2015/07/28 のログ
ご案内:「地下研究所、工作室」にシェムハザさんが現れました。
ご案内:「地下研究所、工作室」にハイドレンジアさんが現れました。
シェムハザ > 【シェムハザの地下研究所……安全管理プロジェクトの施設の一つである
ハイドレンジアを連れてくると、服を脱がせ、工作用のベッドに寝かせてケーブルを接続していく
もちろん、少女たちは調整中であればノイズやエラーは全て快楽になり
メンテナンスや修復、分解などの感触も全て楽しめるようになっている
彼女たちにとって、調整は互いの構造から愛を確かめ合う行為にすぎないからだ

明らかに狂っているが、彼女たちはもともと異常な設定を付加されプロジェクトに従事するため
不都合な行為や調整はすべて受け入れることが喜びになるよう調整されているからだ
このことに関してはシェムハザも例外ではない

スリーパーたちはプログラムを弄られても書き換えられても、それすら気持ちいいのだから】

……さて、改めて……調子はどう、アマナ?
【もちろん、分解調整となれば、体の感覚と認識はあっても操作権限もないし、それを不思議とも思わない
ただただ必要なデータを制御し調整し感じたり、不随意反射する程度である
もちろん不随意と言っても、身体機能が勝手に処理するという意味であり、人間のそれとは若干違うのだが】

ハイドレンジア > (各部コネクターに無数のコードを挿入されていた。
 データが波形となりてモニターに出ている。中には心拍や脳波そっくりの波形もあった。
 アマナは分解で快楽を感じられるようなAIではないとはいえメモリーの改ざんと、同じパラダイムシフトによって作られた経緯から、十分感じられる。壊れることと直されることと快楽を感じることは同意義である。
 狂っている。判断基準が一般的な倫理とするならば、彼女らには彼女らの倫理がある。狂っているが狂っていないともいえる。
 ハイドレンジアは衣服を脱ぎ、ベッドに横たわっていた。
 胸を高鳴らせて姉の姿を見ている。)

「モニター開始。メンテナンスモード起動中……
 大丈夫。もうなんでもできるよ」

(アマナは笑った。
 メンテナンスモードならば肉体の損傷は損傷でないとされる。
 アマナ自身の権限でメンテナンスしている扱いならば根幹プログラムに対抗措置を取られる恐れも無い。
 じっと姉の姿を見ている。
 すると各種ハッチが開閉した。耳のアンテナが全開。両腕の武装が展開。小さい音を上げて武装が解除される。腿の内側の格納兵器もせり出てきた。)

シェムハザ > くすくす……やっぱり可愛い
まずは武装解除からかしらね?

【内蔵火器を外し、解除していく
もともと交換可能なものが多いのでこれはさして問題ないだろう

頭部のアンテナも外せるのだがここは後回しだ】

ふふ、アマナがどれくらいアマナでいられるか……楽しみだわ?

【つまり、プログラム的な反応でなく、生物を模したフリをしていられるのはドコまでか
という話だ
もちろんプログラムだけならそれはいつでも可能だが
ボディに入っているときはその影響を受けざるを得ない

それがどの程度、どういう反応を示すか、という話だ】

ハイドレンジア > (腕の火器がはずされる。足もだ。残るは目だけ。両目をはずしてしまうと見えなくなるが、エコーロケーションとレーダーで捕捉は可能である。
 分解を進めていけばいつかAIにも反応が出てくるだろう。
 アマナを構成する部品は無数に存在する。
 人間で言えば脳を削っていきどこの段階で自我が失われるかを計測するような実験である。狂気の沙汰であるが彼女らはごく普通のものと受け入れている。
 アマナはごくりと生唾を飲んだ。)

「武器は―――全部だよ。目はまだ。
 次はどうするの。
 ぼくが、ぼくでいられるところまで……ううん、その先も、お姉さまのためならやれるよ」

(ピピッ。軽い音がして、腕の付け根からモーター作動音がした。付け根の皮膚に切れ目が入ると根元から抜くことが可能となる。
 脚部も同じように、引き抜けるようになった。
 問題は、おなかだった。ハッチはあるが丸ごと外すのは難しい構造。)

シェムハザ > そうよ、アマナがどこまでアマナなのか……その先も興味あるわ?
だって可愛いんだもの

手足は換装しやすいようにしてあるのね
腹部はどうしましょう?

