2016/05/18 のログ
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に山吹 冠木さんが現れました。
山吹 冠木 > 責任、という言葉がある。

例えば、約束は果たさなければならないだとか。
例えば、ペットは最後まで面倒をみなければならないだとか。
例えば、大人になったら社会の一員としてね責務があるだとか。

一口で責任と言っても色々あるだろうが……
今行われている行為もまた、責任の1つになるだろう。

「よっ……と」

常世学園男子寮、その近くにある小さな倉庫。

彼……山吹冠木がその場所に求めた条件は、そこまで多くない。

1つ、水道や電気が通っていること。

2つ、排水がしっかりしていること。

3つ、人があまり来ないこと。

これに加えて寮の近くとなると、
条件を満たす場所を見つけるのには幾らか時間を要したが……
その分、見つかった場所は設備も整い、さらに空調も整った……
半ば諦めていたが、これが中々重要なのだ……
非常に満足のいくものであった。

では、そんな場所で何をしているかというと……

山吹 冠木 > 「さて、やりますか」

身に纏ったエプロンを改めてから、作業用のゴーグルをかける。

そして、目の前の大きな作業台に乗せられたソレに……
首元をナイフで裂かれ、血抜きされた上で川に沈められ、
冷却された大きな猪の体躯に視線を向けた。

「…………」

物言わぬ毛皮と肉の塊に手を合わせてから、ナイフを手にとる。

本来ならば、内蔵も狩った山に捨てていくべき所だが……
この島における野生生物の状況がどうなっているのか分からない以上、
迂闊に餌を残せば何がどう影響するか分からない。

だから、わざわざ街まで降りてきて解体しているわけだが……

「慣れない相手には見せられないしなあ」

ぼやくように呟き、刃をゆっくりと肉に突き立てた

山吹 冠木 > 先ずは脚。
人間で言えば足首にあたる部分に刃を入れ……
毛皮の奥まで刃が入ったことを手応えの違いで確認してから、
そのまま刃を一周させる。

これを四本ある脚のすべてに施してから、
猪の身体をごろりと転がし、今度は下半身……肛門部に刃を入れる。

「…………」

硬い手応えに顔をしかめつつ、内蔵を傷つけない様に刃を大きく回し、肛門と腸を身体から切り離す。

「…………ふうっ」

この時に腸が裂けると後々問題になるので、
この作業には神経を使うが……無事に完了したことに、
大きく息をつく。

山吹 冠木 > 刃についた血糊を軽くぬぐってから……
幾ら血抜きをしたとはいえ、返り血や解体した時の血ばかりは
どうにもならない……作業を次に進める。

「よっ……と」

猪の身体を改めて作業台の上に寝かせると、
その身体を天地逆さまにする。
作業台の近くに大きな金バケツを用意してから……
その首元に解体用ナイフの刃を突き立て、
そこを始点として身体に、脚にと刃を走らせていく。

幾つか画数は多いが、上から見たら
漢字の「土」か「王」の字に見えるように刃が毛皮を裂き、
斬られた皮の隙間からてらりと濡れたような桃色の肉が姿を覗かせる。

そして、首から尻まで縦一文字に入った……
此だけは、ある目的から皮だけでなく肉まで切り開いている……
割れ目に手を入れ

山吹 冠木 > ボドッ!!! ビシャベチャボドドドドッ!!!

「っ……足りなかったか。思ったより餌が多かったのか?」

あふれでた内蔵が用意しておいたバケツの中に
濡れた音を道連れに溢れ落ち、僅かに溢れながらも、
なんとかその内部に収まる。

人目を避けた理由の大部分が、主に此処にある。
それでなくても獣の解体というのはあまり良い感情を得られない上に、
猪の類いは特に内蔵が多く、しかも人間のそれによく似ている。

あらかじめ冷却していた為に湯気を立てるようなことはなく、
また肛門と腸を身体から切り離していたために一繋ぎになっていて処分は楽であるが……
大きめの金バケツ一杯の内蔵とその異臭は、
慣れていない、あるいは免疫の無い者ならその場で卒倒することも珍しくはない。

下手に叫ばれでもした日には、
事情説明だけでどれだけかかるか分かったものではないだろう。
それでなくとも、少ないとはいえ返り血や血脂に濡れた手と刃は
誤解を招きやすいのだから。

山吹 冠木 > 「さて、と……」

愚痴になりかけた意識を切り換え、バケツにぶちまけられた内蔵を検分する。

獣が何を食べ、あるいはどんな病気になっているか。
山に入って調べることも重要だが……内蔵から分かる部分も少なくはない。

「爺ちゃんや叔父さん達ならこんなことしなくても分かるんだろうけどな」

経験が足りないことはどうしようもない。
ため息をつきつつ、中身を丁寧に調べていく。
…………一先ずは、知識の中にある猪との大きな変化は無いようだ。
食性の違いはあるが、これはこの島に依ることだから考えても仕方ないだろう。

「……本当なら、心臓は炭火で焼けばいけるんだけどな」

狩った獲物を食べる限りにおいては自己責任となるが、
今回は後が怖いので内臓は止めておくことにする

山吹 冠木 > 「さて、と」

バケツの前に屈んでいた身を起こし、軽く伸びをする。
内臓については後でビニールに詰めて廃棄処分に出すことになるだろうが……
まだ猪の皮を剥いで、肉を切り分ける作業が残っている。

どちらもかなりの重労働であり、
さらには全てが終わった後に倉庫の掃除に換気、
使った道具の洗浄、切り分けた猪肉と毛皮の処遇、
さらには着ている作業着の洗濯に身体のチェックなどなどなど、
やらなければならないことは山積みになっている。

もっとも、最後まで始末をつけるのが獲物を狩った者の責任であり、
今更慣れた作業を苦にするわけではないが……

「みんな元気でやってるかな」

暫く戻っていた里の事を僅かに思い出すのは、ホームシックというヤツだろうか。
それこそ、そんな事を言えば笑われてしまうか、と苦笑いを浮かべる

山吹 冠木 > 「もう一頑張りしますかね……と」

そして、残りの作業へと取りかかった

ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から山吹 冠木さんが去りました。