2017/08/07 のログ
ご案内:「クローデットの私宅」にクローデットさんが現れました。
■クローデット > 【8/6 Free1の続き】
夜。クローデットは、落第街でひっそりと生きる青年を連れて、転移魔術で帰宅した。
『お帰りなさいませ、お嬢様。
…シュピリシルド様も、ようこそお越し下さいました』
シンプルながら品の良い服装で、クローデットと青年を、冷静に出迎えるハウスキーパー・ジュリエット。
クローデットが転移で戻る前に簡単なメモをジュリエットに送っていたため、大まかに事情は把握されていたらしく、青年の姿を見ても、彼女は驚く様子を見せなかった。
ご案内:「クローデットの私宅」にヴィルヘルムさんが現れました。
■ヴィルヘルム > それを知らない青年にとっては,自分は突然の来訪者である。
歓迎されるべき客であるようにも思えなかったので,
「お邪魔します……すみません,突然。
ヴィルヘルム=フォン=シュピリシルドと申します。」
青年は緊張した様子で,出迎えてくれた女性に頭を下げた。
彼女が驚かなかったから,青年は少しだけ不思議そうにクローデットを見る。
■クローデット > 「ヴィルヘルムを連れて戻る旨だけ、転移で戻る前にメモで連絡しておきましたのよ。
どのようにおもてなしするか、その働きをどのように扱うかまでは、まだ相談出来ていないのですが」
不思議そうな様子の青年に、たおやかに笑みかけるクローデット。
青年に事情を説明した後自らに向き直ったクローデットに対し、ハウスキーパーは
『…お客様用の寝間着やルームシューズがございませんので…間に合わせになってしまいますが、調達して参ります。
お嬢様、その間シュピリシルド様の案内はお任せ致します』
と言って、頭を下げる。
「ええ…急にわたしが決めたものですものね。
寧ろ、気を遣わせてしまって申し訳ありません。
…「お礼」の話は、また後ほど」
そして、ハウスキーパーは家を出て行った。
「………まずは、リビングで少し休まれますか?」
ハウスキーパーを見送って、クローデットは青年にそう笑みかけた。
■ヴィルヘルム > 「全然,気が付かなかったよ…。」
敵わないなぁ,と笑って,それからハウスキーパーの女性に,
“お手数おかけします。”
なんて,とても礼儀正しく頭を下げた。
……調達する,って,買ってきてくれるんだろうか。
何だか少しだけ申し訳ない気分になるが,今日は,厚意に甘えることにしよう。
「クローデットの方が疲れてるだろうし,任せるよ。
僕はほら,ずっとのんびりしてたようなものだから。」
冗談っぽく笑いながらも,青年はなにより,貴女の身体を気遣っていた。
魔力を回復してか顔色も良いように見えるが,それでもやはり,心配は心配だった。
■クローデット > 「簡単なメモならば、記述もさほど手間ではございませんので」
何でもない風に、柔らかい笑みを浮かべてみせる。
かつて、青年が「少女」だった頃、その手際を見たのを覚えているだろうか。
「そうですわね…ルームシューズがないと浴室への案内は難しいですし…
冷たいお茶も作ってありますので、お出し致しますわ」
「どうぞ、ソファでお待ち下さい」と言いながら、リビングに青年を導く。
青年が今生活している廃屋のソファとは比較にならない、上質な…ただし、1人がけのソファがあるリビングへ。
…大きな水槽は、今は空のようだ。
■ヴィルヘルム > 自分が客なのは分かっているけれど,疲れているはずの貴女に“おもてなし”してもらうのは何だか申し訳なかった。
けれど,ここで出しゃばってはいけないという程度の常識も弁えている。
「…うん,それじゃ…待たせてもらうね。」
ソファに座れば,それはもう,廃屋のそれとはまったく別物だった。
柔らかいが,柔らかすぎず身体を包み込む。
その優しい感覚に身を委ねながらも,青年は周囲を躊躇いがちに見回す。
水槽には,以前何か入っていたような気がするが…
■クローデット > 青年が腰掛ければ、キッチンへ向かうクローデット。
からからと、氷の入ったグラスに飲み物が注がれる音がして、トレイにアイスティーの入ったグラスを2つ乗せたクローデットが、リビングに戻ってきた。
「お待たせいたしました」
微笑んでから、まず青年の前、それからその向かい側のソファの前にグラスを置いて、自分も腰掛ける。
「…ああ…「あの子」には、今仕事を任せているんです。転移荒野で」
水槽を気にしている青年に、そんな風にさらりと説明をして、アイスティーのグラスに口を付ける。
■ヴィルヘルム > キッチンから戻ってきた貴女を,つい目で追ってしまった。
失礼だと思い直して,貴女に気付かれないように視線をまた水槽へ移す。
「…ありがとう。」
短くそうとだけ言って,紅茶のグラスを手に取った。
一口飲んだだけで,冷えていてもなお感じる紅茶の良い香り。
……美味しい。なんて素直な感想が零れて,
「転移荒野って,あの怪物とかも出てくる危険な場所だよね?
