2018/08/16 のログ
ご案内:「美澄 蘭のアパート」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 「はい…それで、異能と魔術の制御試験を前倒ししたいんです。
………そうですね、常世祭の準備が本格的になる前でいいので、はい」

8月のある日。蘭は筆記用具を片手に携帯端末で通話をしていた。
相手は、学園の教務課のようである。

「はい…講義の方は今のところ大きな問題もないですし、単位も足りるとは思いますから」

美澄 蘭 > 「…あ、ありがとうございます。
それじゃあ、それまでに魔術と異能のレポートをまとめておきますね。
…はい、実技の方も復習しておきます。

それでは、失礼します。ありがとうございました」

蘭の相談は無事通ったらしい。安堵に声のトーンを明るくし、口元を緩めながら蘭は通話を終わらせた。

今年、蘭は4年生である。必要な単位を取得して、異能や魔術の制御制度が認められれば卒業になる学年だ。
蘭も、卒業後の進路を思い描いてはいて…そのための試験と学園卒業のための試験が重ならないように、調整の相談をしていたところだったのである。

美澄 蘭 > (…本当に、周りに恵まれてたわね)

頼りになる先生にもいっぱい会えた。
様々なルーツを抱えた人々のるつぼの中では、蘭は蘭自身としてやりたいことを追求しても特に疎まれたりはしなかった。
その中で将来への目標も出来たし、きっと「あちら」に戻っても戦える。立ち向かえる。
心残りは…。

美澄 蘭 > (結局、もらってばっかりだったわね…「子ども」だから、しょうがないのかもしれないけど)

もらってばっかりのものを、何らかの形で還元出来る人間になる。蘭にとって、「大人になる」とはそういうことだった。
蘭に出来ること。やってみたいこと。それらを総合して浮かび上がった形を「目標」に定めて。

そして、そのために、蘭はこの学園を出る。

(…もらうだけもらって、置いていってしまうの?)

そんな中で気がかりであり続けているのは、プライベートのこと。もっと言えば、「恋人」とのことだった。

美澄 蘭 > 年上だからというのもあるかもしれないけれど、必要なときには先に導き、必要なときには見守ってくれていると感じさせてくれた。
おまけに、島を出ても関係は終わらないのだと、語ってくれた。
その安心感に見合うような何かを、自分は与える事が出来ただろうか?

『色々、あるんよ。』

そんな風に語った言葉。その前後に見せた、複雑な笑み。
寧ろ、重荷になっていやしなかっただろうか。

美澄 蘭 > (…怖いけど…確かめるなら、今のうち、よね)

卒業に向けた準備。将来のための…大学入試の準備。
これから自分の忙しさは増えることこそあれ減ることはない。
じっくり話せる機会が、どれだけ取れるか、分からない。

蘭は、先ほどまで通話に使っていた携帯端末を再び手にとった。連絡先は…。

ご案内:「美澄 蘭のアパート」から美澄 蘭さんが去りました。