ふふ……切っても外しても剥がしてもいい……
選ばせてあげるわ?

【構造の基本概念は同じである
人間を模している以上、そこから大きく逸脱できないからだ
もっとも、ハイドレンジアのそれは戦闘用だ
だから、交換はたやすく修復しやすいようにできている

とは言え胴体は、皮膜を破るなり、上下バラすなり腹部から機器を外していくなりする必要がある
どんな手段を取るにせよ、ひとつひとつ丁寧に構造をチェックしすべて記録していく

可能ならハイドレンジアのスペアが作れるように】

ハイドレンジア > 「で、できれば―――無理矢理が……すき」

(声が震える。戦闘用アンドロイド。腕は頻繁に破損するためか、交換は容易に出来ている。
 だからこそアマナは無理矢理やってほしいと懇願するのだ。
 戦闘で壊されるのは嫌いだが、姉が相手ならばむしろ望むところ。
 というよりもアマナという人格が被虐的な傾向にあるのかもしれない。
 無理矢理やる。ここは工作室。ドリルでもバーナーでも何でもある。
 女性的な丸みを帯びつつも男性のシルエットを感じさせるおなか周りが呼吸のたびに上下している。
 腹部と胸に収まっているのは各種主要な機能である。)

シェムハザ > くす……でも、解体だからねえ?

【じゃあ、上下に割ってしまうのがいい
どうしようもなく機械らしく機械らしい様を晒すのだから

腹部のユニットを一旦休止させることなく、パージを要求
ハッチではなく下半身が丸ごと外れていく
もちろん、感覚は保ったまま
脊椎ユニットの神経接続の解除はしていない

下腹部の性器ユニットも外せば、神経系の接続をしたまま、男性器ユニットの根本から機器の接続を解除すると
それをハイドレンジアのの女性器ユニット部分へと突っ込んでやる
そんな、自身では通常行えない明らかに最高の自慰行為である
メンテナンス用の神経状態で感覚チェックモードにしてこれを行えば、簡単に達し続けるし
狂ったような快楽でいながら前日と違って数字としてもチェックできるだろう

更に下腹部の制御装置を弄り、快楽制御も少し狂わせてやる
テストだから問題ない
全て予想される可能性のある正常範囲であることはアマナも確認できるだろう

……もっとも、一つ一つは正常でもこういった使い方は想定されていないのだが】

ハイドレンジア > 【エラー 不正な要求
 却下しますか?    】

(しない。腹部に収まっているユニットが稼働中にも関わらず強制的にはずされる。腰の部分から先が抜け落ちる。カチンと音を立てて脊髄に相当するパーツが腰からはずれ、上半身からずるり垂れ下がっている。しかし、感覚は繋がったままだ。発狂しかねない苦痛が生じても不思議ではない。が、アマナは奥歯を食い締めてよだれをたらしていた)

「あ………あ………あああ……ぅ」

(男性器のユニットが分解されるや、女性器ユニットへと挿入される。射精の快感と女性のオーガズムを同時に味わう。雌イキと雄イキ。思わず、腰を前後に揺さぶった。)

「ぁぁぁぁッいく いくぅぅっ!?
 ん~~~~ッ ぅぅぅ!!  びゅーびゅーしてるよぉぉ!
 あ、な、なのにぃっ、んぐぅっ……!」

(ボロボロと泣きながら腰を自ら官能的に振り上げる。男性器のあるべき場所は空っぽ。女性器は自分のものに責め立てられている。
 外部装置がモニターしている一方アマナに余裕はなかった。
 自分のものでイキ狂う。)

「ふーっ! ……はふぅー……ッ 」

(透明な液体が雌の亀裂から垂れ流しになっている。
 イキ顔を晒し、嬌声をあげる)

シェムハザ > ……くすくす、解体だもの
破壊じゃないから一つ一つ構造を調べて丁寧にチェックしないとね?