…どんな仕事してるのか想像もつかないや。」
口調からして,後ろ暗い仕事ではなさそうだったから,青年も軽くそう答えた。
■クローデット > 「時間をかければ水からもお茶を出せるのですけれど、温めて出したお茶を冷やす方が美味しいですから…ジュリエットがこだわっておりますの」
「喜んでいたと伝えましょう」と、素直な感想を青年が零したのを受けて、にっこり。
「ええ…わたしの卒業研究のための実験を転移荒野で行っておりまして。
その実験環境の護衛を、「あの子達」に任せているんです」
「達」。つまり、ああいった生き物が、他にもクローデットの手元にいるということなのだろう。
後ろ暗い仕事ではないが、「彼ら」にもそれなりの「刺」があることを思わせるクローデットの回答だった。
…表情は、そのままなのだが。
■ヴィルヘルム > 「今度,淹れ方教えてもらってもいいかな…。
なんて,そもそも水道も無いんだけどね,あの家。」
冗談交じりで笑いながらも,貴女の答えを聞いて…
…青年は素直に納得したように,頷いた。
「僕みたいな,あっさり君に捕まっちゃう用心棒を雇うより,ずっと優秀そうだね。
でも……卒業研究…か。それが終わったら,クローデットは“卒業”するんだね。」
■クローデット > 「ええ…その予定です。
その先は………まだ、決めておりませんが」
”卒業”の言葉を青年が掘り下げようとしてくれば、視線を落とす。
しかし、すぐに目線を青年に向けて…
「そう仰るヴィルヘルムこそ、もう「水道もない場所」に留まる必然性はないのではありませんか?
「怪物」の姿で誰かを脅かすことは、もうないのですから」
と、頭が痛い「今後」の話を返したところで、玄関のドアが開く音がする。
ハウスキーパーが、調達を終えて帰ってきたのだ。
■ヴィルヘルム > 「その先……難しい話だもの,ね。
クローデットが魔術の勉強を続けられるような場所があれば,良いんだけれども…。」
貴女の望む未来は聞いていたし,それが得難いものだということも知っている。
だからこそ,青年はそうとだけ言うにとどめた。
「そうだね…出来るだけ,表の街に出てみようって,思ってるけれど…。
お金が無いから,学生寮,とかになるのかなぁ。」
青年にも,今後の展望があるようだった。展望と言うよりも理想と言った具合だが。
とはいえ,稼ぐあてがあるわけでもないので,当面は生活水準もさほど変わらないだろう。
少なくとも,人間らしい生活はできるだろうが。
「…あ,お帰りなさい…!」
その音に反応する姿は人懐っこい犬の面影を思わせる。
本人にはあまり自覚は無いだろうが。
■クローデット > 「…「あたくし達」のしていることに目をつぶり、再び加担を続ければ…
家族の庇護下で、少しは…続けられるのでしょうけれど」
クローデットの声の苦さ、沈み具合、そして落ちる視線が、彼女がもはやそれを望んでいないことを物語っている。
「…そうですわね…あなたが表から消えた時のことは、あたくしが悪いことになっておりますから。
少しお説教は受けるかもしれませんし…委員会の中で目ざとい者が、あたくしの罪を掴むべく、あなたに取り調べを試みるかもしれませんけれど…少なくとも、ヴィルヘルムが「表」に戻るのに、ひどく拘禁されるようなことは…そう、ないかと」
そこまで語って、クローデットは立ち上がる。ハウスキーパーがリビングの方に向かってきたからだ。
『ただいま、戻りました』
リビングの二人に、改めて挨拶をするハウスキーパー。
クローデットは彼女の元に歩み寄る。
「お帰りなさい…本当にありがとうございます。
準備を一緒にしながら、今夜の「お礼」について、改めてお話してもよろしいですか?」
『はい、お願い致します』
ハウスキーパーが頭を下げる。クローデットは青年に、
「…ちょっとしたものの準備をしてまいりますので…少々、くつろいでお待ち下さいね」
と言うと、ハウスキーパーと一緒に奥に引っ込んでいった。
■ヴィルヘルム > 「クローデットがそうしたいなら…それも良いと思うんだけれど。」
貴女の声が,その視線が,全てを物語っていた。
代替案を提示できれば良かったのだが,青年にはそれも難しい。
「その時は何て言おうか…性格の悪い魔女さんって言っておく?
それは冗談だけど,僕がクローデットは悪くないって言えば,何も問題ない,かな?」
帰ってきたハウスキーパーにお辞儀をしてから,2人の会話から,気になる言葉を見つけ出す。
先ほどもそう言っていたが,青年にはあまり身に覚えのない言葉。
「……お礼?」
何の事だろう,首を傾げながらも,青年は貴女の言う通りにするほかなかった。
アイスティーを静かに飲みながらも,貴女が戻ってくるのを待つ。
■クローデット > やがて、クローデットが一人で、衣類を抱えてリビングに戻ってきた。
「申し訳ありません。今晩はこちらをお使い下さいね」
クローデットが抱えていたのは新品のバスタオルに、シンプルだがちょっと安っぽいスリッパと、夏向きのさらさらした素材で作られた、スリーパーと呼ばれる類の寝間着。
「わたしはお風呂に時間を取りますので…ヴィルヘルムを先にご案内致しますわ」
先ほどまでの話は一旦切り上げ、というつもりなのだろうか。青年に、立ち上がるよう促す。