2018/08/13 のログ
ご案内:「落第街廃ビル」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「随分と手こずらせましたね。
 まぁ、使った弾薬は軍部に請求するので構いませんが」

落第街にある廃ビル。この地域では廃ビルなんて珍しくないが、
この空間に限って言えば落第街の中でも特殊といえた。
天井からカーボンナノチューブ製のワイヤーで吊るされ、拘束されている男。
それを眺める仮面。そして男を画面の中心にとらえたスマートフォン。
吊るされた男を照らす照明。場所を秘匿するために壁を覆う黒い暗幕。

「アードルフ・メステルトンで間違いないですね?
 あなた自身、なぜ今こんな風に拘束されているかもわかっていますね?
 そしてこれから自身がどのように扱われるかも重々理解していますね?」

『黙れ小娘が。お前も俺と同じ化け物だ。
 どうせ自由なんて謳歌できずに邪魔ものとして廃棄されるにきまってる。
 人間なんかに媚びを売る下衆め。
 俺を殺したら今度は生きるためにお偉いの〇〇〇でも咥え込んで〇されるんだろ?』

男の身分を確認するために質問をするが男は問いには答えず、
口汚く罵倒を浴びせてきた。
仮面をつけた少女は深くため息を吐くだけである>

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「アードルフ・メステルトン伍長。36歳。元々獅子の獣人であったが、
 15年前に魔力を後天的に備える獣人を作り出す実験の被験体として実験に参加。
 結果として魔力を完全に支配下に置くことはできず失敗。
 魔力使用時は理性の著しい低下と容姿の劇的な変化を伴い暴走。
 軍部監視のもと収容施設にいたが先月実験試料のコピーとともに脱走。

 間違いないですね?
 軍部からは捕獲したのち"処理"するよう命令が届いています。
 なお体内に残留した魔力が肉体の活動停止時にどのように放出されるかを記録しろ。とも」

『ハッ!クソが!処刑だけじゃ足りずに最後まで実験かッ
 こりゃ最高だ!おい小娘!テメェわかってんだろうな!
 このまま黙って死ぬわけねえだろ!
 オメェみたいに生まれつき魔力を持った獣人はいいなぁオイ!?
 手始めにオメェをブチ〇してブッ〇してやる!さっさと拘束をとけ!』

ポケットから書類を取り出し、それを読み上げる。
一応本人確認のために必要な手続きだ。
無論、この反応を見るだけで人違いなんてことはないのだが。>

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ああ、因みに。私は後方支援が担当でして。
 といっても、業務は本当に広くてですね。
 物資の運搬、後方支援射撃、医療行為、あと――尋問」

喚く男をよそに、静かに語りだす。
はじめは聞く耳を持たなかった男も、次第に話を聞くようになり、
最後の一言を聞いた瞬間―――

暴走した。
魔力を使い、獣人化もしたことで、彼の体は異常なまでに肥大化していく。

「ああ、無駄です。
 そのワイヤーはあなたの力では切断できません、あなたの体のほうが負けますよ」

ギチギチとワイヤーが肉に食い込んでいくが、伸びる様子は一切ない。
むしろ食い込んだ肉がきれ、拘束している個所から血がにじむほどだ。

「私が軍に入ったのはあなたが施設に収容されたずっと後ですが、
 私の話を耳にすることもあったでしょうし、
 今更名乗らなくても私が誰だかわかっているでしょう。
 ですから自己紹介はなしです。では、始めますよ」

スマートフォンの画面をタッチして、録画を開始する。
彼はと言えば、相変わらず暴れたままだ>

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「いまだに尋問と拷問の違いがよく分てないんですよ。
 いや、言葉の意味としてはちゃんと理解してますよ?
 でもほら、やってることは拷問でも、書類の上では尋問ってしか書かれないものですから」

