2016/07/31 のログ
■龍宮 鋼 > へぇ。
(吸血鬼。
有名すぎるその名前は聞いたことがあるどころではない。
なるほど、灰はその仲間か。
彼女が何らかの方法で彼らを灰にしたのだろう。)
あぁ、やだやだ。
(呟いて首を振る。
能力頼りの白いヤツに絡まれたり、暴走してろくに楽しめないケンカをした挙句負けたり、ヒーローの真似事をする羽目になったり。
最近こういうことばかりだ。
盛大に溜息を吐いて、少女に歩み寄っていく。)
――俺のシマで好き勝手やってんじゃねぇよ。
(声をかけ、拳を振るう。
彼女がポケットから何かを引き抜こうとする前に。
間に合わなかったならそれはそれで良い。
とにかく、彼女の後頭部を後ろから思いっきりブン殴るべく、右拳をブン回す。)
■金髪の少女 > 不可思議なことに、少女を殴りつけたときの感触は、「ヒト」を殴ったそれではなかった。
あえて言うなら…弾力のある「ナニカ」。
まるで、少女の身体の「殴られた部分だけ」、その「ナニカ」に置き換わっているかのような…
「…「シマ」の話なら、ここでアタシを「食い物」にしよーとしてたおにーさん達にしてほしーなぁ。アタシは「誘われた」だけなんだから」
少女らしい不満げな口調で言うが…女性の方に半分だけ振り返った少女の口元には、にたぁ…と笑みが浮かんでいるのが分かるだろう。
そして、その手の中にはポケットの中から取り出したらしい、淡く白く輝く小石のようなものが…
「…もーそろそろ、おにーさんがまた動けるよーになる頃合いだと思うんだよねぇ」
女性の方を向きながら、その小石のようなものを青年に向けて雑に放る。
青年の方向で、真っ白な光が炸裂した。
『………!』
女性には、青年の声になりきらない悲鳴が聞こえるだろうか。
■龍宮 鋼 > ッチ。
(既視感。
先日殴りつけた水人形が思い出される。
殴った衝撃を吸収されるような感覚。
舌打ちをして後ろへ飛びのく。)
俺のシマは俺の目の届く範囲だ。
それ以外のとこなんざ、知るか。
(メチャクチャな論理である。
それでも確かに理屈としては彼女の言い分が正しいのであろう。
しかし、この場を見るに彼女は男より強く、彼女は男を始末しようとしているように見える。。
ならば自身に取ってそれは「弱いものいじめ」に他ならなく、それだけで充分彼女を殴りつける理由になるのだ。)
――!
(小石のようなものを見て思わず腕で顔を覆う。
彼女の目を瞑っていたほうが良いと言う言葉、そして男が吸血鬼だという事から、光を発するなにかだろう。
その考えを裏付けるように、直後に辺りが真っ白に染まる。
男の悲鳴を聞いて、拳を強く握り締め、歯を思い切り噛み締める。)
■金髪の少女 > 「おねーさんの「シマ」は分かんないけど、この島はふつーの「ニンゲン」少ないんだから、気をつけないとダメだよ。
…ま、今のはタダの防御だけどねー。
おねーさんの潔さはキライじゃないから、あんまりヨケーなことしたくないなぁ」
そう言って、へらへらと笑う少女が、青年の方に向き直る。
…青年の指先が、灰として崩れていた。
『…あ…あああ…』
「あー、ちょっとタイミング早かったかなぁ?
ま、いっかぁ」
ケラケラ笑いながら、絶望の声を漏らす青年に歩み寄り…壁にもたれて座る青年に視線を合わせるようにしゃがみ込んで、
「…で、おにーさん、どーする?
アタシの「興味」、満たしてくれる?」
と、満面の笑みで問うた。
…今までの笑みからすると随分邪気がないが…今までの状況からすれば、逆にホラーである。
■龍宮 鋼 > (目を覆ったお陰で視界を失う事は避けた。
光が収まり、男の方を見れば、指先がボロリと崩れている。)
――テメェ。
(髪の毛が逆立つような感覚。
心はグッチャグチャに沸騰しているのに、逆に思考はスッキリとクリアになっていく。
視界が急激に狭くなり、それでいて見えていないところも認識出来ている。
一言で言えば、キレた。)
ケンカの途中で背ェ向けてんじゃねェぞ。
(一歩。
地面が軽く揺れるほどに強く踏み込み、地中へと魔力を放出。
同時に右拳を彼女の後頭部へと突き出し、魔力を通して集めた地面の重量を叩きつける。
弾力のあるナニカを力技でブチ抜こうと言う思考の塊のような一撃。)
■金髪の少女 > 弾力のある「ナニカ」の感触を、女性の拳は確かに突き抜けた。
しかし、やはりそこに「ヒト」を殴った感触はなく…あったのは、ガラスのような硬質な「ナニカ」を殴った感触と…周囲に響く、ガシャーンという「ナニカ」が派手に割れる音。
「………びっくりしたぁ。「アレ」を貫通させる技術がある上に、その下の防御術式にもあれだけダメージ入るんだぁ」
のんきな口調で女性の方を全身で振り返るが…そこにあった少女の顔は、もう笑っていなかった。
真顔の瞳には、怜悧な知性と、わずかな苛立ち。
恐らく…これが、この少女の「本性」。
「あのおにーさん達みたいな「不死者」が魔術に無防備ってさ、ほんっとーに致命的なんだよね。「不死」を「殺す」のに、一番手っ取り早いのは魔術だから。
…「アレ」を二発喰らってまだ意思を持ててるのに、あれだけ魔術に無防備なあのおにーさん…オカシイと思わない?