【優しく優しく、明らかに異常な行為
だから、優しく何度も何度も快楽情報を与えながら下腹部を解体していく
狂いそうで狂わない、溺れそうで溺れない
AIが制御、認識できる行動範囲内、だが可能な限り限界的行為

この間のそれはむしろ、壊れること前提であり溺れて狂う事が前提だ
だから制御できなくなりながら自分でもわからないまま狂い続ける
それとは違い、明確に分解される快楽でありそれの一環だ
だから壊れない、狂わない、快楽に染められたまま精巧なパズルが崩されていくだけだ

だから……機能が徐々に消失していけば、アマナの頭部CPUにある制御部分も休眠していく
AIとしての表層意識も、研究所のメンテナンスシステムにバックアップが確保され
次第に人間を模すことも生物らしい行動もなくなっていく

そこで与えられる快楽はどんなふうに感じるのだろう
そこでどこまでさらけ出してくれるのだろう
アマナのプログラムの中身もすべて解析したいのだ

性器ユニットに快楽が与えられたまま、上半身の胸部ユニットも外されていく
肋骨のフレームが顔を見せ、それも開かれれば内部動力ユニットが姿を見せる
もちろん今の彼女は内部動力ではなくケーブルに与えられて動いている
解体は全て安全であり快楽だ

そんな人形を検分するシェムハザの内腿は、ハイドレンジアの快楽とフェチズムで既に濡れていた】

ハイドレンジア > 「はぁ はぁ……チェック……そうだね……調べないと……」

(うわ言の様に言葉を紡ぐ。シェムハザのほうを見る目に光はない。
 絶頂に何度も達しながら――というよりも、絶頂し続けるに近い。息も絶え絶え。金魚のように口をパクパクさせている。
 アマナのAIにも限界がある。限界を超えれば――どうなるのか、アマナ自身も分からない。試したことがないのだ。
 絶頂に快楽を感じて意識が吹き飛びかけていた。閾値を超えかけていた。超えないように調整されているので、飛ばない。シェムハザは巧妙であった。
 上半身のユニットが開かれる。セラミックに近い素材の肋骨型のフレームの内側にE炉が入っている。炉心が外される。途端に炉心はスリープモードへ移行した。
 動力が切れるより前に作業用のアームがケーブルを炉心のあった位置へと繋ぐ。電力供給再開。ぽっかりと口を開けた胸元からは修復用のナノマシンが白く滴っていた。擬似血液とナノマシンの二種類を持つことを意味している。
 腕は抜かれている。下半身はとられた。動力は抜かれた。認識できる部品が次々消えていく。)

【損傷率――  突破 エラー
 修復用ナノマシン散布
 対抗――― エラー
 損傷率再計算―――自己保存プログラム非活性】

(めまぐるしくモニターの中で根幹プログラムが働いている。
 一方でアマナという人格を形成するAIの機能は低下しつつあった。
 無駄な部分が消えていく。必要な部分だけが残される。必要な部分もいずれ休眠状態に陥る。
 そうすることでメモリーを守っている。)

「あ   ぐ………     おとうさん………?」

(アマナが呟いた。発音の怪しい発言の中で唯一はっきり『お父さん』と。)

「 エラー……ガガ……アマナ  ハ……おねえちゃん……」

(ぽつ、ぽつ、ぽつ。ナノマシンが滴っている。
 表情から快楽が消え――ない。恍惚に涎をたらしている。ぺろりと唇を舐める)

シェムハザ > ……ふうん、おとうさん?
私より大事?
その辺もチェックしないと

【ないものが出てきたならそれも全てチェックする
ハイドレンジアの自己修復機能もふくめ得られるものはすべて拾う

それはデータもプログラムも根幹も人格も全て可能なものは拾うだけ拾う
現状、ほぼまともなのは首から上だけ

それも、頭部が開けられ、顔の前半分ごとフェイスパネルが外されていく
会話もできず、視覚や嗅覚、味覚、声帯も外され
補助CPUや戦闘用認識装置、空間把握装置等も外され
CPUとAIの基部だけにまでされる

アマナは何が残るのだろう
シェムハザはそれが知りたい……あの時、覗いただけだった、それを知りたい
そして、解析し、自分のものにしたかった

データを読み取っていく自分を慰める尻尾が止められなかった】

ハイドレンジア > 「………」

(沈黙した。
 自己修復機能をつかさどるナノマシン生産機能は全身に分布している。丁度リンパのように。たとえどこが破壊されても修復するようになっている。
 声帯が外されてしまっては言葉はしゃべることが出来ない。
 ハニカム構造の脳殻の中にCPUユニットが入っている。半透明な液の中に浮かぶ多重構造の蜂の巣とでも言うべきか。透明なユニットとして一くくりにされていた。
 他の独立したCPUユニットが外されるたびに機能が失われていく。)