暴れる男に軽く触れると、怒りに身を任せて暴走していた巨体がおとなしくなっていく。
自身が聖母の機関銃と呼ばれる所以だ。
彼が落ち着きを取り戻して、暴れなくなったところで、指先で彼の腕をなぞる。
すると触れたところにハサミでも入れたかのように、真っ直ぐに皮膚に切れ目ができ、
インクが染みだすかのようにじんわりと血液がにじんできた。

「これからあなたに行うのは皮剥ぎというものです。読んで字のごとくですね。
 まずは右腕からいきますね」

触れたところに加速度、つまり力を加える能力。触れたところに皮膚同士斥力が働くようにすると、
刃物を当てたように皮膚が切れていく。
肩から上腕、皮脂を通って手首、そして小指と腕の外側に切り込みを入れると、
今度は果物の皮をむくように切り込みから皮膚を剥いでいく。
真皮ごと剥離した腕は筋繊維が空気に触れ、強烈な痛みを伴う。
しかし能力で強制的に落ち着かせているため、彼は痛みを感じていても身体を動かせない。
脳に近い口だけが、その痛みを訴えて痛烈な悲鳴を上げているが、
そんなもので拷問は止められない>

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「普通はこの段階で気絶するものなんですが、暴走しているせいが意識ははっきりしてますね?
 まだ始まったばかりですよ、次は左腕です」

悲鳴を上げて、時折何かを言う男。
しかし痛烈な痛みによって発せられる言葉は意味のある羅列ではなく、耳を傾けるだけ無駄だった。
右腕と同じ要領で左腕の皮膚を剥いでいく。
そうしてついに両腕の皮膚を接ぎ終わると、彼は叫ぶ気力すらない様子で吊るされていた。

「なにしてるんですか。
 それでも軍人の端くれですか。獣人の末裔ですか、獅子を名乗る男ですか。
 情けない。まだ終わりませんよ」

次に取り出したの赤い液体だった。
唐辛子をすりおろして水に溶いたもの。それを霧吹きに移し替えて、レバーを握った。
想像を絶する痛みが彼の脳を焼き、正気を削り、体力を奪っていく。
それでも、淡々と作業をこなしていく様子に迷いの色は一切混じらない>

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……ついに事切れましたか。
 国をひっくり返せば本当の自由が手に入る。ですか。
 勘弁してほしいですね。もう、そういう時代じゃないんですから」

獣人が強いとか、人間が強いとか、そういう時代じゃないのだ。
昔の様に、片方がじっと息をひそめる時代でもない。
今更皆の不安をあおったところで、また戦争になるだけだ。


数時間は経ったころ、そこにあったのは全身の皮を剥がれ、
パッと見では性の判別すら難しい状態になった彼の姿だった。
そのグロテスクな見た目とは裏腹に、床に滴る血液の量は不思議なほど少ないものだった。
皮膚のすぐ下には太い血管がないので当たり前といえば当たり前なのだが、
高い精度で皮を剥ぐことができた結果とも言える。
唯一皮膚の残った頭部、その表情は苦悶の色に染まり、
唾液と涙が入り混じった液体が、未だに顎から滴り落ちていた。
事切れたとは言え、皮膚を剥いだ以外の外傷がないためか、脊髄の反射で時折筋肉が動いたりするが、
そこに命の存在などはなく、ただ電気的な信号に反応する筋繊維があるだけだった>

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「さて、動画は請求書と一緒に軍部に送りましょう。
 これは、、、恐怖の象徴として吊るし上げますか」

すでに肉塊となったそれを、廃ビルの外につるす。
暴走していたこともあって、その見た目はどう見ても人ではなかった。
人外に向けた脅し。
昔からやることは変わらない。
対立を生む存在を嬲って見せしめる。
そこに倫理などないし、感情もない。
こうしている瞬間だけは、軍隊にいたころの様に、倫理観を棄てて行動している。
出来ればこんなことはもうやりたくないな。
そんなことを思いながら、廃ビルを後にするのだった>

ご案内:「落第街廃ビル」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。