おねーさんはキライじゃないから、邪魔しないでほしいんだけど」
そう言いながら、少女は腕につけたブレスレットの1つを外し、ポケットに収納する。
途端に…少女の身体から、魔力がふくれあがった。
いや…今外したブレスレットが、魔力の放出を抑える働きをしていたのだろう。
■龍宮 鋼 > (拳が捉えた柔らかいものを突き抜ける感覚と、固いものに突き当たった感覚。
そしてガラスが砕けるような音からして、なんらかの防御を突き破ることには成功したようだ。
それでも彼女はピンピンしていて、それはまだなんらかの防御が残っているという事を意味している。)
俺の知ったこっちゃねェよ。
死ね。
(彼女と目が合い、その瞳に苛立ちが見えた。
が、こちらはとうにキレている。
瞳孔は細く針のように変化しているし、怒りに呼応した魔力が身体に満ちているのが彼女であればわかるだろう。
彼女がブレスレットを外せば、彼女の魔力が跳ね上がるのを感じた。
その上でそれを無視するように今度は後ろの左足を上げ、勢い良く地面を蹴りつける。
先ほどと同じように自身の魔力が地面へと走り、直前に僅かに右腕を突き出す。
彼女の額へと軽く当てるように突き出した拳は、そのまま触れていれば膨大な質量のハンマーで殴られたような衝撃を受けるだろう。)
■金髪の少女 > は虫類のような瞳孔。肉弾戦に絶対の自信を持っているあたりと、先ほどからの拳の威力から想像はしていたが…やはり、目の前の彼女も通常の「ニンゲン」ではないらしい。
「…!」
魔力の気配を感じて多少引いたものの、拳にはしっかり触れられる。
物理防御術式と、魔術防御術式が同時に反応し…この場の3人には、周囲で派手にガラスが割れたかのような音が響いて感じられただろう。
女性の拳には、再び柔らかい「ナニカ」の感触と、硬い「ナニカ」の感触が宿るはずだ。
「…炎よ、我が敵を捕らえて焼き尽くせ…『炎の嵐(ウラガン・ドゥ・フラム)』」
少女が冷たい声でそう告げると、女性の足元で魔力がふくれあがる。
飛び退くことをしなければ、女性の身体を赤い炎が渦状に包んで燃え上がることになるだろう。
■龍宮 鋼 > (拳が捉えたのは先ほどと同じ二種類の感触。
どうやら破られたら終わるタイプの障壁ではなく、効果が続く限り永続的に効果を発揮するタイプの障壁らしい。)
――ッチ。
(声が聞こえる。
魔術の詠唱。
同時に、足元に集まる魔力。
咄嗟に脚に力を篭め、跳ねるように離脱。
――後ろでも横でもなく、前に。
離れて魔術を連発されれば近付けない。
ならば多少の被弾を覚悟で距離を維持する方を選んだ。)
――ッちいんだよクソが!!
(右脚が僅かに巻き込まれた。
熱いと言うより痛い。
が、まだ動く。
その火傷を負った右脚で踏み込み、再び極大の重量が乗った拳を突き出す。)
■金髪の少女 > 相手が飛び退けば、その隙に転移でもして逃れようかと思っていたが…相手は、自分を犠牲にしてでも攻め込む方を選んだらしい。
「…!」
再び拳に触れれば、再び周囲でガラスが割れるかのような衝撃音が鳴るように感じる。
今度は硬い感触のみだったが…やはり、「ヒト」を殴った感触はない。
「殺刃鬼」との死闘以降、本気で防御術式を磨き上げたのだ。そうそう破れはしない。
そして、この距離…詠唱の余裕はないだろう。
少女は、再びポケットに手を突っ込んで…
「………おにーさんにダメージが入るヤツは、使わないであげる」
冷たい声でそう呟いたのは、女性の耳には届いただろうか。
ポケットから黒い石のようなものを取り出すと、女性に向けて投げつけた。
回避しなければ女性の身体に、そうでなければその向こうの壁か地面にぶつかった黒い石のようなそれは、周囲に光と熱と音を炸裂させて爆発するだろう。
ただの「目くらまし」ではない…本当の爆弾のようなものだ。
少女は防御術式で耐えるだろうが…女性は、どうなるだろうか。
■龍宮 鋼 > (いくら殴っても障壁を突破できない。
魔術的な方法の取れない自身では、そう言った魔術的な防御は力技で突破するしかないのだが、あまりにも固い。
物理的な衝撃に対抗するためのものなので当然ではあるのだが。)
――ッ!
