2016/07/30 のログ
ご案内:「落第街の路地の奥」に金髪の少女さんが現れました。
金髪の少女 > 「キャハハハハハハ」

品のない、甲高い少女の笑い声が路地に響く。
実際、痛みの見えるストリート系ファッションに身を包み、収まりの悪い金髪をそのままにしている金髪の少女は、とても育ちが良いようには見えなかった。
腹を抱えて、おかしそうに笑っている。

異様なのは、彼女の周囲だ。
灰まみれの男性の服飾品が4組、周囲に落ちている。
そして…彼女の反対側の壁には、力なく壁にもたれて座り、まるで化け物を見るかのような目で少女を見上げている…黒髪に、深紅の瞳の青年。
こちらは…ぱっと見、真っ当な育ちに見えなくもない。少女の周辺に落ちている男性の服飾品が、チンピラのそれなのとは対照的だ。

金髪の少女 > 「この島だと赤い目の「ニンゲン」なんて珍しくないから、油断しちゃったんでしょー?おにーさん」

腹を抱えて笑うことこそやめたものの、少女らしく甲高い声で笑いながら、そんな軽い言葉をかけつつ青年に歩み寄る少女。
青年は怯えたような瞳で少女を見上げてはいるものの、身じろぎすらしない。
…いや、青年の表情からすると…「その余力すら奪われている」と言った方が正しいのかもしれない。

「…でも、この島の「ニンゲン」でただの「ニンゲン」は少ないんだからさぁ、少しは警戒しよーよ。
…魔術師のこととか、さ」

また一歩、青年に歩み寄る少女。
少女の笑みは、その少女らしい声や軽い口調とは裏腹に、不穏さに満ちていた。

「…ま、「物理的には死なない」の魅力に負けてあっさり「眷属」なんて低レベルの「不死者」になっちゃったあの人達も似たよーなもんだけどねー。

…これは単純な興味なんだけどさ、眷属化したのは力ずく?それとも合意の上?
ねー、どーなのおにーさん?」

そんなことを楽しげに尋ねながら、少女はまた一歩青年に近づく。
青年は、答えることが出来ない。

金髪の少女 > 「キャハハハ」

青年の怯える様子を見て、少女がまた笑う。
…とは言っても、その笑い方は、先ほどまでとは違って心からの笑い声とは聞こえなかった。
発音だけで笑ってみせ、口の笑みをそれに付随させた…そんな印象のある、拙い演技のそれに似た笑い。

「…弱い聖光弾とはいえ、「眷属」と一緒に灰にならないどころか身体の形保ってるから期待したんだけどなー。つまんないの」

少女がダメージドのスキニー・ジーンズのポケットに手を差し込むと、青年の顔がますます引きつった。

ご案内:「落第街の路地の奥」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 > (笑い声が聞こえた。
 ここでは珍しい事ではない。
 頭がイッているヤツが頭のおかしいことをしているなんて日常茶飯事だ。
 コンビニ帰りの龍宮鋼は、その声を聞いた時はその程度に思っていた。
 だけどその声が聞こえた方からなにやらおかしな気配がする。
 気配、と言うよりは「におい」。
 魔術や異能の類ではなく、幼少の頃からここで暮らしてきた故の勘のようなもの。
 ただのケンカではない「におい」は、自身が普段から求めているそれではないのだが、なんとなくそちらへ向かってみることにした。
 いくつか曲がり角を曲がり、路地の奥へと進んでいけば、)

――。

(灰と少女と男。
 灰に塗れた装飾品に目をやり、少女へと目をやり、男を見てもう一度少女を見る。
 普通ではないこの島で尚、何か普通ではない事が起きたことはわかるが、何が起きたのかは分からない。
 事の次第を見守るように、遠巻きから彼らを見る。)

金髪の少女 > 青年が怯える顔をするのを見て、にたぁ…と笑みを浮かべた後、空っぽの手をポケットから出す。

「だいじょーぶだよ、「まだ」やんないって」

笑いながらそう言ってから、改めて自分の足元に広がる、灰まみれの男性の服飾品を見回す。

どうやら、その灰まみれの男性の服飾品の、その「灰」が…青年の「眷属」だったものらしい。
それを、少女が「聖光弾」と呼ばれる何かで灰にした…そして、「それ」は少女の服のポケットの中から出て来た、ということのようである。
…しかし、少女は「まだ」と言った。つまり…青年の危機は、未だに遠ざかっていないのである。

「…で、これは「単純な興味」なんだけどさぁ」

と、少女がまた一歩青年に近づいた時…少女は、新たな気配の登場に気付いた。
そちらに視線を投げる。

「…おねーさん、アタシとそこのおにーさんと、どっちに用事?
このおにーさんにあんまり時間あげたくないから、早めにすませてほしーなぁ」

にぃ、と意地悪そうな笑みを乱入者の女性に向けながら、青年に向けた歩みは止めない。

龍宮 鋼 > (この少女が男に何かやらかしている。
 今の二人の状況しか見ていない自身には詳しいことはわからないが、男の怯えた顔を見る限りそういうことらしい。)

 別に。
 用はねーよ。

(特に用があるわけでもない。
 普段であれば問答無用で彼女へケンカを売りつけているのだが、今回はそうでもない。
 異能のにおいがする男。
 少女の持つ何か。
 地面に散らばる服を着ていた者が灰になったような周囲の状況。
 どれを見ても、首を突っ込むと面倒になるような気しかしない。)

――そいつに恨みかなんかあんのか。

金髪の少女 > 「あ、そ」

「用はない」と言われれば、案外あっさり女性から目線を外した。そして青年の方へ視線を戻す。
タガが外れたような笑い声からすれば、不自然なほどの平静さだ。
…もっとも、青年に向けたその顔には、不穏な笑みが浮かんでいるのだが。

「恨みー?んー、アタシにはないけどー。
このおにーさん達手慣れてたからねー、無念を抱えた魂ならいくらでもこの辺りをさまよってるんじゃないかなー」

適当な声の調子の割に、言っている内容は物騒だった。
その言葉とともに、少女がゆっくりと青年に近づいていく。

「…このおにーさんさぁ、「ニンゲン」じゃないんだよね。
ざっくり言えば「吸血鬼」。夜に生きて、ヒトの生き血をすする存在」

少女らしい高い声と口調はそのままに、先ほどまでとはうってかわった冷静さだ。
そして…少女の手が、再びポケットに伸びる。

「おねーさん、目ぇつぶってた方がいーよ?
「おねーさんなら」、単なる目つぶしでしかないから、目ぇつぶってたらだいじょーぶ」

ポケットから手を引き抜く前に、そんな予告を女性に向けた。
女性には、背を向けたまま。