヒーで流し込んだ。)

セシル > 「………簡単に言ってくれるな…」

目の前の相手が、自分には想像出来ない苦闘の日々を超えて今を生きていることは知っているが、セシルは額を手で押さえるのを堪えることが出来なかった。
セシルの人となりを知らない者が見れば「苦悩に表情を翳らせる眉目秀麗の王子様」かもしれないが、鋼の前でそんなメッキは何ら意味をなさないだろう。

「………学業と将来の職種には、それなりの関係はあると思うがなぁ…そういうものか………?」

そうぶつぶつ呟いていると、セシルの分のお代わりのコーヒーがやってきたので、「ああ、すみません」と、額を押さえていた手を離して店員と接するセシル。

龍宮 鋼 >  
簡単にっつったって、じゃあそれ後回しにしたところでオマエの悩みが解決するわけでもねェだろうがよ。

(むしろそれを決めなければ先に進まないように思える。
 先延ばしにすればするほど彼女が悩む時間は増えるだろう。)

まぁそりゃな。
つっても大抵の仕事は頭の良さよりやって慣れて覚える方がはえェ。
学生時代のお勉強が大事な仕事就きてェヤツはやってるけど、そうじゃねェヤツの殆どが学校は遊ぶとこだと思ってんだろ。
世の中な、頭の良いヤツがバカ動かすことで回ってんだ。

(もう一つのホットサンドをやはり二口で食べながら。
 四切れあるホットサンドの二切れを既に胃袋に収めている。
 三つ目を手にしたところで、彼女へ要るかと聞くように掲げて見せた。)

セシル > 「………実際、「やるべきこと」「やらなければならないこと」にかまけて考えないできた結果が今だとは思うよ」

ぐっと口を不規則な形に歪めるが、指摘されれば、そこは認めるしかなかった。

「…慣れて覚える方が、なぁ…」

セシル自身、どちらかといえば身体を使う方が好きだとは思う。そのおかげで魔術には苦労しているし。
ふーむ、と考えていると、鋼がホットサンドをあえてこちらの方に見せてくる。
その意図が、全く伺えないセシルではない。

「………せっかくだし、一切れ頂くよ。コーヒーばかりでも胃が荒れそうだ」

そう言って、こちらも手を鋼の方に伸ばした。

龍宮 鋼 >  
約束したからっつってそれで悩まれちゃ、こっちだって良い気分じゃねェからな。

(約束でそうなってしまうのであれば、それはもはや呪いだ。
 そういった魔術的な類のものは専門外である。)

世の中バカの方が多いんだよ。

(彼女はどちらかと言えば人を動かす側だとは思うが。
 伸ばされた手は無視し、身を乗り出してホットサンドを彼女の目の前に。
 ニヤニヤしながらそれを一度軽く振る。)

セシル > 「………かえって重荷になってしまったかな。すまん」

「良い気分じゃない」と言われて、苦笑いながらも素直に頭を下げる。
セシルの方も「呪い」になる類の約束を抱えていないわけではないが、それは故郷の…ここではない世界での話だ。

「…それを積極的に否定する気はないが………何のつもりだ?」

ニヤニヤする鋼の様子に、すっと鋭く目を細めて、差し出した手をどうとでも動かせるように構える。
適当な動かし方をすれば、鋼の手ごとホットサンドを捉まえてしまうつもりだろう。

龍宮 鋼 >  
良いって。

(一人で抱え込まないのであればまだ約束だ。
 それなら、良い。)

いや別に?
食えよ、冷めるぞ。

(顔をニヤつかせたまま。
 取られるのであれば抵抗もしないが。)

セシル > 「…まあ、もう少し勉強は大事にするよ。
手近なところで将来を考えるならば、しておくに越したことはなさそうだから」

まだ、決めているわけではないけれど…もし、この世界に根を張るのならば、勉強をしておくに越したことはないだろうとセシルは考えていた。
島に残るならば一番確実な身分は学園の教師だし…島の外の社会のあり方、あるいは言葉のあり方を考えても、勉強しないわけにはいかないだろうから。

「………ありがとう」

しばし、思うところあるのか微妙な顔をしたが…最後には、その微妙な顔の口元を綻ばせて、鋼の手からホットサンドをもぎ取った。

龍宮 鋼 >  
おう、そうしろ。
勉強はちゃんとしとけ。

(むしろそう言われてしかるべきなのは自身だろう。
 なんせそれこそ単位ギリギリを計算して、それ以外は全ブッチなのだから。
 偉そうである。)

ッハ、どういたしまして。

(もぎ取った彼女へおかしそうな笑顔を向けて。
 残った一つを掴み取り、やはり一口で半分ほど豪快に。)

セシル > 「流石に試験前は委員会より優先させてもらっているよ。
…理数科の科目で、少し無理な履修をしてしまったものだから」

ははは、とうっすら困ったように、それでも朗らかに笑いながらコーヒーのお代わりをすする。
単位のギリギリ加減までいちいち承知していないので、無駄に偉そうなのを指摘したりはしない。

「…たまには、こういう時間の使い方も悪くないな」

そう…今度は陰のない朗らかさで笑って、無理して大口を開けない形で、ホットサンドにかじりついた。
一般的にはちびちびしているというほどではないが、まあお行儀はいい。

龍宮 鋼 >  
(もりもりとあっという間に平らげ、コーヒーで流し込む。
 流石に脚を椅子やテーブルの上には乗せないが、彼女よりよほど粗雑で行儀が悪い。)

――まぁしかしなんだ。
魔術の勉強に詰まってるっつってたけど、そっちァ力になれそうにねェなぁ。

(そちらの方はからっきしだ。
 友人の力になりたいのは山々なのだが、無理なものは無理だ。
 そっち方面の友人も――一人心当たりはいるが、紹介はしたくない。)

セシル > 鋼とは対照的に、こちらは静かに、自然なペースで食べ、飲む。
会話を優先する場では、急がない性質なのだろう。

「いや、いいよ。約束した「友人」から自分優先だと言われたんだ。
焦らず積み重ねることにするよ。必要なことは教師に助言を求めてもいるし」

「その気持ちだけで嬉しいよ」と付け足して、コーヒーをすすり…

「…今日は、話せて良かった。ありがとう」

そう言って、穏やかに笑んだ。

龍宮 鋼 >  
了解。
一応俺の方でも当て無ェか探しとくよ。
「ダチ」だからな。

(それでも友人なのだから力になりたいのは当たり前だろう。
 ヒラ、と手を振ってコーヒーを飲み干す。)

おー、またいつでも頼ってくれや。
頭撫でる程度ならしてやっからよ。

(そう言って、悪戯っ子の様にニヤリと笑う。)

セシル > 「…ありがとう。
もし、私の方でもハガネの力になれることがあったら言って欲しい。
出来る限り、力になるよ」

「私のような相談は、そうは無いかもしれんが」と、こちらも軽く笑うが…

「………よほど落ち込んだ時には、もしかしたら頼むかもしれん」

悪戯っ子の笑みでからかわれれば、そこに苦みが混じった。