(もう一発殴ろうと脚を上げた時、彼女はポケットに手を突っ込んでいた。
取り出された黒い石を見てヤバイと感じるも、片脚を上げた状態ではどうにもならない。
苦肉の策で、放り投げられたそれに対し拳を合わせ、地面を踏みつけた。)
ッが、――
(当然の如く、爆発する。
拳打により無理矢理爆発の衝撃を抑えるという力技で多少はダメージを軽減できたのだが、元々魔力耐性は低い。
そうでなくても至近距離で爆弾が爆発すれば、流石の鋼龍の耐久と言えどただではすまないだろう。
現に爆発源に一番近い拳は皮と肉が裂け、僅かに白いものが覗いている。
自身も背後の壁に叩き付けられ、倒れることこそしないものの、血塗れで右手を抑えて壁を支えに何とか立っている、と言う状態だ。)
■金髪の少女 > 「…うわぁ、力技で相殺しちゃうんだぁ…」
身体の芯の白いものすら覗かせながら、それでも倒れずにいる女性を見て、感心を通り越して呆れ果てたような声を出す少女。
ほとんど「本性」を出しているようなものだが、それでも口調は「素」に戻さないあたり、根性があるのか余裕があるのか。
「…ま、おにーさんの顔覚えたし今はいーや。
おねーさんの気合いに免じて退いたげる。…『浮遊(フロッテゾン)』」
そういうと…少女の身体が、ふわりと浮き上がった。
そのまま、屋根の上まで飛んでいく少女。
「…下手するとおねーさんよりおにーさんの回復の方が早いまであるからー、うっかり「栄養」にされないよーに気をつけてねー!
多分おねーさんは「不死」と戦うの得意じゃないだろーからさー!」
屋根の上から、女性に向けて声を張る。
■龍宮 鋼 > ――ッソ……。
(宙に浮かぶ彼女を睨みつけながら、小さく悪態を吐く。
結局彼女の障壁を突破出来なかった事や、続けたとしても結局負けていただろうと言う事。
何より彼女の言う通り情けを掛けられた事が癪に障る。
しかし勝負事は勝った側が正義だ。
何も言えずに、悔しさを視線に乗せて彼女を睨みつける。)
死ね。
(屋根の上から話しかけてくる彼女に、「右手」で中指を立てて見せる。
拳はまだ死んでいないと言うアピール。)
■金髪の少女 > 実際のところ、防御術式の消耗はそれなりに酷い(「身代わり」が元に戻ろうとする性質があるおかげで「弾力のある方」はある程度永続性があるのが救いである)。
余裕を見せたのは半分くらいハッタリだったが…
「分かったー!80年後くらいにねー!」
わざわざ血まみれの手の方で中指を立ててくる相手に対しては、最初の頃に近い軽いノリでそう返した。
…妙に長生きだが、一応標準的なこの世界の人間の寿命の範疇である。
…もっとも、今あの吸血鬼を「泳がせておく」ことには利点もある。
「今の姿」では、本来の自分が持っている権限は使えないのだ。
(…その手の存在に関する何らかの暗躍がないか、改めて検証すると致しましょう)
物理攻撃では、あの「吸血鬼」は殺せまい。
あの女性があの場を離れるのが先か、吸血鬼の青年が身体を再生させるのが先か。
(曲がりなりにも女性を、あの手の「バケモノ」の前に手負いで置いておくのは好きではないのですが…
下手に治癒を申し出ればかえって逆上されそうですし、仕方がありませんわね)
正規の学生の生命に終止符を打ちたくはないが、一方で「本来の」術式も多少見せてしまった。
「この姿」はもう使えないが…一応、あの「ステンレス」からは距離をとるようにしておこう。
そんなことを考えていた「少女」は…いつの間にか、姿も気配も消していた。
ご案内:「落第街の路地の奥」から金髪の少女さんが去りました。
■龍宮 鋼 > (ふざけたセリフと共に少女が消える。
それにしても、この島には物理一辺倒では流石に手に余る奴らが多すぎる。
これまで深く考えてはいなかったのだが、こうまでコケにされるとそうも言っていられない。)
得意じゃねェとは、言ってられねェか。
(呟き、男の方を見た。
なるほど、彼女の言うとおり男はそろそろ動けそうな雰囲気だ。
一方の自身は右手は血塗れ、右脚が火傷、その他打撲や擦過傷多数。
男がエサを見る目でこちらを見ている辺り、やはり面倒な事になったようだ。)
クソ。
帰りゃよかった。
(ボヤく自身へ、動けるようになった男が跳びかかってくる。
それをやる気無さそうに見て、地面を強く踏みつけ左手を突き出す。
それだけで男は吹き飛び、路地の壁に頭から突っ込んで腰まで刺さった。
不死身で頑丈とは言え、動けなくする手段は豊富にある。
人に実行できるかはまた別だが、生憎と人じゃないものが混ざっているのだ。
もがく男から興味を無くしてあくびをし、来た道を戻る。)
ご案内:「落第街の路地の奥」から龍宮 鋼さんが去りました。