2018/01/13 のログ
ご案内:「落第街/路地裏」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > 落第街というのは概ね物騒な場所であるが、それでも場所や時間帯によって程度の差はある。
そんな中で夜間の路地裏というのは、最も危険な場所の一つであろう。
灯りも乏しい路地裏を行く制服姿の女の前方には、道端に屯する男が三人。
男たちは何事か馬鹿話をしていたのが女の姿を認めるとピタリと会話をやめ、前を通り過ぎようとする女の動きをじっと目で追う。
『はーい、通行止めでーす。』『動くと危ないからねー、じっとしてなよ。』『おっ、結構巨乳ちゃんじゃん。』
背の高い男が仲間に目配せしたかと思えば、女の行く手を遮るように持ち上げた足を壁に押し付ける。
脇からはナイフを手にした小男が近づき、刃を顔の前でチラつかせる。
直後に背後から中肉中背の男が覆いかぶさるように抱きついてきて、胸を無遠慮に鷲掴みにした。
■鈴ヶ森 綾 > 右手を壁、前後と左側を男達に囲まれ、逃げ場を無くして女は恐怖に言葉も出ない。
男達にはそんな風に見えたのだろうか、顔を伏せたまま悲鳴の一つも上げない女を尻目にこの後の事を相談し始める。
『とりあえず何時ものとこに拉致ってさ。』
『なあ、その前にここでやっちゃおうぜ。俺こういう子すっげ好み。我慢できねえよ。』
『あ?馬鹿寒いだろ。勃つもんも勃たねえよ。』
小男が興奮した様子で顔を近づけてくると、舌を伸ばして女の頬を舐め上げた。
その様子を他の二人は呆れたように笑っている。
「ふっ…うっ、ふふふ…。」
その男たちの下品な笑い声に唐突に混じる異質な響き。
それが女の笑い声である事を知ると、三人は顔を見合わせて小さく身体を震わせる女を注視する。
■鈴ヶ森 綾 > 『あぁ?なんだこの女…薬でもキマって…おぐっ!?』
不意に背の高い男が呻き声を上げ、自分の首を引っ掻くような動きを見せる。
その身体がゆっくりと持ち上がり、宙吊りになるのを辛うじてつま先で体重を支えて防いだ状態になる。
その首元には薄っすらと白い糸が巻き付き、それが男の身体を引っ張り上げているのが分かる。
「ほら、その長い足をもっと伸ばさないと、窒息してしまうわよ?」
『てめっ!異能持ちかっ!』
こういった事態にもそれなりに慣れているのか、小男は素早く状況判断をすると手にしたナイフを女の首元に突き立てようとした。
だがそれよりも早く、女の身体から伸びた一本の脚が手にしたナイフを弾き飛ばし、
間髪入れずにもう一本の脚がその開かれた口腔に入り込み、男の舌と喉を串刺しにする。
■鈴ヶ森 綾 > 『あっ…がっ…。』
小男は自分の口内に突き刺さったそれに目を白黒させ、両手を使って必死に抜き取ろうとするがびくともせず、
喉と舌からの夥しい出血に咽て地面に唾液と血の混合物を撒き散らした。
「あら、舐めるのが好きなのかと思ったけれど…勘違いだったかしら?」
男の舌が触れた部分を悠々とハンカチで拭い、脚を捩らせてさらに男の苦痛を引き出す。
喉を塞がれたままくぐもった声で悲鳴を上げる男を見て、女は喜色の色を濃くさせて小さく笑い声を漏らす。
『ひっ、ひぃ!』
その光景を女の背後から見ていた男は、怯えた声を漏らして踵を返す。二人を見捨てて逃げ出そうというのだ。
しかし駆け出した数歩目で何か躓いて、いや、足を地面に貼り付かせて前のめりに地面に倒れ込んでしまう。
■鈴ヶ森 綾 > 男の足は地面に貼り付いて動かない。
咄嗟に靴を脱ぎ捨てようという発想には至ったようだが、焦りからそれも上手くいかない。
そうこうする内に数メートルと離れていなかった距離は瞬く間に0になり、女が倒れた男の背に伸し掛かった状態となる。
「足、舌…貴方は腕かしらね。」
愉快そうに男の耳元で囁くと、頭を地面に押さえつけてうなじを露わにさせる。
顕になった首筋に顔を寄せると、口を開き、生暖かい呼気を浴びせた直後にそこに牙を立てる。
精気を吸うためではなく、ましてや肉を喰らうわけでもない。
その代わりに、噛み付いた箇所から自身の体内で生成した毒を送り込む。
その毒は立ちどころに全身に回り、男身体の感覚を奪っていく。
■鈴ヶ森 綾 > 毒が全身に回った頃を見計らい、倒れた男の前へと回り込むとその顔を強引にこちらへ向けさせる。
「…ねぇ、貴方。りょうちというものを知ってる?」
(りょ、りょうち?リョウチ?領地?)
男にはそれが何のことだか分からなかったし、そもそも満足に返答する事もできない。
ただ怯えた目で目の前にしゃがみ込んだ女の顔を見つめるだけだった。
「凌遅。隣の国で割りと最近まで行っていた処刑法よ。人間の身体を、…まぁ、実際に受けてもらうのが手っ取り早いかしら。」
その言葉が終わった直後、特別な素振りも見せずにそれは行われた。
巨大な足が地面の上に投げ出された男の手の上に勢い良く振り落とされ…。
■鈴ヶ森 綾 > 男には最初、何が起きたのか分からなかった。
毒で感覚が麻痺し、痛みも何も感じない。
だが目の前に振り下ろされた巨大なナニカの脚によって、自分の左手の指が一本○されたのを認識した時、
男は感じないはずの激痛に襲われた気がした。
失った指先からは出血しているが、根本をきつく糸で縛られているせいかその量は思ったより少なく、
感覚が無いのも手伝ってどこか他人事のように思えてしまう。
「生きたままの人間の肉を、少しずつ削いで死に至らしめるそうよ。人間って、随分酷い事を考え出すものね。
私はそこまで残酷ではないから、痛みは感じないようにしてあげたわ。」
つまり、男は痛みを感じない代わりに、痛みで気絶することさえできずに自分の身体を削られていく様を見せつけられるという事だ。
そして男が事態を受け入れる間もなく、再度脚が振り上げられ…。
結局、男が失血死するまでその行為は続けられ、三人の男は揃って無残な姿と成り果てた。
■鈴ヶ森 綾 > 「安心しなさい、野晒にしていくような無作法はしないわ。貴方達程度の存在でも、ね。」
そう言って亡骸に向けて伸ばした手の先から、黒い蜘蛛が一匹出現する。
その一匹を皮切りに、女の体から黒い塊が次々と湧いて出ると、それが男たちの亡骸を覆っていく。
大量の蜘蛛達は消化液で人体を見る間に処理していく。
血や肉は勿論、髪の毛や骨の一本も残さず、身につけた服の繊維や革さえ溶かして啜り上げる。
そうして黒い波が引ききった後に残ったのは、ベルトの金具やピアスといった金属類と、
人間を思わせる形の染み、そして撒き散らされた血痕だけとなった。
「……まぁ、こういうものよね。」
事が終わり、口元に浮かべた笑みはどこか自嘲めいて。
女は当初目指していた方向を目指して、再び歩き始める。
ご案内:「落第街/路地裏」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。