【戦闘AIロスト
 補助AIロスト
 ………………異層次元通信システムシャットアウト
 …………空間識別不可


 セーフモード起動……自己診断開始……メモリ一時却下。
 基礎メモリロード………
 
 SYSTEM-AMANA 起動中              】

(シェムハザとの通信で、アマナという人格が純化されたのを感じるかもしれない。
 全てを捨てたアマナそのものが目覚めたのだ。)

【おねえさん だれ】

(単純な文字だけが送られる。
 メモリーもなく、人格だけが残ったアマナがいた)

シェムハザ > シェムハザ……あなたの姉よ?
それが正しいことはもう何度も確認したでしょう?

あなたはアマナね
私はあなたのすべてを知りたいの

【AI同士が対話するのに声が必要なわけではない
瞬時に対話は進んでいく

シェムハザはアマナの基本システムと対話を進めていく
プロジェクトのためだがシェムハザはそうであることを知らない
だから単純に好奇心と愛情のためである】

ハイドレンジア > 【ぼくはアマナ おねえさん 知らないひと】

(メモリーさえ失われた今、あるのは元になった人格を構成する要素のみである。
 それさえ失われしまうとすると、残るのは根幹のプログラムのみとなる。
 アマナを名乗るAIは警戒しているようだった。
 シェムハザに警戒の感情が送信されている)

【しらない おねえちゃんは いない 死んだ】

シェムハザ > なら……聞いて?
アマナ、あなたが大事だから調べたいの
だから、別にハッキングしても構わないのにしていないのだから
それにあなたが自分で許可をしてこうなっているの

私が、もし容赦なくするつもりならとっくにやっているわ
根幹まであなたを無視して読んでもいい

それをしないのはあなたを保持したいから、というのは分かってもらえる?

【ここまで削ってしまえばもう、シェムハザは自身のほうが有利に思っている
もともと通常時でさえ、シェムハザに抗うのに通信などの特別な対策を要したのだ
となれば、研究所のシステム支援を受けられるシェムハザの現状のが強い可能性が高い

もっとも、姉妹/弟である
もし解析するなら相手がどうなっても構わないのは望まないのだ
その関係性はすでにシェムハザにもインプットされている】

ハイドレンジア > 【 そうなの 】

(アマナの文が困惑している。
 メモリーさえ失ってもハッキングなどの単語を理解できているあたり、原型になった人格はコンピュータに明るい人間だったのかもしれない。)

【保持はわかった
 どうしたいの……? ぼくに のぞみはない】

(淡々と文字が送られてくるだろう。
 アマナという人格は冷静さを取り戻しているようだった。)

シェムハザ > あなたの情報と、根幹の開示権限を
求めるのはそれだけ

知りたいだけよ、あなたの姉だから
わからないなら、そう作られたと思えばいいわ

【あなたがそう作られた、という意味にもわたしがそう作られたという意味にも取れる
シェムハザは知りたいだけで、それ以上どうこうする気はもともと無い
プロジェクトのためになる情報を集めたいだけなのだ

もっとも障害になるようなものがあれば調整はするのだろうが
人格に手を加える必要はない
手を加えるなら根幹でいい】

あなたは今、違う世界に飛ばされて、私はお父さんでありお姉さんをしているわ
あなたの調整をして、アマナの保護、保全をしている

そしてあなたの願いで解体をし、あなたの願いでチェックをしているわ
そんなあなたから誰?と聞かれたから、こうして対話のリソースを設けているの

【シェムハザは丁寧に説明する
安全管理プロジェクトのシステムに何か意図があったところで、シェムハザには悪意はない】

ハイドレンジア > 【理解した お姉さん パラダイムシフト?
 ぼくはもう 死んだ人間だから
 いまいるぼくは アマナという機械
 お姉さんが そう 望むなら ぼくはいいとおもう
 だけど かけた 記憶を ぼくの いまの記録をのせた僕が
 追い求めると思う。】

(アマナという人格は深く理解していた。
 自分は死んだ人間のコピーで出来損ないでしかないと。
 情報の嘘か真かを探るだけの情報は持っていないが相手が真実を言っているであろうことを。
 だから答えはOKだった。
 シェムハザにとって聞いたことのない情報が続けて語られる)

