2018/05/24 のログ
ご案内:「教室棟情報処理室」にセシルさんが現れました。
セシル > 「うー…。」

放課後、情報処理室のモニターの1つの前。
椅子に座って向き合う中性的な容姿の持ち主の口から、あまりらしくない渋い声が漏れる。
横に引き結ばれながらも苦々しさにわずかに歪んだ唇の形は、その人物に溜まるフラストレーションをこれでもかと表現していた。
入力をしているその手元には、やや薄く軽い筆跡とはいえ、まとまった文章が書かれている紙。

セシル > (ここへ来て逃げられなくなるのだったら、委員会の報告書なり何なりで慣れておくべきだったな…)

色んな背景を持つ者が集まるこの学園都市。
不便がないように色々なあり方が許容されるので、セシルは今まで可能な限り、この手の電子機器の扱いから逃げて来た。
「友人」との連絡のために携帯端末こそ入手したが、電子計算機で作成するレポートや課題が必須になっている講義は可能な限り避けて来た。
…の、だが。

目標のために必要な講義のレポートは、流石に逃げられなかった。

セシル > (入力そのものは、携帯端末より幾分分かりやすいが…)

覚束ない手先が入力機器を操作する。
慣れない作業をしながら文面を考えたりなど出来るはずもないので、前もってレポートの中身は考えておいた。後はそれを入力するだけなのだが…

「………ぐぅ………」

遅々として捗らない作業に、苦悶の声が漏れた。

セシル > 「………あっ」

唐突に、セシルが詰まった声を上げる。
…苦労しながら入力を続けていたのだが、手元が狂って誤入力してしまったのだ。
魂の抜けたような表情から、セシルの心の折れる音を聞き取るのは容易だっただろう。

「………期日はもう少し先だし、続きはまた明日にしよう…」

間違ったところだけを削って、途中まで書いたレポートを記憶媒体に保存して。
セシルは、失意に肩を落として情報処理室を後にしたのだった。

ご案内:「教室棟情報処理室」からセシルさんが去りました。