2017/10/21 のログ
ご案内:「歓楽街/路地裏」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > カサッ…
人の耳では捉えられない程小さな音を立て、
一匹の蜘蛛が薄汚れたビルの壁面を伝い降りる
その後に続いてもう一匹、さらにもう二匹
気がつけばその数は十を超え、夥しい数の蜘蛛が続々と
換気扇、エアコンの室外機、欠けたガラス窓の隙間を通り、建物の中から這い出てくる
そうして黒いうねりと成った蜘蛛の大群が一箇所に集まり
うず高い塊になったかと思えば、その姿を人間のそれへと変えてゆく
■鈴ヶ森 綾 > 黒塊は瞬く間に長い髪を持つ女の姿に変じた
俯いたその顔は黒髪に隠され、さながら幽鬼のように佇んでいる
その身体からは仄かに花の蜜を思わせるような甘い香り
その匂いは風に乗り、ビルの狭間を縫うように流れてゆく
妖気をはらむ香気は嗅いだ者の足を己の元へ向けさせる
「さっきのアレでは、やはり満足できないものね…できれば、もう一人か二人」
指先を這う蜘蛛の一匹に言葉を投げる
背を軽く反らすようにして顔を上向かせ、流れ落ちる髪を指で払う
ビルの谷間で見る空は曇天
星も、月も、何も見えない狭い空を見上げて時を待つ
ご案内:「歓楽街/路地裏」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > 歓楽街を暇潰しにぶらついていた月香。
その街に何の感情を抱く事無く、
ただ退屈しのぎの懐古に浸るだけ。
____ふと、花の香りがした。
誘うような、惑うような、甘い甘いその香り。
ぼんやりとしていた月香は、ただその変化に釣られ
無意識にその香りを追って歩き始めた。
そして____。
「.....あり?」
気づけば、夜の闇に包まれた路地裏にいた。
ネオンの眩しい光が急に消えたような感覚に襲われ、
月香は未だ呑気に首を捻る。
■鈴ヶ森 綾 > そうして仄暗い路地裏を進んだならば、彼女は見つける事になるだろう
薄闇の中に一人佇む女の姿を
「あら、珍しい。こんな所に何の御用かしら?」
つい、と。視線を空から地上へと戻し、自身の招いた来訪者へと言葉をかけた
意識を向けた事で花の香はより強まり、狭い路地に満ちてゆく
前後不覚から立ち直りかけの彼女の元へ、一歩足を踏み出す
戯れるように女の周囲で蠢いていた蜘蛛達はいつの間にか闇に紛れて隠れ、その姿はどこにも見えない
■和元月香 > 女の姿を一目見ると、月香の眉間に僅かに皺がよる。
悪い予感、と言おうか。
その女の気配に、思わず我に返ってしまうような。
「んー、ちょっとぶらついてて。
でもやっぱりこーいうとこは危険ですから、
おねーさんも早く街に戻った方がいいですよ?」
いつものように初対面相手とは思えぬ
気安い笑顔と軽快な口振り。
しかし、敬語を使う時、
月香の中では警戒している場合が多い。
勿論そうではない場合も多いのだが、
今回ばかりは警戒せずにはいられない、嫌な流れだ。
...体が、思うように動かないのだ。
■鈴ヶ森 綾 > 「あら、散歩?良いわねぇ、私も散歩は好きよ」
女は話を半ばまでしか聞いていないかのように、笑顔を浮かべて話を続ける
一歩、また一歩と互いの距離が縮んでいく
それに伴い甘い匂いは強くなる一方だが、そこに別のものが混じりだす
隠しようのない血臭、死臭とも言おうか
「でも…ただ歩くだけというのは、退屈に感じる事もあるわ。だから…」
疼く、逸る
今すぐにでも本性を晒したくなる心を抑え、また一歩と近づく
そうして手が届くほどの距離まで迫ったところで、右手がゆっくりと相手の頬へと伸ばされる
■和元月香 > 近づいてくる女をまっすぐに見据えながらも、
月香はこの甘い香りへの抵抗を試みる。
逆らったら苦痛、のタイプはまず問題ない。
そもそもこういった精神干渉系のものは、
無駄に我が強い月香にとってはかなり抵抗しやすいのだ。
血の匂い。
混ざり始めたその匂いに、生命の危機を理性が告げる。
(...っっふん!!お、いけた?)
抵抗に成功したのは、女の指先が手に触れる寸前であった。
完全に自由になった体に安堵しつつも、瞬時に距離を取るだろう。
かなり内心ウワー死ぬーと焦っていたりしたものの、
未だ女を見据えたままの月香の表情は、
拍子抜けするほどいつも通りだ。
■鈴ヶ森 綾 > 指が触れる寸前、相手の身体はスルリと手の届かぬ彼方へ離れてしまう
しかし女に気落ちしたような様子は見られない
いや、むしろ
「あら、動けるのね。そう…そうなの。そういう子は好きよ」
愉快そうに表情を歪め、ドロリと濁った赤い眼で相手を見る
伸ばした手をそのままに、手首を素早く二度翻したか思えば、その指先から白いものが放たれる
一発目は顔、二発目は足元へ向けて放たれたのは糸の塊
触れれば爆ぜて、周囲をまとめて縫いとめる粘糸の弾
「無抵抗な獲物は、退屈ですもの」
■和元月香 > 「.......」
寒気がするような視線を向けられる。
しかし月香は驚きはせよ動じない。
...状況は完全に把握した。
今から自分は、殺されるかもしれない。
(それはごめん、だね!)
だがそれは避けねばならない。
この島ではまだまだやりたい事がある。
一発目に放たれた糸を反射的に避けると、
月香は更に後ろに距離を取り
最近学園で修得したばかりの魔術を発動する。
「炎よ!!」
足元に放たれた糸は、六大属性魔術と呼ばれる
極めて簡易、かつ単詠唱の炎の魔術で焼き払おうか。
糸は火に燃えやすいが、果たしてこの糸にもそれが通じるのか。