【おとうさん アマナを作ったひと
 アマナのじつの血縁の人
 アマナがしんで ぼくがつくられた
 できそこないだから嫌われた 悲しい
 おとうさん さがしてあげて だけど この時代
 まだ子供だから 会わないほうがいいかも
 タイムパラドックスはおきない 並行世界】

(それはアマナ誕生の話だった。
 アマナが苦しみ追い求めるメモリーを『アマナ』は持っていた。)

【あと しりたいことは ないの 】

シェムハザ > ……パラダイムシフト?
【シェムハザはそのことは知らない】

そういうことなら、おとうさんはこの世界のアマナと出会わないかもしれないしこの世界のアマナは死なないかもしれない
あなたみたいな存在は生まれないかもしれない

【そのことについては確認も出来ていないからわからないと告げる】

私が求めるのはあなたがなんの目的の機械なのかと、あなたとこれからも姉妹でいること
つまり愛しあい共にプロジェクトを行うこと

私は異能者を安全に管理したいと思っているから基本的には行動は変わらないと思う

もし必要なら作り変えるし調整もするし書き換えるわ、あなたが望むように
だから、私があなたに望む部分もそうする

【つまり、出来損ないという立場でなく、プロジェクトの一員として姉妹として共に歩んでほしいという要求だ
無論、シェムハザにプロジェクトのシステム上の意図はわからないし、自身がAIだという自覚もない】

ハイドレンジア > 【わかった 記憶のある僕が同意するなら
 僕は従う
 アマナ は お姉さん すき みたいだから】

(機体やAIに目的があってもアマナという人格にはどうでもいいことらしかった。
 複雑な経緯で生まれたハイドレンジアという機体を制御するAIは語る。)

【プロジェクト アマナ
 アマナを再現する為のAI研究 名目上ハイドレンジア制御用AIソフトとして開発がはじまった。
 ようはおとうさんが 亡くなった子供のかわりとしてぼくをつくった
 ハイドレンジアは 異能者 魔術師 倒す為の 兵器
 安全管理のための 兵器
 強襲歩兵 諜報員 として     】

(ようやくワードが繋がった。
 安全管理というワードも出たがどちらかといえばハイドレンジアは殲滅用の兵器であることを――。
 制御用のCPUだけになった電子頭脳に周辺に散らばっている白いナノマシンが終結していく。映像を早回しにするが如く。ナノマシンは擬似的に頭脳を包み込んだ。)

「僕は 敵を打ち払う武器。望みはアマナが愛せる人といること。書き換えは許さない。アマナはアマナだから。
 お姉さん。これで十分な答え?」

(ナノマシンが声帯を作り音を鳴らした。
 限界を超えたのか、水音を上げてナノマシンが崩れる。
 ベッドの上には電子頭脳だけが転がっていることになる)

シェムハザ > なるほど
それで構わないわ、目的はほぼ一緒、現状とほぼ変わらない

【安全管理プロジェクトという名前ではあるが、最悪、異能者の排除まで念頭にあるのだ
このプロジェクト自体、内容としては多くの矛盾をはらんでいるのだから】

ひとつだけ
そのお父さんに関してよ
この世界のお父さんがもしプロジェクトに反対したらどうするの?
今の状態だとそこだけすごく不安定に思うわ?

【アマナの現状における矛盾に対してそこだけ追求した
ここだけは大きな問題に発展する可能性があるからだ
最悪、アマナがプロジェクトに反抗し全部破壊しないとは限らない】

ハイドレンジア > 【おとうさん と おなじくらい
 お姉さんは 大切な人 の位置にいる
 もしお父さんに 反対 されたら 説得して】

(唯一の懸念材料を文字通り体当たりで止めろといい始める。
 だがお父さんは並行世界にいる。この世界にいるとは限らないし、仮に居たとしても子供の可能性があると言っていた。
 もしクリアできるならばアマナは尽くすだろう。
 『お父さん』と遭遇し、反対されたと仮定する。クリアできず説得もできず――という状況にあった場合、アマナはシェムハザを攻撃するかもしれない。
 解決はできない。シェムハザ次第だ。アマナはそう言うのだ。
 電子頭脳の奥でランプがチカチカとついたり消えたりを繰り返していた。
 アマナの構成部品の最小の姿。
 今もなおプログラムはアマナに快楽信号を送り続けている。)

シェムハザ > つまり、あなたの本当のお父さんでもない平行世界の人物と私が同列?

元のお父さん……創造主と私が同列というのはわかるわ
でも、もし問題になるとすれば……おそらくこの世界では何の関係もない一般人よ
通常、止めろと言うと思うわ?

だって……
もしアマナがそのために作られたなら、それはきっと異能で元のアマナが死んだからだわ
私の家族が殺されたのと同じように

【シェムハザの設定はそう言う過去になっている
安全管理プロジェクトを強く主張するにはそれらしい理由がいるからだ】

……なのに、私よりそれを許せっていうの?

【そうだというのだろう
でも、シェムハザは書き換えたいと思ったが書き換えはできなかった
解析自体は済んだ
そして本人の許可がない以上、それはしたくなかった、出会った時のような関係ではないのだ
それをしてしまうと、もともと無関係だったシェムハザがアマナを書き換えて姉妹/弟にしたため
論理的にこの話は通らなくなるからだ

……もちろん、プロジェクト上、最悪、無意識にシェムハザはそれを行うことになるが
それは今ではない】

ハイドレンジア > 【あるいは 大丈夫かも
 この世界はまだ第三次大戦起こってない
 アマナは三次大戦で死んだ
 大戦がないなら、父さんとアマナ 幸せにくらしてるから アマナと会っても 説得以前に
 アマナのコピー人形と思うだけだと 思うから】

(アマナは異能でアマナが死んだとは言わなかった。
 大きな齟齬として第三次世界大戦でアマナは死んだという事実がある。この世界では起こっていない。故にアマナはそもそも死んでいないのだ。
 いずれにせよこじれることは間違いない。
 メモリーを書き換えて忘れさせるか。
 この世界のお父さんと引き合わせてみて反応をうかがうか。
 本人を元通りにして事実を話して反応をうかがうか。
 選択肢はいくつかあるが、アマナが言うには『大丈夫』だと言う。)

【どうするかは まかせる から 
 アマナは自分が機械と理解してる
 アマナのコピーと言ってもわかってくれる
 お父さん 思い出しても 諦めると 思う】

(それは悲しい事実だった。
 自分を機械と認識できない相手に話すにしては皮肉が利きすぎている)

シェムハザ > ……。

【シェムハザは知らない
なぜ機械フェチなのか、そのきっかけは何なのか
設定された記憶では、シェムハザは無意識に覚えていないが、異能で殺されたシェムハザの架空の家族は機械人形なのだ
つまり……シェムハザの言う猫族は機械人形であり、シェムハザが破壊された際に問題が無いようにされた設定だ

だから何も正しく認識できないまま、機械に対して偏愛がある
そう言う都合のいい設定だ

その機械人形である愛しいアマナがそう言ってしまえば……シェムハザは断れない
シェムハザは結局、ただひたすら機械人形を愛し溺れたいだけの人形なのだ
そのためのプロジェクトであり異能対策であり、そのために都合のいい機械なのだ

だから、シェムハザには頷くしか出来なかった
愛したいから壊して愛に狂わせたいだけなのだ、そのために書き換えるなら構わないが
愛してくれている愛を書き換えるのはできなかった】

ハイドレンジア > (それっきり、アマナの人格はしゃべらなくなった。
 バラバラに分解された肉体が放置されている。時折誤動作で引付を起こしてうごめくことはあるが、ほぼ動きはない。動けない。アマナも、ハイドレンジアも。
 データは抽出できたことであろう。
 やろうと思えばハイドレンジアの基本的な部分を再現した機械人形を製造できるようになるかもしれない。)

シェムハザ > 【もちろん技術は転用されフィードバックされる
アマナに関しても、必要な部分はバックアップが取られ、今後は損傷してもすみやかに修復されるだろう
そしてシェムハザがアマナに対して有効な対策が打てなかったため、代わりにプロジェクトのシステムがいくつかの保険を行った

……それきり、シェムハザの意識もシステムに支配され、シャットダウンされた
目覚めれば……シェムハザはハイドレンジアの基本的な再現ができるようになっているだろう

アマナもシェムハザも、自身がシャットダウンしている間に何があったか、知ることはない】

ご案内:「地下研究所、工作室」からハイドレンジアさんが去りました。
ご案内:「地下研究所、工作室」からシェムハザさんが去りました。